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第13回地球環境映像祭レポート 大賞をはじめ各受賞作が決定

公開日 2005/02/08 18:40
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アース・ビジョン大賞「サイレント・ストーム」より
第13回地球環境映像祭受賞作が決定した。核実験による微量放射線元素の危険についての作品が大賞を受賞した。

2月6日、東京四谷区民ホールで第13回地球環境映像祭(主催:アース・ビジョン組織委員会、後援:環境庁他、協力:エコムーブ・インターナショナルドイツフライブルグ他)の、参加14カ国110作品の内、入賞作品16本から、さらに受賞作が発表された。


アース・ビジョン対象授賞「サイレント・ストーム」のピーター・バット監督
アース・ビジョン大賞は、ピーター・バット監督の「サイレント・ストーム」(2003・Australia/52min/BetacamSP)が授賞。

この作品は、1970年代に多数の科学者とオーストラリア政府が、2万体以上の遺骨から極秘に、放射線元素ストロンチウム90の影響を検出するためにサンプルを収集していたというショッキングな事実を追い、それがオーストラリアで行われたイギリスの核実験により大気中に放出し、牛乳により人体に蓄積されたものだったことなどを検証していく。

豊富な映像資料と物語的再現場面を交えながら、微量放射線物質の危険が全世界で広まっていることに警鐘を鳴らした作品。

推理小説を読むような展開、読み解かれた文献資料の豊富さ等が特に評価された。審査委員の一人、韓国のグリーン・フェスティバル・イン・ソウルのプログラマーで映像社会学者カン・ユンジュ氏は、核問題についてはこれからも論議が続けられなければならないとコメントした。

バット監督は、「この映画は長いリサーチをして作られた。これまで機密事項とされたことについて批判の余地がないように注意した。一部はドラマ化して俳優を使って演じられ、これはあまり使われない手法ではあるが、信憑性をもって見て欲しいと思う。」等と話した。


最優秀賞授賞「小さな町の大きな挑戦−ダイオキシンと向かった川辺町の6年−」の山縣由美子監督
最優勝賞は、山縣由美子監督の「小さな町の大きな挑戦−ダイオキシンと向き合った川辺町の6年−」。山縣氏は鹿児島県・南日本放送(MBC)にアナウンサーとして入社し現在キャスター、記者。本格的なドキュメンタリー制作は初めてで、6年間をかけて鹿児島県川辺町での環境問題の取り組みを取材。問題を告発するのでなく解決する作品として観客に勇気を与えた作品として、高く評価された。

子どものための環境映像賞は韓国のキム・ソホ監督の「ゴマフアザラシの不思議」(2004・Korea/52min/BetacamSP)が授賞した。監督はゴマフアザラシに電波発信機をつけ、国境を越え1200キロにおよぶ彼らの移動ルートを追跡。疑問を持って物事を追求してゆく姿勢に満ちた作品として評価された。

同映像祭では、本年よりテレビ環境CM部門を設置。第一回環境コミュニケーション大賞は、(社)公共広告機構の「消える砂の像」30sec/2002 が授賞。

優秀賞には、日本電気(株)「IT、で、エコCO2Bag 社長編」30sec/2003、大阪ガス(株)「エネルギーPRモノローグ編」30sec/2003、松下電器産業(株)「家電リサイクル「ブロック」編」60sec/2004 が、奨励賞には、サントリー(株)の「愛鳥キャンペーン「渡り鳥」編」他5編が選ばれた。

優秀作品を含む地球環境映像祭作品の上映は、これからも東京新宿の新宿御苑で定期上映会が開催される。

同上映会と第13回地球環境映像祭の詳細については、以下まで。

http://www.earth-vision.jp

(取材・文:山之内優子 )

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