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NHK技研公開(4) 超高感度カメラ、FEDディスプレーなど

2004/05/27
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●NHK技研公開で展示された注目の技術をまとめてご紹介する。

「冷陰極HARP撮像板」を使用したカメラは、CCDを使うカメラでは撮影が不可能な暗い場所でも、鮮明なカラー映像を撮影できるというもの。この撮像板は、電圧を加えるだけで電子ビームを放出する冷陰極アレーに、高感度なHARP膜を向かい合わせた構造。従来機では撮像板に真空管が使用され、体積や信頼性の面で不安があったが、今回、面積を従来の1/3以下にした撮像板と、磁界を利用した電子ビーム集束系を試作し、カメラの小型化を可能にした。

「冷陰極HARP撮像板」。上が従来のもの、下が今回試作した小型のもの

暗室内で、超高感度カメラで撮影した映像(右)と従来のカメラで撮影した映像(左)。従来のカメラでは何も映っていない

冷陰極を利用したディスプレイ=FED(フィールド・エミッション・ディスプレイ)の開発も行われている。FEDは、電界をかけることにより、冷陰極から放出させた電子を蛍光体に当てて発光させるもの。試作機では冷陰極に大型化が比較的容易なグラファイトナノファイバーが用いられている。NHKでは、将来的に「Super Hi-Vision」級の映像を表示するディスプレイとして、FEDを育てていく考えだ。

「小型垂直磁気ディスク」は、磁気ディスクの表面だけでなく、垂直方向にも情報を記録することで、飛躍的に記録密度を高める技術。直径1インチ以下に20GBを記録することを目標に開発を進めている。

小型垂直磁気ディスクの試作モデル

「フレキシブル有機EL」は、プラスチックフィルム状に白色発光層とカラーフィルターを形成するした、自在に曲げられる有機ELディスプレイ。曲げられるディスプレイでは、フイルムタイプの液晶ディスプレイも試作品が展示されていた。

デモに長蛇の列が出来ていた「インタラクティブ3D映像音響再生システム」は、3DCGと3D音響を融合したもの。3D映像はメガネをかけて視聴する。「インテグラル立体テレビ」は、これとは違いメガネ無しで3Dを実現するシステム。スイートスポットは狭いが、頭を動かすとそれに合わせて映像がグリグリと動く。

「JPEG2000」を使ったHDTV番組制作システムも展示されていた。JPEG2000では、あらかじめ異なる解像度・画質の映像を1つのファイルにまとめ、あとから必要なデータだけを取り出すことが可能。このため、ハイビジョンやSD、PDAや携帯端末など、様々な機器向けの映像を効率的に管理することができる。このシステムでは、局内の高速LANに動画素材サーバーを用意することにより、シングルソース・マルチユース環境での番組制作が可能になる。

(Phile-web編集部)

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