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ソニー、経営方針説明会を開催 2006年に向けた構造改革を推進

公開日 2004/05/19 21:16
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●ソニー(株)は本日都内にて、ソニーグループ経営方針説明会を開催した。説明会には出井伸之会長をはじめ同社役員が多数出席。2003年度を振り返るとともに2004年度の重要施策についての説明が行われた。


経営方針を語る出井会長
はじめに出井氏は、間もなく来るであろうと予想していたブロードバンド、携帯電話、無線の時代がいよいよやってきたと述べ、2006年にエレクトロニクス分野で大きな変化が起こるであろうと予想した。またこれに備え、守りと攻めの人員削減を行ってゆくと語った。

2003年を振り返り同氏は「やるべきことはやった年である」とまとめた。また、「テレビにおいては、トリニトロンからLCD、プラズマ、リアプロへと移行が進んできた。テレビ市場においてはナンバー1のポジションにいると思っている。DVD+HDD製品やPSXなどを含め、これからの成長に期待している。出足はよいと考えている」と述べた。また、デジカメやカムコーダーでは世界トップシェアを獲得。ソニーエリクソンも利益・シェアともに満足のいく結果を残すことができたと語った。さらに、バイオでは、高付加価値の商品にこだわり黒字とすることができたと語った。

同社は構造改革を進行中で、グローバルで人員の再配置を進めている。2003年から2005年の3年間で3,550億円の構造改革費用を投入することで大幅な固定費の削減を実現するとしており、2004年度は前年に比べ880億円の固定費削減が可能であるとした。またこのほかにも「生産/物流/サービス拠点の集約」「生産材の戦略調達」「非生産材の戦略調達」などにより構造改革を進めているという。


多岐にわたるグループ経営
2004年度の施策について出井氏は、2003年度に策定した基本戦略を着実に実行することが第一であると述べた。TR60(トランスフォーメーション60)プログラムの着実な実行、エレクトロニクスの融合戦略の継続推進、エンタテインメント事業の強化、グループ経営の更なる進化を行うことで、2006年に向けた基礎固めを2004年度に行っていくとした。

同社は、バイオやテレビ、情報家電などの「ホームエレクトロニクス」と、携帯電話やポータブル機器などの「モバイルエレクトロニクス」という2つの集中領域を持つとし、テレビはフラットになるとともに多くの機能を追加することで、また携帯電話はモバイル製品との融合が進むことで、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性があるとした。さらに2004年度は、コアデバイスの分野でも力を入れていくとしている。

出井氏は、本年より米国でサービスが開始された音楽配信サービス「Connect」について「製品とエンタテインメントが融合した強力なサービスである」とし、今後さらなる展開を図ると語った。さらに同氏はソニーグループについて「独立したセクターがバランスよく動いている」と述べ、安定した形でグループ経営が行われているとした。



安藤国威 社長 兼 グローバル・ハブ プレジデント

ハワード・ストリンガー 副会長 兼 COO


高篠静夫 副社長 兼 COO

久夛良木健 副社長 兼 COO
説明会では、出席者がそれぞれの担当事業について発言を行った。

PSBG担当 安藤国威 社長 兼 グローバル・ハブ プレジデント
「オペレーションを強化し着実に目標を達成していきたい。質的な業績を残すことで、量的な業績を残すことができると考えている。」

エンタテインメント担当 ハワード・ストリンガー 副会長 兼 COO
「音楽の分野では、海賊版などの流出にも関わらず黒字となっている。ソニーピクチャーズ・エンタテインメントでは03年の7本の映画が全て黒字。また今年はスパイダーマン2が7月に帰ってきます。Connectに関しては、現在はベータ版だがこれから大きく展開していく。年末にはビデオのダウンロードサービスも予定しており、2004年はきわめて有望だ。」

モバイル担当 高篠静夫 副社長 兼 COO
「2003年は、デジカメやカムコーダーなどでヒット商品を生み出せ、またバイオは収益を回復することができた。2004年もデジカメ、DVDカムコーダー、新コンセプトのバイオなどの商品を発売してく。『ポケットを制するものは未来を制する』と考えている。」

ホーム、ゲーム、半導体担当 久夛良木健 副社長 兼 COO
「ホームに関しては2003年は最強の商品をつくるという部分で、うまく集中できていなかった。本年度からテレビ、ビデオ、オーディオ事業部の3つに分ける。デバイス事業は1つにまとめる。ゲームではPSPにおいて多くのソフトメーカーからも支持をもらっており、一つの柱として考えていきたい。」


説明会の最後に行われた質疑応答の内容は以下の通り。

Q.サムスンと事業提携することについてどう考えているか?
A.世界中の企業が様々な提携を行い、フラットパネルディスプレイの開発を進めています。サムスンとは条件が合ったので提携しました。

Q.2006年に向けてどういった展開を考えているか?
A.2006年を越えて成長していくには、自らハードルを設定し、競争力を高めていく必要があります。その一つの目処として設定した10%の成長は、これくらいを達成していかなければその先やっていけないだろうというハードルです。

Q.変化点とした2006年だが、どんなイメージを持っているか。
A.現在ブロードバンド時代となり、企業ではなく個人がものすごく力を持っています。大まかにものを売るのではなく、個人個人をターゲットとした考え方が必要となってくると思います。

Q.ソニーショックをどう評価し、どう改善していったか?
A.全体の統合管理の仕組みが狂ったと見ています。今後はグループ全体の管理体制をさらに構築していきます。

Q.デジタル家電とPCの融合は、具体的にどう提案していく?
A.テレビは感動を伝えられるもの。PCは便利なツール。両方のよいところを融合したものを実現していきたいです。


(Phile-web編集部)

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