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ソニーが2003年度の連結業績を報告、前年比売上高で0.3%の増収を記録

公開日 2004/04/27 18:29
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ソニー(株)執行役常務兼グループCFO湯原隆男氏

左から)小沢幸雄氏/湯原隆男氏/大根田伸行氏/三好林太郎氏
●ソニー(株)は、2003年度(2003年4月1日から2004年3月31日まで)におけるソニーグループ全体の経営状況を表す連結業績の概要を明らかにし、本日記者発表を行った。

会場では同社執行役常務兼グループCFO湯原隆男氏から、概要の説明が行われた。また同社からは、IRオフィスVP 小沢幸雄氏、業務執行役員常務 大根田伸行氏、経営企画オフィスSVP 三好林太郎氏も列席した。

2003年度のソニーグループは、売上高7兆4,964億円、前年比で0.3%の増収を記録した。エレクトロニクス分野では米国、欧州を中心に海外での売上が増加した。しかしながらゲーム機「プレイステーション2」の生産が中国での外注生産に移行された結果、ゲーム分野へのセグメント間取引が大幅に減少し、分野全体では前年度比0.9%減になる4兆8,974億円の売上高となった。

エレクトロニクス分野で売上高に影響を及ぼした主な製品については、ブラウン管テレビや携帯型オーディオ機器の売上が減少し、一方でソニー・エリクソン向けの携帯電話端末やデジタルススチルカメラ「サイバーショット」が日本、欧州で大きく需要を伸ばした。そのほか、フラットパネルテレビが全地域で好調を記録し、売上に貢献する結果となった。

その他の売上高の記録としては、ゲーム分野がハードウェアおよびソフトウェアの売上が減少し減収、映画・音楽分野では為替変動の影響を受け減収、金融分野でソニー生命保険(株)での運用損益改善による増収となった。

営業利益では、主に今年度に計上された1,681億円の構造改革費用が影響を及ぼし、前年度比46.7%の減益となった。エレクトロニクス分野では退職関連費用を中心に構造改革費用が増加し、営業損失を記録。ゲーム分野でも売上の減少に加え、研究開発費用の増加により減益となった。映画分野では、ヒット映画『スパイダ−マン』からの利益貢献があった前年に比べ、今年度は減益の結果に終わった。音楽分野では、構造改革の効果や広告宣伝費のコストカット、構造改革費用のカットが効果をあらわし、前年度の営業損益に対し、今年度は利益を計上した。金融分野ではソニー生命の一般勘定の運用損益改善による増益が記録された。

湯原氏は続けてソニーグループにおける2004年度の業績見通しに関する概略を明らかにした。その発表では、2004年度はソニーグループとして7兆5,500億円の売上高、1,600億円の営業利益を数値目標として示された。今年度は人員改革・事業部門改革の双方において、明らかな効果を期待していくとともに、さらに1,300億円を構造改革の費用として計上していく。また新たに4,100億円の設備投資費用と5,500億円の研究開発費を計上し、収益の改善を図って行く戦略が明らかにされた。中でも、エレクトロニクス分野においては今後大きな増益を見こんでいるという。

本日の記者発表には同社代表執行役会長兼グループCEOの出井伸之氏からのコメントが文書で寄せられた。出井氏は2003年度の成果について、エレクトロニクス分野におけるデジタルカメラ、フラットパネルテレビ、DVDレコーダーといった商品が好調を示し、人員削減を含めた構造改革がスピーディーに進められたことを評価した。2004年度においては、次世代ブロードバンドプロセッサーなどの基幹デバイスへの投資を積極的に行い、成長事業の集中と選択を洗練させていく考えを明らかにした。さらに、携帯型エンタテインメントシステムとして話題を呼ぶ「PSP」をはじめとする、ソニーならでは高付加価値を有する商品を市場に投入し、新たなエンタテインメント創造によるビジネスの活性化を図っていく考えを明らかにした。

以下に本日の記者発表会で行われた質疑応答の内容を掲載する。

Q:前年度と比較したエレクトロニクス分野での、各商品の売り上げに関する詳細を教えてほしい
A:MD・CDウォークマンをはじめポータブルオーディオ市場の単価下落に苦戦した。家庭用オーディオ関連製品も減益に終わった。一方でデジタルスチルカメラが世界市場で大きな伸びをみせたほか、米国ではDVDカムコーダ−が大ヒットを遂げた。DVDレコーダーをはじめ、ビデオレコーダーも好調である。CRTはかなり大きく売上が落ちたが、フラットテレビが非常に好調だ。ただ、フラットテレビはOEMの部分が大きいので、結果として自社生産のCRTに及ぶ利益にはまだ結びつかなかった。

Q:昨年業界を騒がせた「ソニーショック」からどのくらいまで立ち直ったと実感しているか
A:今年は大きな動揺を起こすことなく、立て直しを図ることができた。2003年を底に、年々収益の改善を行っていく。2004年度は、構造改革費用によりボリュームをあて、開発研究費の大幅投入、半導体への投資を併せて行いながら粛々と利益を目標をクリアしていきたい。

Q:いま家電業界が苦しむ「価格下落」へ、ソニーとして独自の対策を考えているか
A:ソニーとしては今後、情報家電のキーデバイスをより安価で手にいれることが商品のコストカットにつながる大きなポイントと考えている。キーデバイスの自社生産を推し進めていくため、研究開発費への投資を積極的に行っていくことで、中長期にあたっての材料費のコストダウンにつなげて行けるだろう。ほかにも部品の標準化、部品点数の見直しなど、ものを作る上で当たり前のコストカットへの努力も並行して行っていく。

Q:今後の構造改革について、具体的な取り組みの内容を教えて欲しい
A:主に人に関する改革は、国内では早期退職の実施を推し進めていく。2003年度は想定していた人員よりも多くの応募があり、結果前倒しで計画が進んだ。

Q:不採算の事業を再構築、再建していくといった「集中と選択」の進行状況をおしえて欲しい
A:CRTの製造規模についてはこれを縮小した。他にも事業構造の見直しを進めていく。

Q:ビデオレコーダー部門の2004年度に向けた見通しは
A:PSXは今のところわれわれの当初の想定を下回る出荷台数となっている。PSXとDVDレコーダー「スゴ録」の出荷は2003年度に65万台を記録した。2004年度は世界出荷を開始して、200万台を目指す。


【問い合わせ先】
ソニー(株)
TEL/0570-00-3311

(Phile-web編集部)

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