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[特別企画] これだけ増えた「自動音場補正機能」搭載AVアンプ

公開日 2004/04/16 19:11
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ヤマハ「DSP-Z9」に付属する自動音場補正用のマイク
●AVアンプを設置したら、初めにやらなければならないのが音場の調整だ。テストトーンを鳴らしながら、各スピーカーとの距離や音のレベルなどを設定していくのだが、この作業を煩わしいと思う方も多いことだろう。また、「この調整で正しいのだろうか」と不安に駆られた経験がある方も少なくないはずだ。

そんな面倒を解消してくれるのが「自動音場補正機能」で、この機能を搭載したAVアンプが徐々に増えている。

自動音場補正機能は、もともと海外のハイエンドAVセンターなどに搭載されていたもので、マイクを本体に接続し、ボタンを押すと、テストトーンの出力が開始される。このテストトーンをマイクで拾い、音を分析し、パラメーターを調整、最適化する仕組みだ。部屋の都合でスピーカーと視聴位置のあいだに障害物があったり、左右のスピーカーの距離が極端に違ったりしていても、自動的に調整を行ってくれるから便利だ。部屋の模様替えを行った場合にも力を発揮するだろう。

以下、現在入手できる「自動音場補正機能」搭載AVアンプをご紹介していこう(ボーズ以外の海外メーカー製品は除外)。

■パイオニア
国内で先鞭を付けたのはパイオニアだ。2001年11月に発売した「VSA−AX10/AX8」の2モデルに、早くも自動音場補正機能を搭載している。同社はその後ラインナップを拡充し、現在は4モデルに搭載されている。

同社が採用する方式名は「MCACC=Multi−Channel Acoustic Calibration System」。録音スタジオにおけるモニタリング手法と同一レベルの音場調整を行うことができるという。注意する必要があるのは、「MCACC」が、自動音場補正機能の名称ではなく、高機能な音場調整機能の総称として使われていることだ。たとえば「VSX-D812-S」は、MCACCが搭載されているが、自動音場補正は行えない。

MCACCには、「Advanced MCACC」「MCACC」「MCACC SETUP」の3種類がある。最上級の「Advanced MCACC」は、同社のフラグシップ機「VSA-AX10Ai-N」に搭載。周波数特性の補正を行う際に、従来の2次元(周波数と音量レベル)の方式に、新たに時間という調整軸を加えた3次元方式での補正を可能にした。「MCACC SETUP」は「MCACC」の機能の中から基本項目を抽出した簡易版だ。

【自動音場補正機能搭載モデル】
「VSA-AX10Ai-N」\525,000 方式:Advanced MCACC
「VSA-AX5i-N」\207,900 方式:MCACC
「VSA-AX3-N」\105,000 方式:MCACC
「VSX-D912-N」\78,750 方式:MCACC SETUP

■ヤマハ
ヤマハは、2003年9月に発売した「DSP-AX2400」「DSP-AX1400」の2モデルに、初めて自動音場補正機能を搭載した。

機能の名前は「YPAO(Yamaha Parametric Room Acoustic Optimizer)」。スピーカー接続、スピーカーサイズ、スピーカー距離、周波数特性、チャンネル間レベルの5項目を自動的に調整する。

「DSP-AX2400」「DSP-AX1400」のすぐ後に、現在のフラグシップ機「DSP-Z9」が発売された。これにも、もちろんYPAOが搭載されている。ただし、パラメトリック・イコライザーが、「Z9」は10バンドで、「DSP-AX2400」「DSP-AX1400」は7バンド調整という違いがある。また、「Z9」とそのほかのモデルでは、付属マイクの形状が異なるようだ。

ミドルクラスの「DSP-AX750」には、「YPAO(BASICバージョン)」を搭載。これは、DSP-Z9/DSP-AX2400/DSP-AX1400のYPAOで行う5つの自動調整項目から「周波数特性」を除いた4項目を自動調整するものだ。

同社では、現在AVアンプのラインナップを入れ替えている最中だが、「DSP-AX750」と同時に発表されたエントリークラスモデル「DSP-AX450」には、YPAOの搭載は見送られた。

【自動音場補正機能搭載モデル】
「DSP-Z9」\525,000 方式:YPAO
「DSP-AX2400」\157,500 方式:YPAO
「DSP-AX1400」\105,000 方式:YPAO
「DSP-AX750」\84,000 方式:YPAO(BASICバージョン)

■デノン
デノンも、2004年3月下旬より発売した「AVC-3890」で、初めて自動音場補正機能を採用した。スピーカー接続、スピーカーサイズ、スピーカーレベル、スピーカー距離、スピーカー位相を自動で設定する「オートセットアップ機能」と、リスニングルームの周波数特性を最適化する「ルームEQ(イコライジング)機能」の2つの機能を装備する。ルームEQ機能では、8バンドのパラメトリックイコライザーで補正を行い、1回の測定で3パターン(NORMAL、FRONT、FLAT)のイコライジングカーブを設定する。

【自動音場補正機能搭載モデル】
「AVC-3890」\157,500 方式:オートセットアップ/ルームEQ

■ボーズ
ボーズは、ホームシアターシステム「LS-35」「LS-18」の2モデルに自動音場補正機能を搭載している。

同社の補正システムの名称は「ADAPTiQ(アダプト・アイキュー)」。他社と補正の方法が少し異なり、付属のセットアップディスクと測定用ヘッドセット型マイクロフォンを使用する。他社のマイクはスタンド型で、頭の上に置くのは少し抵抗があるが、ボーズは初めからヘッドセット型だから安心だ。ガイダンスに従って操作することで、15分程度で全ての設定が完了する。

【自動音場補正機能搭載モデル】
「LS-35」\417,900 方式:ADAPTiQ
「LS-18」\260,400 方式:ADAPTiQ

■ビクター
一番簡便なのがビクターだ。何しろマイクを繋ぐ必要もなければ、テストトーンを慣らす必要もない。

同社が採用するのは、手を叩くだけで音場を設定する「スマート・サラウンド・セットアップ」方式。聴きたい場所で手をたたくだけで、接続したスピーカーがマイク代わりに音を感知して、音場を調整してくれる。ただし、調整できるのはセンター/リアスピーカーのディレイタイムと音量レベルだけだ。非常にシンプルな機能だが、割り切って使う分には実用性が高そうだ。

【自動音場補正機能搭載モデル】
「RX-ES1」\58,800 方式:スマート・サラウンド・セットアップ

※上記の価格はすべて税込

(Phile-web編集部)

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