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フジフイルム、第四世代スーパーCCDハニカムの技術を発表

2003/01/22
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本日行われた技術発表会にて次世代スーパーCCDハニカムの内容を明らかにする加藤氏
●富士写真フイルム(株)は、同社のデジタルカメラ製品におけるキーデバイスである「スーパーCCDハニカム」の第四世代技術の開発内容を本日発表した。今回は新たな1/1.7型CCDにおいて、総画素数663万画素の高解像度を実現した「スーパーCCDハニカム HR」と、従来の4倍にダイナミックレンジを広げ、白とびや黒つぶれを極限まで抑えた「スーパーCCDハニカム SR」の2種類のデバイス開発が明らかにされた。

本日同社にて行われた発表会では、始めに執行役員電子映像事業部長である加藤典彦氏が登壇。昨年の事業報告に加え、本年は前年比で128%アップとなるワールドワイドで3400万台を超える製品出荷を目標とする意向を宣言。デジタルカメラ製品が世界的に一般ユーザーの間に定着しながら、今後もますます期待の持てる商材であるという考えを明らかにされた。

今回その技術が明らかになった次世代スーパーCCDハニカムについて、はじめに総画素数663万画素で高解像度を実現する「スーパーCCDハニカム HR」では、進化した微細化技術により、一挙に従来の2倍の多画素化を実現。1/1.7型のCCDでは初となる総画素数663万の高解像を実現。デバイス性能と信号処理技術の向上も併せ、1画素の面積を半分にしながら第三世代スーパーCCDハニカムと同等の感度を維持している。

「スーパーCCDハニカム SR」では第三世代スーパーCCDハニカムと比べて約4倍のダイナミックレンジを実現、銀塩フィルムにより近い性能を獲得し、白とびや暗部の黒つぶれのない画像記録を可能にしている。本CCDは面積が大きく高感度の「S画素」と、面積が小さく広ダイナミックレンジを実現する「R画素」という2種類の画素の二つの信号を最適に組み合わせ構成している。総画素数670万の画素信号を撮影シーンごとに最適に組み合わせながら画素を形成することにより、より高品位な画像記録を実現している。

今回発表された第四世代スーパーCCDハニカムを搭載した製品は、本年の春頃より市場に投入される予定であるということだ。

今回の発表会では合わせて同社の新技術に関する質疑応答も行われた。その内容を以下にお伝えしていこう。

Q:第四世代スーパーCCDハニカムの画素間隔を教えて下さい。
A:第三世代スーパーCCDハニカムでは斜め3.8ミクロンピッチでした。第四世代スーパーCCDハニカムでは「SR」が「S画素」、「R画素」それぞれを3.8ミクロンピッチで配置します。「HR」では2.6ミクロンピッチでの配置となる予定です。

Q:「SR」での画素サイズを教えて下さい。
A:サイズの大きい「S画素」に対し、「R画素」はおよそ数分の一ほどになります。小さい「R画素」は感度を低くし、大きい「S画素」ではハイライト寄りに設定しています。

Q:第四世代スーパーCCDハニカムを他社へ供給する予定は?
A:昨年は携帯電話メーカーと手を結び、第三世代スーパーCCDハニカムをカメラ付き携帯電話に搭載し、良い成果をおさめることができました。次世代CCDも相手方メーカーとの折り合いがつけば積極的に供給していきたいと考えています。

Q:「HR」、「SR」はそれぞれの何の略でしょうか?
A:「HR」は“ハイレゾリューション”の頭文字を取りました。「SR」は“スーパーダイナミックレンジ”の頭二つの単語の頭文字から来ています。こちらはさらに画素の名前になると「S画素」=“センシティビティ”、「R画素」=(ダイナミック)レンジの略にそれぞれなります。

Q:ダイナミックレンジが約4倍ということですが、カラーネガの精度にどれくらいまで近づくことが出来たと考えていますか?
A:両社の性能をダイレクトに比較する実験は今のところまだ行っていません。カラーネガを超えたと判断するのは難しいですが、かなり近づけたと思います。

Q:ハニカムCCDはこれまで高価なモデルに搭載されることが多かったように思いますが、コスト削減を押し進めるなどして普及価格帯製品への搭載は考えているのでしょうか?
A:次世代CCDはできるだけ幅広い機能・価格帯のモデルに搭載していきたいと考えています。また新しいCCDは前モデルとほぼ変わらない製造コストでつくることができると思います。

Q:次世代CCDは「第四世代スーパーCCD」と呼ぶべきでしょうか?或いは「SR」、「HR」と呼んだ方が良いのでしょうか?
A:新しいデバイスは「第四世代スーパーCCD」と呼ぶことにより従来より進化したというイメージを打ち出していきたいと思っていますが、「SR」と「HR」それぞれの違った魅力を前面に押し出していくことも同時に行っていく考えです。


<第四世代スーパーCCDハニカム」搭載カメラの予想仕様> 
■スーパーCCDハニカム HR搭載機種
●有効画素数:635万
●撮像素子:1/1.7型 スーパーCCDハニカム HR/原色フィルター採用/総画素数663万/全画素読み出し
●記録画素数:最大4048×3040(1230万画素)
●感度:ISO200〜1600(ISO1600時は、記録画素数1280×960)
●A/D変換ビット数:12〜14ビット
●ダイナミックレンジ:同社従来レベル
●動画性能:VGA 30フレーム/秒

■スーパーCCDハニカム SR搭載機種
●有効画素数:620万(S画素310万、R画素310万)
●撮像素子:1/1.7型 スーパーCCDハニカム SR/原色フィルター採用/総画素数670万(S画素335万、R画素335万)
●記録画素数:最大2832×2128(603万画素)
●感度:ISO200〜1600(ISO1600時は、記録画素数1280×960)
●A/D変換ビット数:14ビット
●ダイナミックレンジ:同社従来比約4倍
●動画性能:VGA 30フレーム/秒

(Phile-web編集部)

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