元気な大賀(ソニー名誉会長)さん

2002年08月08日
●去る7月4日、オーディオ協会前会長の中島平太郎さんに感謝する会において、ソニー名誉会長の大賀典雄さんが出席、スピーチされた。「北京で倒れ、3ヵ月間記憶がありませんでした。漸やく元気になりました」。会場は万雷の拍手。私も目頭を熱くしながら力一杯の拍手を贈った。

そんな元気な大賀さんに再びお目にかかった。7月9日、この日はヤマハ創業者「川上源一さんのお別れ会」。会場は数千人の人で埋まり、厳粛でありながら明るく朗らかな素晴らしいお別れ会だった。その折、大賀さんが祭壇へ堂々と歩を進めて献花された。

数年前、大賀さんが東京フィルで指揮をされるということでオーチャードホールへ出かけた。曲間には身体を指揮台の保護パイプで支えていた。2時間近く立ち通しで全身全霊を使って指揮するということは大変な重労働だと思った。昨年の暮には、同じくオーチャードホールで「第九」を指揮された。大賀さんは颯爽と指揮台へ。力強く、繊細で、怒涛のごとく盛り上がっていく。

そんな大賀さんが北京で倒れられたのは昨年秋、北京公演中のことだった。翌日の朝刊は「大賀さん倒れる」を一斉に報じた。業界全体に衝撃が走った。回復して欲しいという祈りは世界にひろがっていった。

驚いたのはスケジュールである。北京から東京へ逆出張され、皇居で勲一等瑞宝章の授与式に出席された後、即北京に帰り、夜、また公演する予定だった。その後の大賀さんの情報を識るすべもなく、また触れることすらも自制して時間だけが流れていったのである。

そんな折の大賀さんの登場。その場にいた人達すべてが驚きと心からの安堵と祝福の思いでいっぱいだった。それは人々の喜びの笑顔が物語っていた。「ますます元気で、大賀さん」。私は改めて心からの拍手を贈っていた。

上記の文章は8月26日発売予定のsenka21 9月号「巻頭言」から抜粋したもの。詳しくは本誌で。