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murauchi.co.jpのCEO村内伸弘氏、ネット通販戦略を語る

2002/01/01
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murauchi.co.jpのCEO村内伸弘氏
●■■■murauchi.co.jpのネット通販での躍進がとどまるところを知らない。電子メールを駆使し、リアル店舗にも優るきめ細かな「接客」を武器に、2002年3月期はネット通販の売上目標33億3000万円を完全に視野に入れた。2003年にはJASDAQ上場を予定する同社CEO村内伸弘氏がその戦略を語る。(記事構成/SENKA21編集部)

●全員商人宣言!来期はECの成長で増収増益へ
 ―― まずは、現在の消費動向について、どのようにみていらっしゃいますか。
 
村内 不良債権の最終処理や株安、失業の増加、米同時多発テロなどで消費者の購買心理が今後さらに冷え込むことが予想されます。業界内の競争もますます熾烈になっていきますね。murauchi.co.jpも今期に入り、全社では前年を割る状況が続いています。しかし、こういった経営環境は、当社にとって素晴らしいチャンスだと捉えています。さらに激しく、厳しい状況になることを心から期待しています。大不況こそ、私たちが真に競争力のある企業になっていくための道場なのです。
我々の先輩である商人たちは、天保の大飢饉、明治維新、米騒動、関東大震災、昭和恐慌、大東亜戦争など、現在の状況とは比べものにならないような危機的な状況を乗り切り、生き残ってきました。それから見たら、今の状況は大したことはありません。どんどん激しく、厳しい経営環境になることを望んでいます。大不況大歓迎です。「ムラウチに七難八苦を与え給え」と心から祈っています(笑)。
 
―― 上場も計画されているようですね。
 
村内 JASDAQに上場を果たす2003年はmurauchi.co.jpという会社の発展成長の大波、直接金融の大波、Eコマースの大波が大きく重なり合います。まさに、murauchi.co.jpは大きな時流を捉えようとしています。伝統あるベンチャー企業murauchi.co.jpの前途は洋々です。
 
―― 家電流通全般に、パソコンや携帯電話の失速やオーバーストアによる価格競争などあり、決して楽観できる状態にはありませんが、御社の場合、特に、ECが大変元気と伺っています。
 
村内 前期からの全社的なコスト削減運動が効を奏し、2002年3月期は前年並みの売上高ながら、前年度比150%の増益になる見込みです。2003年3月期はECの成長により、コスト削減による増益ではなく、増収による増益を実現したいと思っています。そのためにも、全社員がサラリーマンではなく、商人になっていく、「全員商人宣言」を掲げて進みます。その気持ちこそが、JASDAQ上場を成し遂げられるか否かの分かれ道です。私は絶対に、社員さんと、そのご家族の幸せを実現したい。
 
―― EC事業は売上目標を達成される見通しとのことですね。
 
村内 今期に入っても、ECの勢いには相変わらず凄いものがあります。11月を締めた段階で、約20億円の実績です。今期3月末では、33億3000万円という目標を設定していますが、それを上回る勢いで推移しています(笑)。
 
―― そうなるとバーチャル店舗とリアル店舗の売上げの比率も、随分変わってきているのではないですか。
 
村内 11月にはECが22%に達しました。早い段階で3分の1になり、全体の4割、5割を占めるという段階に達するのも、この1〜2年の間に見えてくると思います。しかし、当社がその比率をコントロールするというのではなく、あく思います。しかし、当社がその比率をコントロールするというのではなく、あくまでも、お客様が決めること。当社としては、2通りの買い方をご用意している、ということだと考えています。

●ショッピングサイトの成長要因は「サービス」にあり
 
―― murauchi.co.jpの知名度も急速にアップしています。ECの場合、ブランドイメージのアップは大変重要なテーマとなりますが、それに対しては、どのような戦略をお持ちですか。
 
村内 Yahoo! Shopping、楽天市場、エキサイト、MSN、フレッシュアイ、ソフトバンクのVモールなどへ出店しています。ブランドの露出は、商売でもっとも重要な信用を高めることができますからね。
サイトの運営にあたっては、専門の商品説明スタッフを4名配置し、実名入りで問い合わせにお答えしています。4人のスタッフは、店頭販売でもトップになった販売員、照明器具のコンサルタント、仕入れ担当者などで、専門的な質問に対しても的確に返答することができます。毎日400件以上ものメールに丁寧に答えてきていますが、そうした積み重ねが、ここにきて顧客満足の向上という形で結実してきたと考えています。
 
―― コミュニティースペースである情報掲示板も日に日に人気が高まっているようですね。
 
村内 ショッピングサイトで掲示板を運営することはタブーですが、あえて、チャレンジしています。自分のサイトに自分の会社の非難やクレームが掲載されるケースもたくさんあります。現在、情報の主役は企業や法人から個人へと移っています。ネットの世界では情報を100%コントロールすることはできません。ですから逆に、公平だという評価が高まり、信用を得るケースも出てきています。掲示板には直接には参加しない。あくまでも関与しないスタンスをとっています。
 
―― メーカーに対する誹謗中傷も可能なのですか。
 
村内 OKです。根拠がないもの、根も葉もないものに関しては、削除しますが、どう見ても当たっている、当たっていないけど遠からずというものに関しては削除しません。むしろ、それは削除してはいけないと思います。
 
―― 決して安さだけではない、御社のサイトの魅力はそんなところにもあるようですね。
 
村内 ショッピングサイトが伸びていく要因は、「価格」と「サービス」です。従って、低価格だけのショップはハンドリングが難しいですから、経営的には実に不安定で、長続きしません。使い捨ての商品ならそういうところで買うのも構わないけれども、長く使うものを購入するとなると、消費者は信頼性を重視して、サービスのしっかりしているところを選ぶはずです。ですから、価格一辺倒のサイトに対する恐怖感はまったくありませんね(笑)。
(1月2日掲載の<後編>に続く)

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