「タワーレコード吉祥寺店」が待望の復活!“吉祥寺しかできない店づくり”の極意を吉野店長にインタビュー
一番立ち止まるのは「吉祥寺コーナー」、売れるものより “売りたいもの” を全面に出した独自のお店づくり
─── 新店舗においても“吉祥寺だからこそ”のお店づくりをされているということですが、「吉祥寺」という街についてどのような印象がありますか?
吉野 吉祥寺ってカルチャーがしっかりと街に根付いていて、大衆性よりかは、良い意味で凄く個性の立った街だと思います。あとは地元の方々が本当にこの街を愛していて、ひとつのお店だったり建物、公園など全ての街のものに愛を注いでいる感じがするんです。
当店がオープンを発表したときも、信じられないほどの反響をいただいて、やっぱり吉祥寺店は凄く愛されていたんだなって、肌身で感じましたね。そういった吉祥寺を愛する方々にも喜んでもらえるように、お店づくりも意識しました。
─── 旧店舗から変化した点、または変えずにそのまま受け継いでいる部分はありますか?
吉野 旧店舗は、当時の写真をチェックしたり働いていたスタッフの話を聞くと、「売れるものより “売りたいもの” 」を全面に出したお店という印象を受けました。お店として「この作品は絶対にかっこいい!」と思ったら展開して、それが結果にも伴ってたという部分は、絶対に当店でも受け継いでいきたいですね。
逆に変えた部分は、今って吉祥寺に新品CDの販売店が当店以外にほとんどないんです! なので、新譜についてもお客さんが欲しいものをしっかりと見つけられるよう店内の配置を吟味しています。お目当てのものをしっかり見つけられ、何か気になる作品も発見できるようなお店にしていきたいですね。
─── 旧店舗の魅力は引き継ぎつつ、新たな試みもなさっているんですね。具体的に特にチェックしてほしい展示物やコーナーはありますか?
吉野 新オープンに伴って吉祥寺を拠点に活動されていたバンドやアーティストさんの作品を集めた「吉祥寺コーナー」ですね。ゆらゆら帝国やandymori、高田渡さんとか、ちょっと年齢層高めのラインナップではあるんですけど、スタッフのみんなもお気に入りの吉祥寺発アーティストさんをまとめて紹介しています。
他の店舗ではなく、吉祥寺店だからこそ売りたい作品っていうのは、特集というかたちにすることで多くの人の目に入ってくれたらと思っていて。オープンから1週間ほどが経ちましたが、お客さんが一番立ち止まってくれるのが「吉祥寺コーナー」なんです。
どうしてもお店の規模感的には新宿店のような大型店舗のようにいかないですが、CDを探しにふらっと入ってこられた方が、ちゃんと欲しい作品が見つけられるお店にもしているつもりなので、ぜひ気軽に立ち寄ってみてほしいですね。
─── 店内の復活オープンポスターや壁紙といったビジュアル展開もすごく印象的でした。
吉野 オープン告知のビジュアルには吉祥寺店第1号の出店地だったメイズ・ワンビルを背景にしていて、あわせて「ただいま」というコピーも入れました。SNSでも紹介させてもらったんですが、反響がすごかったですね。
実はこの告知ビジュアルを使ったオープン記念ショップカードも作っていて、CDを購入してくださった方全員にプレゼントしていました。
他の店舗ではショップカードの配布ってやっていないんですけど、会社に相談したら「吉祥寺っぽくて良いね!」とすぐ承諾してもらえて(笑)。買ってくださった方に「今後もよろしくお願いします!」という気持ちを込めて、名刺代わりにお渡ししていますね。
あと、オープンしてお客様から直接「おかえり!」って返してもらうこともあって(笑)。吉祥寺の方々の中ではタワーレコードがあるのが当たり前だったというのが凄く実感できますし、再出店できて本当に良かったと思える瞬間ですね。
─── それは素敵なエピソードですね。ほかにも漫画家の楳図かずおさんとのコラボ展開もすごく目立っていました。
「吉祥寺といえば楳図かずおさん!」ということで、オープン記念としてコラボのオファーをさせていただきました。『まことちゃん』や『漂流教室』のビジュアルを使用させていただいています。
実は『漂流教室』が漂流教室というタイトルになる前の命題が「ただいま」だったらしいんです。なので当店の3年ぶりの復活オープンに図らずもリンクしていたりして、オープン記念にふさわしいコラボレーションが実現できたと思っています。
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