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【PR】「高音質な部屋」構築のプロ、アコースティックラボに

【音源無料DL有】「オーディオに最適な防音室」は楽器演奏の収録にも最適だった!? 「響きの秘密」と新たな取組の裏側に迫る!

2020年06月09日
「オーディオ再生に最適な部屋づくり」の豊富なノウハウを持つ防音工事会社「アコースティックラボ」。同社防音ショールーム「蔵前ヴィレッジ」の「響きの秘密」を聞くべく、編集部記者が同社を直撃。同ショールームでのミュージシャンの演奏収録という少々珍しい光景にも遭遇できた。

アコースティックラボの防音ショールーム「蔵前ヴィレッジ」メイン試聴室

―― 本日はありがとうございます。ちょうど入れ替わりで楽器をお持ちの方が出ていったりマイクスタンドの片付けをしているところでしたが、今日は何かあったのでしょうか。

音楽家の方がYouTubeで配信するコンテンツ収録のために、この部屋をご提供したところです。若手や中堅のフリーランスの音楽家のお役に立てればと思ったのです。ソロやデュオのような最小限の人数、最短時間のワンポイントレコーディングなら感染拡大防止の範囲と考え、試行錯誤しながらしばらくやっていこうと思っています。

初回はどんな音が録れるのか不安もありましたが、プレイバック再生を聴いてみたら思いのほかいい音で取れていましたね(※現在は第3回分までYouTubeで公開中)。



―― コンサートホールでの大きな演奏会から小さなライブハウスまで、音楽イベントは新型コロナウイルスの影響で延期や休止が相次いでいます。音楽家に限らずフリーランサーの方たちは活動の場が消滅、本当に大変なことになっていて、先が見えないのがつらいですね。

当社はオーディオファンの方のオーディオルーム工事だけでなく、音楽制作用のホームスタジオも多く手掛けています。実はスタジオ案件のほうが圧倒的に多いんです。そして、そのクライアントであるミュージシャンや音楽制作者の方々は、ほとんどがフリーランスです。この社会情勢で活動を抑えざるを得ない、そんなフリーランスの音楽家の方々のために、当社が少しでも協力できることがあればとの思いでした。

そもそものスタートは、せっかく家にスタジオを造ったのだから、こんな時だからこそ外の人に「響きあえる」音楽や楽しめるコンテンツの発信をしようではないかというところからでした。今回はクラシックのデュオでの演奏収録だったので、広さを確保できる当社蔵前モデルルームをご提供したという次第です。演奏者とレコーディング技術者の腕もさることながら、蔵前モデルルームの音響の良さも感じていただけたらと思っています。

なお、クラシックの方から始まりましたが、ジャンルを限定せずドラマーやギタリストなどの自宅発信にもチャレンジしていくつもりです。

チェロを軸に様々な楽器との演奏を同社防音ショールームで収録。現在第3回までがYouTubeで公開されている

―― プレイバックを少し聞かせていただきましたが、生々しい音ですね。

感染予防のために、通常よりかなりインスタントな収録にしました。マイクなどの機材セッティングと演奏リハーサルを並行してやりながら1時間弱、本番収録もテイク1〜2回という、のべ2時間半ほどで完了させました。2chのステレオワンポイントレコーディングのため、もともとミキシング作業も必要ないというのも時間短縮に寄与しています。あとは若干の音編集と映像編集で仕上るだけです。マイキングが良ければ思いのほかリアルに収録できるのだということがわかりました。音源ほどシンプルイズベストで作られるべきかもしれません。初めての試みなのですがびっくりしています。

収録はプロとして活躍されているフリーランスのレコーディング編集エンジニアの方に全面的に協力していただいています。この方のプライベートスタジオ立ち上げも当社が設計施工を担当させていただきました。

この部屋を作ったのは、オーディオを追求するにはオーディオ再生機器の優秀さだけでなく、最終的には再生する部屋音環境が重要であるということをアピールすることが目的でした。今回、音源収録に協力してみて、そうした部屋の重要性もさることながら、オーディオにとっては「音源」の良し悪しが一番重要ではないかと認識させられた気がします。プレーヤー、アンプ、スピーカー…といった具合にオーディオを一連のシステムとして考えたときに、音源は最も上流に位置するわけですからね。

―― この蔵前モデルルームは響きが比較的長い、いわゆるライブな響きにつくられていますよね。一方で、レコーディングスタジオは比較的響きが短い、いわゆるデッドなつくりであることが多い印象です。御社が定期的に開催している試聴会「アコースティックオーディオフォーラム」では、「音楽スタジオとオーディオルームでは音の再生目的が違うのだから、スタジオと同じ響きでオーディオルームをつくったからといって音がよくなるわけではない」とも説明していました。

吸音が過剰な部屋では音ははっきり聞き取れるので、業務用の音楽スタジオはデッドなことが多いのですが、一方でデッド過ぎる部屋は音楽的にはつまらないといわれます。スピーカーに大入力しないとスピーカーも充分に鳴りませんし、音楽的豊かさも得られません。デッドな部屋を好むオーディオファイルの多くは“大型スピーカー・大音量派”ですね。

業務用のスタジオについて言えば、吸音されたデッド気味の部屋が好まれますし、当社の設計も多くはデッドにしています。なぜかといえば、素の音の収録と確認、そして様々な編集作業がやりやすいからです。デッドな部屋で素の音を収録して、あとから残響を足すなどといったこともできますから。

例外は音楽制作の最終工程で使われるマスタリングスタジオ、いわゆるマスターテープを作る部屋ですね。ユーザーが再生する空間に合わせて音楽バランスを微妙に調整するという性格上、マスタリングスタジオは生活空間に近い響きになっています。

―― 過去の「アコースティックオーディオフォーラム」でも何度か披露されていますが、蔵前モデルルームにはレコーディングスタジオを意識したつくりの部屋も用意されています。今回の収録でそちらを使わず、ライブな響きのメインルームを使ったのはなぜでしょうか。

最初はそちらの部屋を使おうとしたのですが、簡便なステレオ録音で編集作業に時間をかけられない事情と、響きが豊かなオーディオルームのほうが演奏しやすいという演奏者の希望で、あえてメイン試聴室で収録を行いました。当社としても初めての試みです。

同社防音ショールーム「蔵前ヴィレッジ」には楽器演奏の収録などスタジオとしての用途を意識した部屋も用意されている

―― なるほど。収録した音源を聴いてみるとピアニッシモの音も鮮明で聴感上のSN比も良く、静かな空間で録られていることがわかります。

メイン試聴室はスタジオ用途ではありませんが、それでも基本的音響スペックは業務用スタジオのそれをクリアしています。冷暖房・換気の空調音ノイズはNC-20以下の静音ですし、浮き構造の防音構造になっていますのでレコーディングスタジオとしての録音には基本的問題点はないと思っています。先ほど説明したようにデッドなほうがスタジオ作業に向いているのはたしかですが、そもそも音楽用の部屋の基本音響スペックは共通なんです。

この部屋のように響きが長めであっても定在波が上手くコントロールされ、反射音や残響音が上質でありさえすればマイキング次第で満足できる音が録れることがわかりました。ワンポイントの一発レコーディング、ほぼ編集なしという今回の手法には、このような部屋のほうが相性がよかったのかもしれません。

スタジオルームは壁面パネルを開閉して吸音材の露出度を変えることで残響を調整可能

収録した映像はYouTubeで公開していますが、それとは別に、この記事を読んでいる皆さんには元の音源データも一部公開します。YouTubeではデータが圧縮されてしまいますので、圧縮前の状態でもぜひ聴いてみていただければと思います。

>>音源ダウンロードはこちら
※データ容量が大きいためWi-Fi環境でのダウンロードをオススメします
※PCは右クリックして「名前を付けてリンク先を保存」、スマホは文字列を長押しして「リンクをダウンロード」でダウンロードできます
バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番ト長調より クーラント(96kHz/24bit)
カザルス 鳥の歌(96kHz/24bit)

―― この蔵前モデルルームには私も取材で毎月訪れていますが、響きが長い短いというだけでなく、それ以外にも何か一般的な住宅の部屋とは違うものを感じます。

多くの方から同様のことを言われますね。この部屋固有の響きを感じとっていただいているのだと思います。響きがある割には明快な余韻がきれいで自然であるとか、楽器が良く鳴るなどと評価していただくこともありました。最初はこの部屋の響きに戸惑う方もいらっしゃいますが、少し慣れると好印象に変わるようですね。オーディオ再生の観点で見ると、実はどんなスピーカーも楽に鳴るんですよ。

―― この部屋の設計の意図はどこにあったのでしょうか。

伝統的西洋建築の空間の響きを目指して設計しました。今日、我々が日常的に触れる音楽はクラシックはもとよりジャズ、ロックなどほとんど西洋にルーツを持つものです。ですので、「西洋の音楽は、西洋の響きを持つ空間の中で最高のパフォーマンスが生まれる」という考え方をしたわけです。

「良い音・良い響き」は建築音響の技術的側面からアプローチしていくだけで生まれるわけではないことが少しづつわかってきた時点で、一体それは何なのかと再考せざるを得ませんでした。

建築音響学というジャンルは、物理的側面と聴感・生理的側面、それに加えて風土的、民族的、歴史的評価面が絡み合ったものなのです。例えば、我々日本人が美しい音色だと感じるマツムシや鈴虫の鳴き声は、多くの西洋人には雑音、騒音としか聞こえないそうです。また、尺八のような和楽器と響きは西洋のそれとは違います。西洋の教会で和楽器を演奏したとしたら、それはそれで面白い響きになるかもしれませんが、おそらく和楽器が持つ元々の音色とは違っているはずです。このようなことがあり、現代社会で音楽を鳴らす部屋をつくるなら西洋建築の空間の響きを意識するべきだと再認識したのです。

―― 日本と西洋での部屋の響きの違いとは、具体的にどのような部分にあるのでしょうか。

日本の家屋は伝統的に、畳や土壁といった吸音する性質の多いもので構成されてきました。それに対して、西洋の家屋は石造りです。素材や工法が違うわけですから、響きも当然異なるわけです。石造りの空間で鳴ることを前提にした音楽が、日本の伝統的家屋の部屋でうまく鳴るかというとそうではないでしょう。現代の日本住宅は洋間が増えて以前ほどデッドな空間ではなくなっていますが、それでもやはり西洋の部屋とは響きが大きく異なっています。

―― なるほど。

現代の日本の住宅は、見た目が洋間であっても素材や工法が西洋のものとは違いますから、響きもヨーロッパの伝統的建築空間のものと違ってくるんです。楽器やスピーカーでも素材や形の微妙な違いで音が変わることを考えていただければ、部屋についても同様であることがイメージしやすいかもしれません。

―― 日本と西洋での部屋の素材や工法の違いについて、もう少し詳しく教えていただけますか。

伝統的な西洋建築と現代の日本の住宅との比較でお話ししましょう。伝統的西洋建築では、重くて厚い素材の単層構造ですので振動しにくいつくりになっています。

対して、日本の現代建築は軽くて薄い素材と複合中空構造でできています。新建材と言われるもので、断熱やコストなど優れている面もあるのですが、軽くて薄いわけですからオーディオ的観点から見ると振動しやすいのです。これほど明確な違いがあるんです。

軽い面材は単体でも振動して音が出やすいですし、外壁と内壁の間に断熱材などを入れる中空構造になっています。この中空構造が太鼓現象という共振を起こしやすいのです。

そして、低音での太鼓共振波動は同時に中高音の不要共振音を発生します。そのような結果、響きの周波数バランスは特異なものになりやすく、全体的に雑味の多い濁った響きになるんです。また、新建材は自然素材ではないので、人間にとって馴染みのない響き方をするという面もあります。日本でも昔の土蔵のような厚い土壁、しっくい壁などの部屋はすっきりした良い音という人がいますが、なるほどと思いますね。

日本の現代建築のオーディオ的側面というのは普段の暮らしではなかなかな気づきにくいものですが、当モデルルームを体験してもらうと響きの質の違いがかなりハッキリとお分かりいただけるでしょう。

話が長くなってしまいましたが、次回は当社モデルルームのような「西洋建築空間の響きを持つ部屋」をどのようにつくっていくのかをご説明したいと思います。

【音源ダウンロードはこちら】
バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番ト長調より クーラント(96kHz/24bit)
カザルス 鳥の歌(96kHz/24bit)
※データ容量が大きいためWi-Fi環境でのダウンロードをオススメします
※PCは右クリックして「名前を付けてリンク先を保存」、スマホは文字列を長押しして「リンクをダウンロード」でダウンロードできます

(次回に続く)

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