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【PR】防音工事会社アコースティックラボに聞く

オーディオで隣近所に迷惑をかけない「手軽な防音対策」とは? 部屋づくりのプロに聞く

2020年06月03日
オーディオを存分に楽しむための防音について、“音楽家のための防音会社”を謳うアコースティックラボに話を聞く短期集中連載企画。家族に対する防音について訊いた前々回前回に続き、今回は「家の外」への音漏れ対策のポイントを訊ねる。

アコースティックラボの防音ショールーム「蔵前ヴィレッジ」

―― 前々回と前回は「家族に気兼ねなくオーディオを楽しめるようにする」、つまり家の中の防音対策についての話でした。まず最初にドア、次に壁に対策をすることで家族への音漏れはなんとかなりましたが、一方で「家の外」への防音はどうすればよいでしょうか。隣近所への音漏れ対策として、何か手軽な方法はないのでしょうか。

たしかに、ご近所との関係が悪化してはオーディオは成り立ちません。そもそも気兼ねしながらのオーディオって充分には楽しめませんよね。前々回に少しお話ししたとおり、当社のお客様の多くがまず「ご近所への防音」を目的にご相談をいただきます。「もう少し大きい音でオーディオを再生したい」「もう少し遅い時間までオーディオを楽しみたい」という思いは多くの方がお持ちだと思います。

実際、夜の8時や9時を過ぎると街から様々な騒音が減って一段と静かになり、家の中に伝わってくる暗騒音やグランドノイズも減ります。周囲の音が静になるほど小さな音も聞こえやすくなるわけですね。これは自分だけでなく他の人も同じわけですから、オーディオの音量も必然的に抑えなくてはなりません。「あと少しだけでも大きな音で聴きたい」というのはオーディオファンの大きな悩みですね。

―― 前々回に、「住居外への音漏れ経路は『窓』が大きな要因」という言葉がありました。

ええ。窓が大きな決め手です。今ではほとんどの住宅に高気密断熱サッシが使われているのですが、これによって大きく防音性能も向上しています。かつての防音サッシと同等のレベルになっています。

しかし、それでも外壁の防音性能から見れば弱点であることに変わりがありません。例えば、高気密断熱サッシのペアガラス窓は遮音性能が25dBくらいなのですが、外壁の遮音性能は35〜40dBくらいあります。壁よりも窓の遮音性能のほうが低いので、そこから音が漏れていくわけです。これは皆さんも経験則でなんとなく感じていらっしゃるのではないでしょうか。窓が重要だというのはこれが理由です。弱点を攻略するのは戦いの常道ですからね。

オーディオメーカー「スフォルツァート」の試聴室。アコースティックラボが防音設計を手掛けており、窓はもちろん壁や床など総合的に対策したことで屋外への音漏れはほぼゼロ。深夜でも思う存分にオーディオの開発・試聴が行えるという

同じ面積の窓と外壁を比べた場合、10〜15dBの差というのは壁の10〜30倍の音エネルギーが窓から漏れている計算になります。ですから、家の外への防音性のは実質的に「窓で決まる」と言っても過言ではないのです。今回は比較的手軽な方法をご紹介するわけですが、もっと本格的な防音工事の場合でもこの考え方は変わりません。なお、今回は基本的に戸建てのケースを想定した話となります。マンションでも窓対策には二次的効果があることにはあるのですが、戸建ての場合よりも少々複雑になりますので今回は戸建ての想定で話を進めさせてもらいたいと思います。

―― 窓の防音性能向上というと、二重サッシにするという方法がメジャーですよね。

そのとおりです。弱点を攻めるのは防音対策においても鉄則です。元々の窓枠を交換せずに二重窓にできる「インナーサッシ」がメーカー各社から販売されていますので、これを使うのがオススメです。

三協立山/三協アルミ製の後付樹脂内窓「プラメイクEII(イーツー)」(三共アルミ公式サイトより引用)。後付で二重窓にできるインナーサッシが各社から展開されている

インナーサッシはどちらかというと断熱を主な目的にしたものが多いですが、気密性が高い、つまり隙間が小さいので防音性も持ち合わせているのです。本体のサッシ状態にもよりますが、10〜15dBほどの改善が見込めますので、体感的にもかなりはっきりと効果がわかると思いますよ。

―― インナーサッシ取り付けはどのような流れになるのでしょうか。

サッシメーカーの代理店などに依頼すれば、現場採寸から取付までをやってくれます。インターネットで各社製品の特徴を知ることができますので、気になった製品の代理店や販売店を調べてみるのがよいでしょう。

―― 費用面はどれくらいなのですか?

サッシの大きさやガラスの種類によって変わりますが、おおよそ7万円から15万円くらいです。確実に防音効果は得られますし断熱にも寄与しますのでオススメですね。

―― こうして二重サッシにすることで家の外への防音性能が大きく向上するわけですね。

そうです。窓の防音性能が壁の防音性能に近づくことで、総合的な遮音性能が大幅に改善します。数値で言えば25〜30dB、場合によっては壁の遮音性能に近い35〜40dB程度の遮音が実現できますので、何も対策していない場合より2ランクくらい上の環境になると言えます。

―― 比較的簡単に設置できる二重サッシにするだけでも結構な防音性能アップが得られる、と。ちなみに、ちゃんとした本格的な防音工事をするとどれくらいの防音性能になるのでしょうか。

当社の場合、総合遮音度として55dB減を標準仕様としてご提供しています。これはピアノ演奏用の防音室と同じレベルの防音性能です。オーディオ再生音はピアノなどの楽器演奏音より10dB以上小さいので、55dB減という当社の標準仕様であれば、外への音漏れはほとんど聞こえません。お客様によっては夜12時過ぎまでオーディオを楽しんでいる方もいらっしゃるみたいですよ。

ただ、隣家との距離がある程度あればそこまでシビアに音漏れを減らさなくてもよいわけですし、条件は敷地近隣関係それぞれです。二重サッシによる防音性能向上程度でも充分というケースも多いと思います。

―― 二重サッシに使うガラスについて気をつけることはありますか? 特別なガラスを特注したほうがよいなどはあるのでしょうか。

その前に現代住宅の窓ガラスについてご説明しましょう。国が省エネを推進してきたこともあり、ここ最近の住宅のサッシは断熱サッシが標準になっていて、その気密性は昔の防音サッシと同等以上です。そうなると、あとはガラスの性能がサッシ全体の防音性能を左右することになります。

そしてそのガラスには、複層ガラス(ペアグラス)が使われることも増えています。2枚のガラスの間に空気を挟むことによって断熱性能を向上させるというものです。

―― ガラスが2枚になって空気層もあるということで、防音性能はシンプルな1枚ガラスより向上する気もします。

単純にそうとは言い切れません。前回もお話ししたとおり防音性能は「重さ」で決まります。実は複層ガラスより同じ重さの1枚ガラスのほうが防音性能は上なのです。

また、ペアガラスには中空層がありますので、これも前回に壁の説明で紹介した「太鼓現象」という共振現象が起きてしまうのもオーディオ的には課題ですね。高域が透過しやすくなってしまうんです。ちょうど男性の声当たりの周波数帯域で音が透過しやすいのです。

―― なるほど。では、二重サッシにする場合でも複層ガラスにはしなくてよい、ということですね。

そうですね。メーカー標準の普通のガラスで充分です。価格も安価で済みます。住宅側の元々の窓が複層ガラスだった場合、インナーサッシ側を普通の1枚ガラスで組み合わせることで、「太鼓現象」による中低音域の透過損失低下という欠点がなくなるという素晴らしいおまけもつきます。

―― 防音ガラスはどうでしょうか。

使うに越したことはありませんが、価格が高価なこともあって当社ではあまり積極的には採用していません。

また、先ほどの複層ガラスの問題とは別に、ガラスにはもうひとつ音響的な弱点になる現象があるんです。硬い材質なのでコインシデンス現象によって高音域で共振しやすく、高音域の透過損失性能が弱くなるのです。その欠点をカバーするために、2枚のガラスの間に特殊な透明フィルムを密着挟み込んで音響的に高音域の防音性能のへこみを軽減したのが防音ガラスという商品です。

コインシデンス現象の解説

一方で、防音は技術的に低音域の対処が難しいのが一般的です。高音域の防音性能が多少上がっても総合的な防音性能向上にはあまりつながらないので、当社ではあまり積極的に採用していないのです。

―― これまで説明されてきたように、比較的手軽な防音対策だったら、スタンダードな1枚ガラスで二重サッシにすることがオススメということですね。

工事自体も比較的簡単ですからね。数時間もあれば取付工事が終わります。

なお、この二重サッシ化工事をもう少し詳しく見ると、中高音域で10〜15dB減の大きな改善が見込めますが低音の防音性能改善は5〜10dBほどにとどまります。中高音の防音効果に較べると低音への効果は弱いのです。音楽では低音域の楽器が活躍する曲も各ジャンルに多いので、オーディオ的にやや不利な面もあると言えます。ただ、やって失敗はありませんし、効果は期待していいと言えますよ。

―― 二重サッシ化は比較的手軽で魅力のある方法であることはたしかですね。

窓の防音性能が外壁の防音性能に近づくことで防音的な弱点をカバーできますので、確実に失敗なく効果があります。

より本格的な防音をお考えでしたら当社のような専門業者にご相談いただきたいですね。新型コロナウィルス感染拡大予防のための非常事態宣言が解除されるなどしてはいますが、それでもなるべく自粛生活が求められる状況はまだ続くでしょう。このタイミングで防音についてもじっくりと考えていただければと思います。

―― ありがとうございました。

(協力:アコースティックラボ)

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