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「つくづくアニメは面白い」

4K化で報われた − 押井守監督が語るUHD BD版『GHOST IN THE SHELL』『イノセンス』の “新体験”

編集部:押野 由宇

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2018年06月15日
『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』と『イノセンス』が、新たに4KリマスターされUltra HD Blu-ray(以下、UHD BD)として6月22日に発売される。


『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』が公開されたのは1995年11月。その内容については、この23年間途切れること無く語り継がれているため、いまさらこの場で述べるようなことはないだろう。ただ、『攻殻機動隊』が世界に与えた影響は大きく、アニメ/サブカルチャーという枠を軽々と超えた作品であるということは、今回改めてUHD BD化されることからも感じられる。

そうした作品として、近年では『君の名は。』が挙げられる。社会現象となった本作は、Blu-rayの売上でも大きな成功を収めており、コレクターズ・エディションに同梱されたUHD BDは、アニメ作品における高画質メディアの価値を世に知らしめることとなった。

『君の名は。』を例に出したのには、もう一つ理由がある。同作のUHD BDを手掛けたのが、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(以下、GHOST IN THE SHELL)のUHD BD化を行うキュー・テックだからだ(関連記事)。常にクオリティにこだわって数々のアニメ作品に携わるキュー・テックは、攻殻機動隊をどのように仕上げたのだろうか?

発売に先駆け、メディア向けにUHD BDの視聴会がキュー・テックで実施された。そして会場には押井守監督、キュー・テックの今塚 誠氏が登壇。その内容をレポートしたい。


押井監督が語ったUHD BD化への期待と不安

「今回のUHD BD化についてどう捉えているか」と問われた押井監督は、「待ち望んでいた」と語りはじめた。以下、押井監督のコメントが続く。

押井監督:このお話がきたときに、まず『イノセンス』の4Kリマスターは「ようやくか!」といった気持ちでした。4Kにする意味を考えたとき、『イノセンス』はどう考えても4Kで見て欲しい。

押井守監督

アニメでは、役者の存在感などは実写にどうしても敵わない。そこでキャラクターを簡略化してエッセンスを再現するのが、アニメーターだけができる特権的な世界。でも自分はそれができる人間ではないので、いかに緻密な映像を再現するかを考えてきました。『イノセンス』は、いわばその総決算。これ以上はないだろうという、可能な限り緻密さの部分、映像それ自体が持っている力を前面に押し出した作品です。

それなので、4Kにすることになんのためらいもなかった。むしろ前からお願いしていたくらい。モニターの精度も追いついたということもあって、これが好きな時に観れるというのは素晴らしいですし、作った側としても嬉しいことです。通して全部観なくてもいいと思っています。チャプターで好きなシーンばかり、じっくり何度でも見て欲しい。それに耐えられる作品であるという自信もあります。

一方で、『GHOST IN THE SHELL』はフィルム時代の最後の仕事。当時のことを考えると、UHD BD化は不安でいっぱいでした。今だから言えますが、まったく時間がなく、10ヶ月で作るしかなかった。レイアウトに時間をかけたので、作画期間は全部で3ヶ月なかったんじゃないかな。

だから今でもレイアウトには自信はありますが、公開した時点でリテイクが結構残っていた。テクニカルなミスがかなりあったので、リニューアルする度にゴミを消すなど色々と修正をしてきている。『イノセンス』と比べると、精密度もケタが違います。

「4Kであからさまになったらどうしよう」

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