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【特別企画】

新KLIMAXにAKM最上位DAC「AK4497」が搭載された理由とは? “DAC選び” の裏側を聞く

2016/12/14 聞き手・構成:土方久明
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キース LINNは長年継続してDA変換技術の研究と開発を行ってきました。1991年に第1世代のDACを搭載したLINN初の単体DAC「NUMERIK」を発売。1998年は「CD12」、そして2007年に私とギラードで始めたプロジェクトによって生み出された、第3世代DACアーキテクチャを採用した「KLIMAX DS」が発売されました。そして今回発売された「KLIMAX DS/3」は全く新しいDAC機構を積んだ、LINNとして第4世代のネットワークプレーヤーです。

KATALYSTにAKMの「AK4497」が搭載された理由とは

――今回の新型DSですが、やはり一番の注目点は刷新されたDAC部分ですね。その新技術を説明して頂けますか?

キースDACという言葉は広義な意味を持ちます。人によってはそれがチップ1つを意味することもあるし、DAコンバーターとしての製品を意味することも出来ますが、LINNにとってDACとはプロセスであり、デジタル信号をアナログに変換する全行程を意味します。

「KATALYST」は、DAコンバージョンの各ステージや、マスタークロックに独立した電源供給システムを採用し、デジタルデータ最適化ステージの導入など複数の新しい技術が導入された新しいDACプロセスなのです。

キースこちらのチャートをご覧になってください。これは「KATALYST」の概念を表しています、左側が信号入力を表すインプットで、左から右へ信号が流れます。

オーディオ信号の入力から出力までの流れを示した模式図。左が非KATALYST、右がKATALYST搭載時のもの。データ、クロック、リファレンスレベルの3つが最終的な音質に大きな影響を及ぼすとLINNでは考えている

インプットは3つの要素から成り立っていますが、DATAと言われる要素は、デジタル楽曲ファイルのデータを意味します。まずデータはただ単にDACにそのまま入れれば良いわけではなく、精度の高い信号として入れなくてはいけないということを理解して頂きたいのです。なぜならこの部分で生じた精度の狂いは、後段のステージでは修正が難しく、音質に大きな影響が出てしまうからです。

佐藤AKMとしてはハイビット、ハイレートというのが、「リアルライブサウンド」を実現するための必要不可欠な要素だと考えています。LINNのこのような思想と我々の考えは合っていると思います。

キース次にクロックです。ご存知の通りクロックは正確なタイミングで信号を入力する役割を担います。今回の解説では、クロックというのは水平方向での正確さを保ってくれるものだと理解して下さい。

そして最後にリファレンスレベルです。これは基準電圧と言いますが、今回の「KATALYST」の技術においてLINNが最も重要視している部分です。水平方向のクロックで時間軸を整えつつ、垂直方向の振幅を規定するための大事な要素です。

そして画像中央のクリエーションと呼ばれる部分、LINNでは今回のDAC回路刷新にあたり、(今までの)DACチップのDACのCいわゆるコンバージョンの部分をクリエーションという言葉に置き換えました。ただ変換するだけではなく、新たに創り出すというコンセプトの名のもとにこの部分の技術を深く追求することにしたのです。

――そして、そこにAKMのフラグシップDACチップ「AK4497」が搭載されたのですね。

キースはい。今回嬉しかったのは、AKMのチップが、他社のどのチップよりもこのクリエーションの部分がしっかりと作りこまれていた事です。

結果を先にお話しすると、今回のDAC機構は、AKMのチップの一番良い部分とLINNの持つ技術の一番良い部分を組み合わせることができました。

――それはすごい!

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