早見沙織インタビュー　待望のアーティストデビューシングル「やさしい希望」の作詞に迫る

公開日 2015/08/10 11:00 高橋敦

▼ヘッドホンから話題はレコーディングへと…

早見さん：（音量を合わせてしばし聴き込み、「やさしい希望」を聴き終えたらしきところでヘッドホンを外す）

ーーー　どうでしょう？

早見さん：純粋な感想なんですけど…この歌をレコーディングブースで録っていたときをまるっきり思い出すくらいの音でした！レコーディングのときみたいです。

デザイン面でも音質面でも優秀なharman/kardon「CL」

ーーー　そう感じてもらえたならメーカーの方もとても喜ぶと思います。オーディオ好きの方でもスタジオの音、本人が聴いている音を目指している方も多いんですよ。

早見さん：録音ブースではヘッドホンでモニターしながら歌っていて、そのときはこうやって片耳を外して歌っているんですけれど、それと同じようにしてみてもやっぱり同じ感じです。スタジオみたいに手元のモニター調整つまみをいじりたくなります、リズムガイドのクリックを大きくしようとか自分の声の返しをもうちょっと大きくしようとか。

ーーー　よいヘッドホン環境だとレコーディング時に早見さんが聴いていたのにほんとうに近い音を聴くことができると。それはメーカーの方にもオーディオファンの方にも早見さんのファンの方にもにも朗報ですね。

早見さん：そうなんですね。あとわたし録音後に「一回聴いてみましょう」っていうときにヘッドホンを外してこうやって（手前に置いてスピーカー代わりのようにして）聴くんですけど、この聴き方でもすごい似てます！ヘッドホンの向こうに辰也さんがいる！みたいな。あ、エンジニアの中村辰也さんは山下達郎さんの録音も担当している方で…

ーーー　早見さん、山下達郎さんお好きなんですよね？

早見さん：そうです聴きます！ライブに行かせていただいたことがあって。で、録音の話だと、それが辰也さん独特のものなのかはわたしにはわからないんですけれど、エコーの置き方っていうか、聴いている人に言葉をすごくふわ～ってやさしく渡してくれるような感じがして。それがほんとうにそのままこのヘッドホンからも聴こえてきます。

ーーー　「やさしい希望」には特にぴったりですね。他に例えばドラムスの音も、ドンッっときてからすっと広がる太鼓らしい空気感を豊かに感じさせつつ、でもボーカルの邪魔は全くしないところとか、聴かせていただいて見事だなと思っていたんですが、中村辰也さんだったんですね。なるほどです。

早見さん：…「ブルーアワーに祈りを」を聴いてみていいですか？ …これもレコーディングのときの感じに近いですね。レコーディングで歌ってたときに思ってたのが、この曲はしっとりしている、バラード的なしっとりじゃなくて質感としてしっとりしている感じがあったんですけど、このヘッドホンからもそれがそのまんま聴こえてきます。

ーーー　たしかに「ブルーアワーに祈りを」は、曲にも音にも心地よい湿度感がありますね。

早見さん：情緒や湿度、温度がありますよね。

ーーー　実によいタイミングのヘッドホンのおかげで、実によいお話をお聞きすることができました。ありがとうございました。

早見さん：こちらこそありがとうございました。

●出会いが生みだした「はじまり」

というわけでデビューシングル「やさしい希望」について、作詞にも挑戦した早見沙織さんご本人へのインタビューをお届けさせていただいた。

印象的だったのは、こちらの拙い質問にもその意図をさっと察して応え、プラスαのお話も加えてくれる聡明さ。歌詞において何を伝えたくてどういう意図でどんな過程を経てその言葉を選んだのか。そういったことがご自身の中に明確にあることも伝わってきた。また初の作詞となる早見さんをサポートした周囲の力も大きいと感じた。早見さんご自身の想いを伝えるにあたって、だからこそ客観的な立ち位置からの助言も重要だったのではないかと思う。

そしてインタビュー時はまだ「赤髪の白雪姫」放送開始前だったのだが、その後に放送開始された作品を見ると、なるほどたしかにこの歌詞は、早見さんご自身の気持ちと物語のテーマやヒロインを重ねたものだとさらに納得できた。周りから支えるスタッフとの出会いと同様に、「赤髪の白雪姫」だからこそ早見さんからこの歌詞が引き出されたという、この作品との出会いもたいせつなものだったのかもしれない。

レコーディングについては、インタビュー後に放送されたラジオ番組「早見沙織のふり～すたいる♪」にても興味深いお話があった。「やさしい希望」のボーカルは、本番のレコーディングではなくてその前のプリプロダクション、本番に向けて諸々の確認を行うためのテスト音源の制作時にレコーディングしたテイクが採用されているというのだ。

レコーディングにおいては「もっといいものを！とテイクを重ねてみたけれど結局はファーストテイクがいちばんだった」ということは多々あるというが、今回のそれは本来のファーストテイクよりもさらに前のテイクということになる。

早見さんの歌にせよそれを捉える録音にせよ、完成度とか整い方としては、準備万端で臨んだ本番の方が高くなっているはずだ。しかし音楽には表面的な完成度よりも大切なものがある。チーム早見はそう判断した、そういう判断をできるチームだということだ。おかげで我々には「いちばん瑞々しい『やさしい希望』」が届けられることになった。

「やさしい希望」は早見沙織、そして彼女をサポートするチームの第一声だ。ぜひともそれをいまこのときに、一緒に体感してもらいたいと思う。

(高橋敦)

■早見沙織1stシングル
「やさしい希望」
アーティスト盤(CD+DVD)：1000572324　￥1,800(税別)
＊特典内容：「やさしい希望」Music Video, SPOT
アニメ盤(CD+DVD)：1000572325　￥1,800(税別)
＊特典内容：TVアニメ「赤髪の白雪姫」ノンクレジットアニメOP、「赤髪の白雪姫」原作者・あきづき空太描きおろしジャケット
通常盤(CD)：1000572326　￥1,200(税別)