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「アニソンオーディオ Vol.2」12月24日に発売!

【特別インタビュー】『パトレイバー』『G.I.S/攻殻機動隊』の作曲家・川井憲次氏が語るオーディオの楽しみ

岩井喬
2014年12月16日
アニメ・実写を問わず、数多の作品を魅力的な音楽で彩ってきた作曲家、川井憲次氏。作品のテイストに合わせて千差万別に表現を変える一方で、“川井節”とも表される音楽の芯を持つその楽曲は、聴くものをその世界に深く誘ってくれる。

取材は川井憲次氏のスタジオで行われた。普段作業をされている場所だけに、機材や資料など至る所から生の雰囲気が伝わってくる

氏をご紹介するにあたり、氏が音楽担当として携わった作品の中から、ここではアニメ作品に限定して、かつその一部を列挙させていただきたい。TVシリーズ「めぞん一刻」「らんま1/2」「機動警察パトレイバー」「Fate/stay night」「ひぐらしのなく頃に」「ばらかもん」「ガールフレンド(仮)」、映画「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」「イノセンス」「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」「トワノクオン」など。

本記事では、2014年12月24日発売を予定している「アニソンオーディオ Vol.2」の企画として行われた氏へのインタビューから、オーディオファンとしての側面について掲載したい。


アニソンオーディオ Vol.2

−− 川井憲次さんと言えば、世界的に著名な作曲家であると共に、オーディオファンとしても有名です。ぜひ、その面からお話をお聞かせ願います。

川井憲次氏(以下、川井): 有名でしょうか(笑) 確かに、スタジオのラージスピーカーは、自作品です(笑) ユニットはJBL製で、ウーファーは38cmの2235Hを2発、中域ドライバーは2450J、トゥイーターには2405を使っています。ウッドホーンはフォステクスのH200ですね。ネットワークも、コイルやコンデンサーをハンダづけして作ったんですよ。でも、決して良い音ではなく、自分に分かりやすい音を目指しました。随分前に自作してから、ずっと使い続けています。本当は一日中いじっていたいんですけど、最近は時間がなくて。

スタジオのラージモニターは川井氏の自作品。手前にはソナス・ファベールのブックシェルフ型スピーカー、ミニマ・ヴィンテージやJBLのモニタースピーカーが設置されている

−− オーディオ好きとして、相当深いと思います(笑)

川井: そうでしょうか(笑) オーディオは、小学生の頃から興味を持ち始めましたが、本格的にハマりだしたのは中学生になった頃ですね。最初は家にあったトリオの3点セットでは低域が足りないと感じたんです。ウーファーを追加したら良いんじゃないかと単純に思ったんですが、今思えばその時は過剰な低音が好きだったんですね。いまはスタジオでソナス・ファベールのスピーカー、ミニマ・ヴィンテージを置いています。理由としては、音が全部見えるからですね。良い意味で地味と言うか、色づけがないので、モニターとしても使えます。

最近のアクティブスピーカーでは、10個くらい聴き比べたところJBLのLSR6300シリーズがモニタースピーカーとして優れていると感じました。ADコンバーターは数年前までdCSを使っていましたが今はアンテロープのエクリプス384を使っています。

−− オーディオファンとしての視点から、ユーザーの方にアドバイスはありますか?

川井: うーん、特にはないんです(笑) オーディオユーザーの皆さんには、良い音、自分の好きな音で楽しんでもらえれば嬉しいですね。ただ、しっかり低域の出るシステムでは聴いていただきたいなと思います。100Hz以下とかの、パソコンのスピーカーでは絶対聴けない帯域がけっこう出てると思いますので。スペアナで見ると、20Hzとかかなり出てるんですよ。最近のハイレゾという部分から見て面白そうなのは、同じ楽曲を全てデジタルで処理したものと、アナログを通して処理したものと、その違いを比べてみるなんてどうでしょうか?

一般的にはPro Toolsで全て処理してしまうことが多いですが、自分は一度アナログに変換する工程を取り入れています。そこにどんな違いが出るのか、ハイレゾであればより明瞭に感じられるかもしれません。そんなお話があれば、ぜひお声掛けください(笑)

−− それは面白いですね。企画を考えてみます(笑) それでは、いまお話に出ましたハイレゾというフォーマットについてはどうお考えでしょうか?

川井: ハイレゾの普及でオーディオが元気になるのは、オーディオファンとしても嬉しいですよね。また、音楽コンテンツ自体が盛り上がるのであれば、それも喜ばしいことだと思います。個人的には普通のDVDなどにデータを入れて、プレーヤーに入れるとそのままCDプレーヤーのように再生できるようになればいいと思うんですよね。配信だとサイズも大きいですし、ダウンロードに時間が掛かってしまいますから。

あと、時間が掛かると言えば、僕らの制作環境では48kHz/24bitが主流ですが、ハイレゾにするっていう観念がなかったんです。192kHzや96kHzで録れるシステムにはなっていますが、納品は結局48kHzなので意味がないというか、ただデータ容量が倍になってバックアップとか作業時間が倍になってしまうというデメリットだけが残るんです。さらにCDだと44.1kHzになるのですから、どうなんだろうと…。

でも、転送速度や処理速度が上がって、業界の標準規格が192kHzになるなんてこともあるかもしれませんね。ただ現状でもスタジオでバックアップに1時間くらいかかるので辛いです。できれば早く帰りたい(笑) まあスペックはともかく、まず良い音楽を作るということが、前提としてあります。



12月24日発売の「アニソンオーディオ Vol.2」本誌では、「パトレイバー」シリーズのお話や、氏の作曲に対するお考えなどを掲載する予定となっている。より現場に近しい詳細な内容は、ぜひ本誌でご確認いただきたい。

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