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黎明期から”ハイレゾ対応”を推進したその理由に迫る

ノーススターデザインCEOインタビュー - ヨーロッパ有数のデジタル先進ブランドの素顔

公開日 2014/11/28 15:46 季刊NetAudio編集部
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数あるブランドのなかでも、とりわけその製品ジャンルにおいて特別な存在感を放つブランドというものがオーディオの世界にはある。イタリアに本拠を置くノーススターデザインは、昨今のデジタルオーディオを語るにあたり、間違いなくそうした特別な存在といえるだろう。特に、いま世間を賑わせるハイレゾオーディオの黎明期からその可能性を見出し、いち早く5.6MHz DSDや384kHz/32bit PCMなどハイサンプリングレート音源に対応を果たしたD/Aコンバーターを世に送り出すなど、デジタルオーディオの分野で常に最先端を走る製品を生み出してきた。

ノーススターデザインの新製品となるIntenso(¥165,000/税別)。5.6MHzのDSDネイティブ再生への対応を始め、最先端のデジタルオーディオ技術を満載した仕様で注目を集めている
こうしたデジタル再生において重要なポジションを確立しながらも、これまでノーススターデザインというブランドそのもののバックグラウンドが語られることは少なかった。そこで、今回はCEOであり、同社プロダクトの開発者でもあるジュゼッペ・ランピーノ氏に、そもそもノーススターデザインがどういうブランドなのかを聞いた。


ノーススターデザインを牽引するジュゼッペ・ランピーノ氏。ノーススターデザインの製品開発には、同氏の音に対する先進的な考え方が大きく反映されている
船舶のコントロールシステムの開発からスタート
オーディオへの情熱からプロ向け機材を開発した


まず、ランピーノ氏の経歴を簡単にご紹介しておこう。ランピーノ氏は、イタリアのレッチェという都市にあるセカンド・レベル・カレッジ(日本でいう中学校と高等学校)にて自然科学を学んだ後、イタリアで最も歴史の古い大学のひとつであるピサ大学にて電子工学の修士号を取得。その後、イタリア核物理学研究機構で数年間にわたって高エネルギー物理学の研究に携わり、その間には「高抵抗シリコンにおける低雑音トランジスタの統合」をテーマとした論文も執筆している。

そんな彼が、1997年に設立したのがノーススターデザインだ。実はノーススターデザインは現在の姿から考えると少し意外な業務を行う会社としてスタートしている。

イタリアのピサ郊外にあるノーススターデザインの社屋。ここでは製品の企画・開発など核となる業務が行われている

「実はノーススターデザインは、船舶における制御コントールシステムを開発する会社としてスタートしました。しばらくはこの分野での開発を行っていたのですが、やがて大好きなオーディオに対する情熱を抑えることができなくなったんですね。そうして何年かの研究を経て、最初のD/AコンバーターとなるModel 1のプロトタイプを作ったんです。これは96kHz/24bitに対応したDAユニットでした。私たちはミラノにあるマスタリングスタジオにて、このD/Aコンバーターを検証したのですが、当時はちょうどDAWソフトウェアのSADiEが登場した頃で、マスタリングエンジニアにとっては96kHz/24bitでSADiEを動作させる初めての体験となったそうです。その後、私たちはマイクプリアンプのModel2を試作し、これらの経験を活かして2000年にはModel 3というD/Aコンバーターを発売しました」

ノーススターデザインの製品は、いわゆるプロオーディオ機器の1Uサイズやハーフサイズを彷彿とさせる筐体のモデルが多いが、そこには同社がスタジオ向け機器の開発からオーディオブランドとしての歴史をスタートさせたことが大きく関係しているのかもしれない。また、この話からも分かるとおり、最先端のデジタルフォーマットに対応し続ける現在の姿は、すでにブランドの創設時から確立されていたとも言える。

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