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【特別企画】スタート・ラボ 揚社長 インタビュー

「That's」擁するスタート・ラボが創立25周年 − 同社社長が語る“アーカイブ”の重要性

公開日 2014/08/27 12:33
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付加価値商品へこだわり、市場を鼓舞し続けるリーディングブランド「That's」。極めて高い信頼を獲得する同ブランドを擁するスタート・ラボが、1989年6月、世界初となるCD-Rの発売から、創立25周年の大きな節目を迎えた。記録型光ディスクは今、大きな潜在需要が有望視されるアーカイブ市場において、“オフライン”“再生互換性”“長期保存性”のキーワードから、その存在がクローズアップされている。眼前に拡がる商機を前に、新規市場開拓を期する揚伯裕社長に話を聞く。

■大切なものを残す − 新たな文化の創造


―― 今では大変身近な光ディスクも、25年前、その船出は順風満帆とはいかなかったそうですね。

 1989年6月14日、ソニー株式会社と太陽誘電株式会社の合弁企業として株式会社スタート・ラボが設立されました。初代社長にはCDの生みの親・中島平太郎氏が就任。世界初の光ディスク技術によるCD-Rを全世界に広め、新たな文化・事業を創造したいという強い信念のもとに立ち上げましたが、中島氏の執筆した『CD-Rと15年 シナリオのないドラマを追って』には、難度の高い障壁が幾度となく行く手を阻み、気持ちが折れかけた経緯が克明に記されています。

(株)スタート・ラボ 代表取締役社長 揚伯裕氏

技術的な障壁はもとより、音楽・ソフト業界との調整作業にも大変苦慮されました。今では信じられませんが、当時は「CDのクローンを無制限につくれるメディアを性懲りもなく開発して…」と揶揄されたそうです。8名の従業員を抱えてスタートしたものの、当初1ヶ月のCD-Rの販売枚数は僅かに27枚、売上金額は8万円でした。「世界で初めてCD-Rを世の中に出したという自負だけが、仕事を続ける支えであった」と当時の心境が述べられています。

1989年、世界で初めて「CD-R」を発売

創立25周年を記念した限定商品「限定版25周年Anniversary model」。マスターディスク用の高精度スタンパー、高耐久性の銀合金反射膜、そして盤面は高級感あるゴールドを採用

―― その後、記録型光ディスクは飛躍的な進歩・普及を遂げました。

 CD、DVD、BDと新たなフォーマットが次々に誕生し、これら技術革新を通し、我々の生活のあらゆる場面に、音楽・映像・データを記録・保存する新たな文化が創造されました。ハードウェア、ディスク・メディア、関連商品が急速に進歩、普及したことで、汎用性が高くて使いやすい、高品質・高信頼性で安全・安心なフォーマットとしての地位が確立されたのです。

記録型光ディスク・メディアは技術的に高いポテンシャルを備えており、設立時に関係者の強い思いが込められたSTART Lab Inc.(Sony Taiyo yuden Advanced Recording Technology Lab Inc.)の社名にある通り、先進的な記録技術の改革を通し、継続的に社会貢献に取り組んできた25年間だったと言えます。

同社の歩み。世界で初めてCD-Rを発売してから現在まで様々な商品を開発して業界をリードしてきた

■脚光を浴びる記録型光ディスク


―― 揚社長は2011年に社長へ就任。3年余になりました。

 時間の経過の早さには本当に驚きを感じます。会社の経営理念や向うべき方向、アプローチの手法については基本的に変わることはありませんが、日々の活動を通して一つ一つ積み重ねていく「点」が、振り返った時に「一本の太い実線」を描くことをひとつの目標としてきました。

―― 振り返っていかがですか。

 厳しい市場環境の中ですが、お陰様である程度太い実線が描けたように感じています。また、2つの異なる企業文化を持つ株主のもとで、舵取りの難しさをご指摘いただきましたが、最も大切な「コミュニケーションを徹底すること」で、大変円滑な関係を築くことができておりますし、相互理解が深まったと自負しています。

―― 光ディスクの潜在力をいかにアピールされていくのか。今後の取り組み方針をお聞かせください。

 一言で言えば、着任当初にもお話しした「原点回帰」でしょうか。市場も急速に変化する中で、原点に立ち返り、株式会社スタート・ラボの在るべき姿は何かを訴求し続けていきたいと思います。

That'sブランドに対してお客様が期待することを言葉に置き換えるならば、「ユニークな商品」「ユーザー目線の商品」「付加価値のある商品」「他社の真似できない商品」です。それは技術に裏打ちされた「品質」「信頼性」「耐久性」「安心感」が認められていればこそ。この25年間、「日本製」「トリプルガード」「写真画質」「マスターモデル」「アーカイブモデル」等として商品化してきました。特に「アーカイブモデル」に関しては、今後、記録型光ディスクの技術をベースとして、新規市場を開拓できる可能性を大いに持っていると見ています。

長期保存用に推定寿命30年以上を実現した「for Archive」モデルも展開

トリプルガード採用モデルは、売上の一部が震災復興にあてられる「がんばろう!日本」パッケージも

―― アーカイブという商品名そのものがキーワードですね。

 “物を記録する”“物を残す”行為は太古の昔から必然的に行われてきましたが、現代では記録型光ディスクが“歴史を記録して保存する”重要な記録媒体のひとつ。昨年6月、米国の国家安全保障局(NSA)が、大手IT企業が提供するネットサービスに直接アクセスして、ユーザーのデータを収集していた事実が露わにされた「スノーデン事件」が全世界を震撼させました。以降急速に、オフラインでの安全な情報管理システムの構築が求められています。

<なぜ、今、記録型光ディスクなのか>

・オフラインでの安全性
・汎用性・再生互換性が高い
・長期保存性に優れる

差異化された商品開発がニーズを顕在化



安定した情報管理の分野で、物理的に長期保存も可能で、さらに汎用性の高い記録型光ディスクのビジネスチャンスは、まだまだ残されていると確信します。真摯に市場と向き合い、求められるものをタイムリーに提案、提供し続けて参ります。

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