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DIGA/nasneと密接連携

iPhone/iPadへの番組ムーブにも対応へ − デジオンに聞くDLNA/DTCP-IPのいま

公開日 2012/11/29 11:45 海上 忍
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iOS版のアプリはまだUIや機能を作り込んでいる段階で画面は掲載できないが、スムーズに再生が行えていた
iOS対応は、DTLA(DTCP-IP規格を運用するうえで不可欠の機器証明書を発行する団体)が受信TTL値に関する規制を緩和し、この値を取得しない実装を認めたことを受け、従来実現困難とされてきたiOSデバイス向けにDLNA/DTCP-IPクライアントアプリを開発しようというもの。すでにパケットビデオが「Twonky Beam」で同機能を実現したが、デジオンも現在「鋭意開発中」(三阪氏)。今回プロトタイプを目にすることができたので、公開できる範囲の情報をお届けしよう。

視聴はDIGA春モデルを対象に、iPad Retina、iPhone 4Sで実施した。アプリを起動しDIGAのアイコンをタップすると、DLNA(DMS)で公開しているカテゴリが表示される。「開発中のためGUIは変更される可能性があります」(橋本氏)とのことだが、ツリー状に階層を掘り下げてブラウズしていく操作スタイルは馴染みやすく、抜本的に変更される可能性は低そうだ。

再生は至ってスムーズで、フリーズしたりフレーム落ちが発生したりということはなかった。「DTCP-IP対応については実装済で、フルHDではないコンテンツについては支障なく再生できます。確認したコンテンツは、DIGA側でH.264のハイビジョン(720p)に変換したものとVGAに変換したものです。実際にリリースするまでには、パフォーマンスを落とさず再生するためのチューニングが必要です」(三阪氏)

フルHDコンテンツの再生については、「H.264映像は、内蔵のハードウェアデコーダを利用することで再生できます。問題はDRモードで録画したコンテンツ(MPEG-2ビデオ)ですね。iOSデバイスのSoCには、MPEG-2コーデックが搭載されていませんから、ソフトウェアによるデコードとなります」(三阪氏)とのこと。DR録画などビットレートの高いコンテンツは、その情報量の多さに対応しつつ暗号処理をしなければならず、デュアルコアのApple A5を搭載したiPad 2ですら再生環境としては厳しいという見解を示した。送信側(DLNAサーバ)にH.264トランスコード機能が必須とされる可能性は高いだろう。

再生だけではない。同社ではiOS向けアプリに、将来的にはDTCP-IPのダウンロード型ムーブ機能も実装したいと考えているのだ。これが実現すると、レコーダーで録画した番組をiOS端末に転送し、外出先で見るという使い方が可能になる。「これまでAndroidで技術的な蓄積があり、どの機能が実際に使われるかも分かっているため、iOS版は本当に使いたいと思える機能を集中的に投入したいと思います」(三阪氏)。

アプリは試作品の段階で、タイムラインの表示やシーク機能がないなど、必要最低限の再生機能しか実装されていないが、iPad RetinaやiPhone 4Sで地デジの映像を楽しめるというのはかなり魅力だ。DIGAの場合リアルタイムにH.264へトランスコードできるので、ライブ視聴もそつなくこなせる。個人的には、軽さとほどほどの画面サイズが支持されているiPad miniに最適な印象を受けた。

テレビ番組の視聴は多くのiPhone/iPadユーザーに歓迎されるだろうし、DTCP-IPのダウンロード型ムーブが可能になれば、番組を外に持ち出すことができ、利便性がさらに向上する。さらにパナソニックやSCEとの深い協力関係により、DIGAやnasneなどとの連携において、ほかのアプリ以上の機能が実装される可能性が高い。1日も早いリリースを望みたい。

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