HOME > インタビュー > 「ハイレゾだけがハイファイじゃない」 − 新ブランド「KEY Sound」のねらいを開発責任者・長谷川氏に聞く

第一弾USB-DAC「UDA923BF」まもなく発売

「ハイレゾだけがハイファイじゃない」 − 新ブランド「KEY Sound」のねらいを開発責任者・長谷川氏に聞く

公開日 2011/07/11 09:30 編集部:風間雄介
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

長谷川氏が学生時代にアルバイトしていたのがエレクトリ。同社は、オーディオファンにとっては高級オーディオ機器の輸入商社としておなじみだが、長谷川氏が働いていたのはスタジオやホール用の業務用音響機器部門だ。

「学生時代のアルバイトからはじめ、卒業後にそのまま入社してしまいましたので、結局8年ほどいましたでしょうか。その間は業務用機器のメンテナンスを主に行っていたのですが、ただ単にメンテナンスするだけでなく、修理や改造の仕事も回ってくるわけです。そこで電気的な知識や経験を身につけることができました」。

当時は24chや16chのアナログマルチトラック機器から、デジタル機器へ移り変わる時代。アナログ機器の知識と同時に、デジタルディレイやハーモナイザーなど、黎明期のデジタル機器の基礎知識も身につけることができたのだという。

その後長谷川氏は、エレクトリからビクターの関連会社に移り、特機事業を手掛けた。「それまで培った知識を活かして、この会社で設計を初めて担当しました。もともとエンジニアを目指していたので『ようやくなれた』という感じでしたね。作っていたのは主にミキサーで、顧客の要望に応じて特注品を作るわけです。とにかく、ここで設計の面白さを実感しました」。

■赤井電機でDAT開発にも参加


長年に渡る音響機器での経験をじっくりと語ってくれた
ビクターの子会社から長谷川氏が転じたのは赤井電機のオーディオ設計部。当時はAKAIブランドの電子楽器事業部が立ち上がっていた頃だったから、業務用機器の豊富な経験を、民生用機器に取り入れることを期待されたのではないか、と長谷川氏は振り返る。

しばらくは12chのアナログレコーダーなどを作っていた長谷川氏。その後、DATの初期のレコーダー「D-9000」のプロジェクトに参画した。「当時はいまのように、使いやすい汎用デバイスが豊富に揃っていない時代。デバイスも内製して、ようやく完成させられた」と、長谷川氏は苦労を語る。

DATのほかにも、赤井電機で長谷川氏が手掛けた製品は数多い。ミニコンポやハイファイカセットデッキなどに長く携わり、数々の名機を世に送り出した。赤井在社時代の終盤には、DVDプレーヤーのピックアップ開発も行ったという。

次ページUSB-DAC「UDA923BF」の開発背景

前へ 1 2 3 4 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE