【胸クソ注意】壁を一つ隔てた天国と地獄! 収容所の隣で幸せに暮らす一家の“無関心”
ミヤザキタケルサブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2023年製作の『関心領域』をご紹介します!
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『関心領域』
(配信:Netflix Amazon Prime Video U-NEXT)
(C)Two Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023. All Rights Reserved.
カンヌ国際映画祭にてグランプリとFIPRESCI賞を受賞、アカデミー賞にて国際長編映画賞と音響賞を受賞したジョナサン・グレイザー監督作。第二次世界大戦末期、家族と共に大きな屋敷で悠々自適な生活を送るナチス親衛隊の将校ルドルフ・ヘス(クリスティアン・フリーデル)。一方、壁を一枚隔てた向こう側にはアウシュビッツ強制収容所があり、収容されたユダヤ人が日々殺され続けているのだが……。
何て嫌らしい作品なのだろう(褒め言葉)。収容所の様子をはじめ、あえて暴力的且つ残虐性の伴う描写は映さないという表現方法が、かえって目にする者の想像力を刺激し、その歪さを加速させていく。
焼却された人々の煙が空に立ち込め、絶えず怒号とも悲鳴とも取れる声や強制労働などにより生じているであろう雑音の数々が聞こえてくるのだが、気に留める様子もなく一家は平然と日常生活を送っていく。そんな様子を延々と見せつけられ辟易してしまうのだが、生まれた国や時代、受けた教育や育った環境が異なれば、彼らと同じ行為へと至る可能性は誰にだってあると思う。
どんなに胸を痛めるニュースを目の当たりにしても、自身や家族、身の回りの大切な人へ実害が及ばぬ限り、何事も他人事で済ませてしまえるのが現実。自ら進んで面倒事やリスクが伴う事柄に首を突っ込める人間なんて、そうはいない。
国や時代を問わず、誰もがその身に宿す“無関心”。そこからもたらされる弊害の数々は、劇中よろしく数多の歴史からも読み取れるものだし、私たちが生きるこの現実にも無数に存在する。その上で、私たちはどのように生きていくべきなのか。容易に答えを導き出すことなどできない問いを、本作は投げかけてくることでしょう。
(C)Two Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023. All Rights Reserved.
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| ミヤザキタケル 1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 宝島社sweetでの連載をはじめ、WEB、雑誌、ラジオなどで、心から推すことのできる映画を紹介。そのほか、イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30 人のシネマコンシェルジュ」など、幅広く活動中。 |