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スタジオとホームを融合させる注目AD/DAコンバーター

忠実再現と音楽表現が融合 ― RME「ADI-2 Pro」の絶妙なチューニングを聴く

2017/08/02 山之内 正
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■ほかの製品では置き換えられない機能とパフォーマンス

スタジオやホールなど音楽の製作現場ではRME製品の青いパネルを頻繁に見かける。ドイツのブランドだが活躍の場は世界各国に広がり、日本でもレコーディング現場を中心に多数のRME製品が使われているのだ。そして、最近はプロの現場だけでなくオーディオ愛好家がリスニングルームで活用するケースも着実に増えていて、特にFirefaceシリーズやBabyface Proなど、RMEを象徴するUSBオーディオインターフェイスの人気が高まっていると聞く。

プロ機器として設計されたRME製品がオーディオファンの人気を集める理由はどこにあるのだろう。筆者自身もリスニングルームとフィールドの両方でFireface UCXを使っているが、RME製品を選んだ理由を聞かれたときは、他の製品では置き換えられない機能とパフォーマンスを理由に挙げている。UCXの場合、機能面では録音機能やマルチチャンネル信号のD/A変換など、既存のUSB DACでは真似できない機能が使えることが大きい。また、性能面では録音と再生どちらも周波数バランスが自然で誇張がなく、質感が高いことが大きなアドバンテージだ。実際にはそれぞれの使い手ごとに支持する理由はさまざまだと思うが、RME製品ならではの価値があることに賛同する人は少なくないと思う。

RME「ADI-2 Pro」¥OPEN(予想実売価格¥200,000前後)

そんなRME製品のなかで、いま最も注目すべき一台がADI-2 Proである。ミュンヘンで5月に行われたHighEnd 2017の同社ブースでも本機を展示の中心に据えていたが、録音エンジニアなどプロフェッショナルだけでなく、オーディオ愛好家からも熱心な質問が相次ぎ、来場者の関心の強さをうかがうことができた。特に、ホームオーディオでも威力を発揮するオーディオインターフェースという点がこれまで以上に注目を集めていた。

ADI-2 ProはAD&DAコンバーター、プリアンプ、ヘッドホンアンプなど複数の機能をハーフサイズのコンパクトな筐体に収めており、スリムな外見からは想像できないほど内容が充実している。さらに、ADI-2 Pro単独でも大半の機能を活用できる点も見逃せない。もちろんBabyface ProやFireface UCXにもスタンドアローンで利用できる機能があるが、やはりTotalMixなど専用アプリケーションと組み合わせたときに真価を発揮する。一方、ADI-2 Proは単独で大半の機能を使いこなせるので、RMEの他の製品よりも使いこなしのハードルが低く、入手してすぐ使える良さがあるのだ。

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