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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第100回】“ハイレゾとは何なのか?”− 楽曲制作プロセスからみるハイレゾ考察

公開日 2014/10/03 15:18 高橋敦
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■厄介…ニセレゾ問題

最後の最後まで後回しにしてきが、厄介な「ニセレゾ問題」を無視するわけにもいかない。

しかしここでも改めて述べておくが、何をもってニセレゾとするにせよ、ニセレゾであるかハイレゾであるかだけで音の良し悪しが決まるわけではないし、そもそも音の良し悪しだけで音楽としての価値が決まるわけでもない。

しかしだからこそ逆に、ある作品について「この作品は確かに内容も音質も素晴らしい。しかしそれとハイレゾと呼ぶに値するかは別の話だ。これは素晴らしい作品だが自分はハイレゾとは呼びたくない」という考え方や感じ方もあり得る。

つまりこのひとつの問題に対しても、様々な視点や観点や論点があり、そのひとつひとつごとに個人個人の考え方や感じ方があるということだ。この問題について考えるとき、あるいは誰かと話すときには、「いまは自分(たち)はどの視点や観点、論点からの話をしているのか」ということをしっかり把握しておかないと、考えが錯綜したり論点がズレて話が噛み合なかったりする。「そんな基本は言われなくてもわかってるよ!」という方が多いだろうが、念のため改めて書かせておいていただいた。

というわけでそこは改めて心に留めておいていただいた上で、以下はその考えや対話の参考として読み進めていただければと思う。

さて、何しろ「ハイレゾ」にだってこれという明確な共通定義はないのだから、「ニセレゾ」にも明確な定義はない。しかし大まかには「ハイレゾと称するに値しない音源をハイレゾと”偽”って販売している(と思える)音源」といったような意味合いというのは、多くの方の共通認識ではないかと思う。

厄介なのは「ハイレゾと称するに値しない」の判断基準が人それぞれだということだ。各工程のスペックで判断するべきという人もいれば、最終的な実際の音を聴いて判断するべきだという人もいる。そしてスペックで判断するにしてもその基準をどこに置くかで意見が分かれ、音質を基準にするとなれば「じゃあよい音って何だよ?」についての意見は、さらに人それぞれ異なる。

例えばスペック基準でのいちばん緩い考え方としては、「最終的な配信フォーマットがハイレゾスペックならそれでよし」というのもあるにはある。しかし多くの方がそういう基準だったなら、ニセレゾなんて認識がそもそも存在しないだろう。

「録音時のフォーマットがハイレゾであること」というのは、比較的に多くの方の意見であるように思える。処理精度向上のためのアップサンプリング&ビット拡張にせよ、補間処理を伴うアップサンプリング&ビット拡張にせよ、それらによって最終的なフォーマットはハイレゾになっていても、録音時のフォーマットがハイレゾでないものはハイレゾではないという考えだ。

それに補足して「録音時のフォーマットがハイレゾまたはアナログであること」という考えの方も少なくないようだ。これは「アナログマスターテープのポテンシャル(情報量等)はハイレゾに匹敵する」という認識をベースにしている。

次ページ一方、人によって意見が大きく分かれることが多いのは…

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