元日本コロムビアの本間孝男氏が徹底分析

ハイレゾ配信版『レッド・ツェッペリン IV』に期待するわけ ー 元洋楽ディレクターが当時の録音状況を分析

公開日 2014/10/27 14:13 本間孝男
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歴史的名作『レッド・ツェッペリンIV』のハイレゾ・リマスター音源の配信が10月29日(米国などでは27日)より開始される。長年日本コロムビアで洋楽ディレクターを担当し、同バンドの来日にも立ち会った本間孝男氏が、本作が録音された当時を分析。ハイレゾ版に期待するポイントを紹介する。

『レッド・ツェッペリンIV』

ロック史上に残る名盤『レッド・ツェッペリンIV』がついにハイレゾ化

レッド・ツェッペリンのリマスター・プロジェクトの第2弾として『レッド・ツェッペリンIV』(1971)と『聖なる館』(1973)がいよいよリリースされる。CD、LP、スーパーデラックス・エディションなど6つの形態で発売されるのは、初回の『レッド・ツェッペリン』、『レッド・ツェッペリンII』と同じ。各フォーマットとも最新デジタル・リマスター音源を採用。ハイレゾについては96kHz/24bitでの配信となる。日本国内では、moraが10月29日からの配信開始を予告している(moraの配信予告ページ)。

moraによるレッド・ツェッペリンIV』と『聖なる館』の配信予告

注目されるのはやはり、不朽の名作「天国への階段」を収録した『W』だろう。英国民族音楽とロックンロールを融合し、ハードな側面と繊細なフォークフレーバーが絶妙なバランスを見せたアルバム。ロック史上最も有名なアルバムというより、音楽史上最も売れたアルバムのひとつである。『W』(推定4,500万枚)を超える売上枚数を誇るタイトルは、マイケル・ジャクソンの『スリラー』(推定6,500万枚)しかない。ちなみにこれに続くのはイーグルスのベスト盤『Greatest Hits 1975-1978』(推定4,300万枚)だ(TsorT Info調べ)。

デジタル・リマスター自体は192kHz/24bitで行っている模様

「一番いいのはアナログテープそのものをお聴きいただくこと。簡単にはいかないけれど」とは、5月にNYで催された“2014リマスター盤”のカンファレンスでの一幕。アナログ盤がツッペリン・ミュージックを聴くのに最良の方法ではないかという質問に対するジミー・ペイジの答えだ。「ハイレゾ・ファイルは次にどんなシステムが来ようとも対応できる。今回それだけの高解像度のファイルを用意している」とも述べている。ペイジはレッド・ツェッペリンの『I』から『CODA』まで9作品のマスタリングを、現時点で商用リニアPCMの最高品位である192kHz/24bitで行っているという。

ジミー・ペイジ自らが監修したデジタル・マスタリング

全作品にジミー・ペイジ本人が関わったデジタル・マスタリングは、1993年の「コンプリート・スタジオ・レコーディングス」(Box Set/10CD)だ。この時ペイジと共に作業を担当したのは米国スターリングサウンドのジョージ・マリアーノ(2009年没)。それまでのCDの音を一新する「決定盤」として、今でも充分聴取に耐えうる優れたリマスタリングだ。

「あれから20年。デジタル技術は一新された。我々がスタジオアルバムを再検討するのは理にかなっていると思う」ペイジはこう言って今回のリマスター・プロジェクトをスタート。ロンドン西部にあるメトロポリス・スタジオのジョン・ディヴィスがマスタリング・エンジニアを務めた。ツェッペリンのベスト盤『Mothership(2CD)』(2007年)やライブ盤『祭典の日(2CD)』(2013年)などのマスタリングをペイジとともに手掛けてきたエンジニアだ。

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