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注目の新進ブランドの思想に迫る!

ポータブルオーディオブランド「AROMA」のキーパーソンに訊く!マニアの熱意で作り上げられる個性とは?

2016/10/28 聴き手:季刊・ネットオーディオ編集部 浅田陽介
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■色々な製品を聴いてきた上での「オリジナリティ」を追求する

―― アロマの製品のなかでも、いま日本で特に話題になっているのがイヤホン関係製品です。発表以降、非常に売れ行きが好調とも聞いています。この製品を見て非常に気になったのが、なぜ、IEMの製品化を選択したのかということです。

ヴィンセント 中国のヘッドホン市場は、ゼンハイザーとAKG、ソニーの3社が市場のほとんどを席巻しています。この3社は毎月新製品が発売されますし、会社としての規模も非常に強い。それだったら、いっそのことイヤホンの方が市場に入りやすいと思ったんです。技術の面でもそんなに難しい課題もありませんでしたからね。

アロマのイヤホンのプロトタイプ達。さまざまなカット&トライを繰り返した上で製品化される

―― アロマでは、自社でどこまでのことをやっているのですか?

ヴィンセント デザインそのものは自社ですが、アッセンブルは別の工場に受注しています。

―― イヤホンを作るにあたって、目標や参考にしたモデルというのはあったのでしょうか?

 特に目標にしたイヤホンやIEMというのはなかったですね。強いて言えば「高品位なヘッドホンのサウンドを、イヤホンで再生する」というのが目標ですね。音楽の趣味は人によって多岐に渡りますし、年齢による音の好みというのもあります。こういったことも踏まえた上で、自分達が最も良いと思うものを作りました。

―― イヤホンやヘッドホンの開発経緯を訊いた時によく「スピーカーで聴いているような音」を引き合いに出されることが多いのですが、ここであえてヘッドホンを挙げるということは、やはりいまの香港の市場を象徴するところなのでしょうか?

ヴィンセント そうですね、やはり香港はひとつの部屋も小さいですし、長時間移動しながら仕事をするという方がほとんどです。よほど裕福で、大きな音を出すだけのスペースがあるという人はもちろんスピーカーを使いますが、香港ではほとんどの人がもっとパーソナルなシステムで音楽を聴いているんです。だからこそ、高品位なヘッドホンで音楽を聴くことは香港の人々にとって非常に重要なことで、私達もイヤホンを作る際にこのヘッドホンでの再現を重視したわけです。

―― このあたりは最近の日本のポータブルオーディオ市場にも通じるところが感じられますね。ところで、アロマのイヤーモニターで気になるのは、その製品名です。「Witch Girl」というのは、どういう経緯で名づけられたのですか?

5機のBAドライバーを搭載した「Witch Girl S」(¥92,000/税別)

4機のBAドライバーと2機のダイナミックドライバーを搭載した「Witch Girl Pro」(¥125,000/税別)

ヴィンセント ”Witch”は、魔女という意味ですよね。そこには魔術とか魔力だとか、そういう他人を動かす「大きな力」を持っています。「音楽を聴くことによって、その魔力にかかってうっとりするような気持ちにさせることができるように」という想いを込めて「Witch Girl」という名前を選びました。あと、名前からアニメを想像して貰えれば……というのも理由のひとつです。特に日本の市場はアニメの人気が強いので、「魔女の力で音楽の魔力にかかって……」みたいな楽しい感じをアニメと結びつけて考えて欲しいな、と思っています。

―― このお話から察するに、「Witch Girl」はやはり日本の市場をかなり意識したイヤフォンなのでしょうか?

ヴィンセント 意識はしていますけど、特に強く意識しているというわけではありません。私達にとって、日本の市場と中国の市場は両方大事だと思っています。人口規模という意味では中国の方が大きいですし……。ただ、中国のユーザーというと入門クラスの人が多くて、「この人が持っているから、それよりも少し良いものを買う」とか、そういう感じで購入する傾向が強いんです。対して、日本の皆様の場合はもっと情熱的というか、モノに対してのこだわりが非常に強いんですね。ユーザーの皆様の考え方が、根本的に違うんです。日本は、「好きなものは好き」と感じてくださる方が非常に多い印象を持っています。そうしたことを考えても、この異なる性質を持つ日本と中国の市場、それと、ヨーロッパも重要だと思っています。

 補足させていただくと、中国本国では、20〜30歳過ぎの購買意欲が非常に高まってきています。「高いから良いだろう」と言って買う傾向が非常に強くなっているんです。つまり、新しい層が出来上がりつつあるということで、ここも私達のターゲット層としては外せないですね。

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