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各タイトルの音質もレビュー

時代を作った「和フュージョン」の名盤群が新リマスターで蘇る! 録音現場の音を再現した立役者とは?

公開日 2016/09/01 11:47 大橋伸太郎
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元来演奏のリアリズム追求のジャズ、フュージョン再生はスピーカーシステムの解像度と帯域がモノを言う。「いいオーディオ程いい演奏が聴こえてくる」が常識になり「六畳間にJBL4343」の一大オーディオブームが到来した。

カリフォルニア州ノースリッジのJBL工場が毎月生産する、大型スタジオモニターシステムの納品先の殆どが日本。工場長が「一体、日本には何万カ所録音スタジオがあるんだ!」と天を仰いで叫んだという笑い話があるほどだ。スピーカーやアンプの解像度が上がるほど、スピーカーケーブルを始めとする周辺アクセサリーの重要性が注目を集めるようになり、ファイル・ウェブを運営する音元出版から『オーディオアクセサリー』誌が創刊されたのもこの時期だ。

■数々の名盤を送り出したビクターエンタテインメント

フュージョンムーブメントをレコード制作の立場から担った存在がビクターエンタテインメントだ。Invitation / Flying Dog / Flying Disk / JVC / Victorの5レーベルを擁し、新しいアイデアと創造性、音楽美に富む意欲的な傑作アルバムを続々と送り出す。日本のA&M,CTIといっていい。

そんなビクターが5レーベルを通じて、1977年から1985年までの間に送り出した日本のフュージョンを代表する名盤40選が今夏、三期に分けて発売される(第一期は7月20日、第二期は8月24日、第三期は9月21日発売)。

単なる再発シリーズ企画ではない。注目すべきは、40タイトルのほとんどが東京都渋谷区千駄ヶ谷のビクタースタジオで録音されていて、保管されていたアナログマスターにまで遡り、「生まれ故郷」同スタジオの21世紀のテクノロジーで収録現場の音の復活を狙ったリマスタあるいは「リボーン」であることだ。

今回紹介するのは第一期(7/20)発売の13タイトル。詳しくは各タイトル毎の紹介をご覧頂きたいが、何をおいても注目したいのが渡辺貞夫の海外録音3タイトル。ジャズレコードとして空前絶後の大ベストセラーを記録、社会的事件になった。それが録音現場そのままの音で甦ったのだ。

女声ボーカル3作品も注目。当時は「ビジュアル優先の売り方」と批判もあったが、多くの音楽ファンの耳をジャズ、フュージョンへ向けさせ、1970年代に難しく排他的でペダンチック(衒学的)な音楽になったジャズが、楽しくセクシーなものであることに気付かせた阿川泰子の存在は計り知れない程大きい。

一方6作品以外がロック畑出身ギタリストのリーダー作であることがフュージョンのバックグラウンドを物語る。「枠にとらわれず美しい音楽をのびのびと演奏したい」前向きな姿勢と初心が伝わる清新な作品ばかりだ。

それでは全13作の紹介に移る前に、千駄ヶ谷のビクタースタジオでリマスタに携わった現場エンジニアにインタビュー。リマスタの狙いと「録音現場の音再現」を目的に投入された21世紀の技術について聞いてみよう。

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