公開日 2014/05/23 14:04

石原俊が「K-07」×「I-05」、「K-05」×「I-03」のコンビを聴いた

エソテリックのプリメインアンプ×プレーヤーのパフォーマンスを集中試聴
ネットオーディオの登場で音楽ソフトの環境は変化を遂げているが、やはりオーディオファイルの再生ソフトの主流はCD/SACDだろう。ここでは、音楽を高品位に楽しめる「エソテリック」ブランドの多くの製品群からCD/SACDプレーヤーとプリメインアンプを2機種ずつチョイスし、シンプルかつオーソドックスな2パターンのシステムを組んでみる。そのシステムの実力と音楽再生がもたらす感動を改めて検証してみたい。

K-07とK-05の概要
■上級機の技術が惜しみなく投入されたハイC/Pモデル

いまオーディオの世界は未曽有の変革期にある。メインソースが配信データになるといわれたり、ポータブルヘッドフォンアンプのハイエンド機に注目が集まったりする。だが、ちょっと待っていただきたい。CD/SACDは流通量的にみても楽曲網羅度的にみても、いまだに最強のメディアなのだ。これを自宅でくつろいで聴ける状態こそがオーディオの王道ではないだろうか。そのうえでPCやMACなどを介したネットオーディオを実践すれば、最強のシステムを構築することができる。

K-07(上)とI-05(下)

そのようなシステムの音の入り口にうってつけなのが、エソテリックのCD/SACDプレーヤー、K-07だ。K-07はKシリーズの末弟機だが、筐体と回路は上級機とほぼ同等のクオリティが与えられている。大きな違いはドライブメカニズムで、上位機にはエソテリック独特のターンテーブル式のVRDSが与えられているのに対して、K-07には通常の方式に近いVOSPというメカニズムが採用されている。ハイレゾ対応のUSB入力が装備されているのは上位機種と同様だ。

組み合わせたプリメインアンプはI-05である。このモデルは先行してリリースされたI-03の弟機で、出力は120W×2(6Ω)。筐体はエソテリックの最上級シリーズと同じクオリティのものが与えられており、剛性が極めて高く、しかも手触りがシルキーで、海外のハイエンド機に比べてもまったく遜色がない。エソテリックは、オーディオエレクトロニクスの音が筐体に依存することを先験的に知っているのだろう。

K-07(上)とI-05(下)の背面端子部

この組み合わせでの試聴レポート
■音像はキリリと締まって音が強く奏者の情念までもが伝わってくる

これらでタンノイのプレシジョン6.4を鳴らしたのだが、高解像度な現代最先端の音である。K-07のアナログ出力の情報量は極めて多く、並みのアンプであれば情報を取捨選択して増幅するような振る舞いをしがちなのに対して、I-05にはそういった間引き感がまったくない。また、I-05の低音の吹き出し感は非常に強く、しかもスタビリティが効いている。プレシジョン6.4は2基のパッシブラジエーター(自らは電気的に動作せず、ウーファーの背圧で駆動される)を擁しているが、I-05はエンクロージャー内の空気を完全にグリップすることで、低音を完全な支配下に置いているようにすら感じられるほどだ。

TANNOYのPrecision 6.4と組み合わせて試聴

ジャズはピラミッド型のエネルギーバランス。ドラムスやベースは盛大に鳴るが、トランペットやサックスの音像はキリリと締まっていて、しかも音が強く、ジャズマンの情念のようなものが伝わってくる。ヴォーカルはふわりと軽い音像が印象的だ。これはスピーカーの軽快な音調もさることながら、I-05の爽快な音場・音像表現によるところも大きい。クラシックはSACDを聴いたのだが、このメディアの安定性と情報量の多さを改めて思い知らされた。

■試聴で分かった本組み合わせの魅力
本文に書ききれなかったので、本システムで聴いたSACDの印象についてもう少し触れておきたい。SACDのアドバンテージは何と言ってもSN比の良さにある。とくにクラシックの無音に使われる部分の静けさは他のメディアを大きく凌駕している。本システムのアンプとプレーヤーはSN比が高く、このメディアの良さを十二分に享受することができた。SACDが登場した頃、これと同程度の音を得るのにいくらかかったかと思うと、本システムのお買い得度の高さがご理解いただけよう。


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