製品批評

Vol.413
毎週水曜更新 2010年11月4日号(10/27発行)

全ての音楽シーンに対応可能なA級プリメインアンプの最高峰機

文/石原 俊プロフィール

製品名

最先端モデルとしての分解能・解像度とA級動作機らしいホットさが高次元で並立

ラックスマンの純A級プリメインアンプの最高級機がモデルチェンジし「L-590AX」に生まれ変わった。

型番は前作の「L-590AII」と同系列だが、内容的には全くの別物といっても過言ではない。まずは筐体のサイズが変更になり、同社のセパレートアンプやディスクプレーヤーと同じ440mm幅になった。

また、アッテネーターが、プリアンプの最高モデル「C-1000」と同様のLECUA(LuxmanElectricControledUltimateAttenatort)という電子制御方式になった。増幅回路も全く別物になっており、ラックスマン独自のODNF(OnlyDistotionNegativeFeedback)の最新バージョンをA級動作化したものが搭載されている。

パーツのレイアウトと配線も全面的に見直され、最短化・三次元化が追求された。これにともなって、従来は分離されていたプリアンプ部とパワーアンプ部が内部で接続された(もちろんプリ部とパワー部をセパレートすることもできる)。これらの変更はアンプの音色や表現の根幹にかかわるものであり、本機のサウンドは今後のラックスマンの音作りの方向性を示唆するものと思われる。

事実、筆者宅に持ち込まれた最終プリプロダクション機の音は、従来機とは明らかに一線を画していた。L-590AIIはいかにもA級動作機らしい暖かみのある音色と情感に訴えかける表現が持ち味だったのに対して、本機は最先端モデルとしての分解能・解像度とA級動作機らしいホットさが高次元で並立しているのだ。

ジャズは克明かつエネルギッシュ。ピアノはあくまでも透明で、ドラムスやベースはいかなる局面でも音像を乱すことなくハイエナジーを空間に放射する。ボーカルはA級ならではのセクシーな質感に、明確な子音や息継ぎ音が加味される。クラシックの聴き心地はあらゆるプリメインアンプの中でもピカイチであろう。オーケストラの解像力はスコアを分析するかのようであり、それでいて演奏の勢いは常にフルスイングなのだ。

全ての音楽シーンに対応可能なA級プリメインアンプの最高峰機である。

スペック

【SPEC】●定格出力:30W+30W(8Ω) ●入力:ライン×4、フォノ(MM/MC)×1、バランスライン×2 ●録音入出力:ライン×1 ●セパレート入出力:ライン×1 ●消費電力:280W(電気用品安全法) ●外形寸法:440W×193H×463Dmm(前面ノブ20、背面端子37含む) ●質量:28.2Kg

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