製品批評

Vol.
毎週水曜更新 2007年12月26日号(12/19発行)

上位機の技術を採用し、高いCPを実現した新鋭機

文/福田雅光プロフィール

製品名

パワーを十分引き出す最良のペア 豊かな音場できめ細やかな音質

製品画像

<上>C-600fの背面端子部。入力はアンバランス5系統(+REC)とバランス2系統。出力はアンバランス2系統(+REC)とバランス 2系統なっている<下>M-600Aの入力はアンバランス1系統とバランス1系統を装備。また大型スピーカー端子を1系統装備している

ラックスマンが創業80周年を記念して開発したセパレートアンプ1000シリーズはその後現実的な中核モデル800シリーズを完成させ、音質的にも継承された高純度、高速レスポンスを特徴にするラックスマンの新世代の魅力を楽しませるモデルとなった。さらに同じコンセプトで今期は価格を半分に引き下げた600シリーズが誕生した。

まず、プリアンプC-600fの特徴を確認したい。上位機種C-800fの回路はバランス増幅構成であるが、600fでは同じ回路をアンバランス構成としたのが大きな違いである。上位機種で採用されている高純度レベルコントローラーは、LECUA1000をコンパクト化したLECUA1000-WMとなったが、完全モノブロック仕様で2基搭載。左右チャンネルを独立させ干渉歪の排除、セパレーションの改善など細心の配慮で設計されている。

次にパワーアンプM-600A。最高級機B-1000fの電力増幅部は、3段ダーリントン4パラレルプッシュプル構成をモジュール化して4基で構成。M-800Aは2基のSパラレル、M-600Aは1基による4パラレルプッシュプル構成として、出力30W+30W(8Ω)の純A級動作となっている。

試聴は自宅のレファレンス機器と組み合わせ、プリアンプ、パワーアンプ単独の傾向を確認することから始める。C-600fはRCA入力、RCA出力でパワーアンプに接続。高純度で高速な立ち上がり、低音は引き締まり強力なダンピングを効かせ、レスポンスに優れ素晴らしい力感と厚いエネルギーが得られる。透明な音質、分解力が高くダイナミックな躍動を表現。

C-600fは上級機とまったく共通した傾向があり、洗練された最新鋭の現代サウンドである。

M-600A低域から高域まで一貫した性能はXLR入力系にあるように思う。低音楽器の輪郭を明確に描き、彫りの深い音像を引き出す。

C-600f、M-600AをXLRケーブルによる組み合わせで構成。これはパワーアンプを最良の状態に鳴らした場合と同等の性質が得られる。純粋さレスポンス、引き締まるダンピングの効いた低音、解像度の高い音質である。セパレートアンプの構成では一般に最終的にスピーカーを駆動するパワーアンプの性能が現れるが、パワーアンプの限界を引き出すプリアンプの性能が必要だ。600シリーズのペアによる構成は十分に魅力を引き出すことが確認できる。

<この製品の情報は「オーディオアクセサリー」127号にも掲載されています>

スペック

【SPEC】
<C-600f>
●入力感度/インピーダンス:300mV/47.5KΩ(アンバランス)、300mV/95.0KΩ(バランス) ●出力/出力インピーダンス:定格1V/564Ω 最大5.5V(アンバランス)、定格1V/1,183Ω 最大11V(バランス) ●全高調波歪率:0.009% (20Hz〜20KHz)(アンバランス)、0.01% (20Hz〜20KHz)(バランス) ●周波数特性:5Hz〜20KHz +0,-0.1dB、5Hz〜116KHz +0,-3.0dB ●SN比:120dB (IHF-A)(アンバランス)、113dB (IHF-A)(バランス) ●消費電力:21W ●外形寸法:440W×117H×407Dmm ●質量:13.0kg
<M-600A>
●連続実効出力:30W+30W(8Ω、ステレオ)、60W+60W(4Ω、ステレオ)、120W(8Ω、モノラル) ●最大出力:120W+120W(2Ω、ステレオ)、240W(4Ω、モノラル) ●入力感度:55mV/30W(8Ω) ●全高調波歪率:0.009%(1kHz、8Ω)、0.1%以下(20Hz〜20kHz、8Ω) ●SN比:114dB(IHF-A) ●消費電力:290W ●外形寸法:440W×189H×420Dmm ●質量:26.5kg ●問い合わせ:ラックスマン(株) TEL/045-470-6991

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