オーブンで基板を焼くと直る? ウソみたいですがあり得ます
オーブンレンジで基板を焼くと故障が直る……俄かに信じがたい話に聞こえるかもしれませんが、あながち不可能ではありません。

焼くと故障が直る(かもしれない)対象は、電子部品や金属、ケーブル類を接合/固定するために使われる「はんだ」に生じた微細なクラック(ひび割れ)です。はんだにクラックが生じると電気が流れなくなることがありますが、それを適切に加熱するとはんだが溶けクラックを埋めるように固まり、再び通電するようになるのです。
ただし、オーブンレンジで故障が直るにはいくつかの条件が重ならなければなりません。
まず、基板に使われているはんだの融点がオーブンレンジで熱せられる範囲内であること。鉛フリーはんだのように融点が高め(220°C前後)のものは、家庭用オーブンレンジの限界温度に近いため、温度調節が困難です。
電解コンデンサーなど高熱に弱い部品が基板に使われていないことも重要です。耐熱対策を講じたうえで焼かなければ、部品が溶けたり破裂したりかえって故障が悪化しかねません。
故障の原因がクラックに限定されることも忘れずに。ICやコンデンサーなど他の部品が故障していても、オーブントースターで熱したところで直りはしません。このように、いくつもの条件が揃わなければ、故障が直ることはないでしょう。
なお、オーブンレンジで行う作業は、基板の製造工程で行われる「リフロー」という作業の再現を狙ったものです。正規のリフロー作業では、酸化を防ぐため窒素ガスを満たした炉で厳重な温度管理を行い、酸化膜を除去する補助剤を塗布するなど、オーブンレンジを使った修理とは次元が異なります。
20年、30年前の電化製品では融点の低い鉛入りはんだを使うことが多く、イチかバチかオーブンレンジで熱すれば復活することもあったのでしょうが……基板の多層化・高密度化が進み、融点の高い鉛フリーはんだが主流になった現在では、 イチかバチかどころか「千三つ」が近そうです。

