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【をんなもすなるLINN DS】第3回:「マスタークオリティ音源」をダウンロードしてみた

2010/08/02 オーディオアクセサリー編集部・野間
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マスタークオリティを聴けるのは幸せなことだ

SEKRIT DS-Iをセットアップした後、音も無事出たので、ここはひとつ、96kHz/24bitなどの「マスタークオリティ音源」とやらをダウンロードしてみることにした。

LINN RECORDS、HQM、HD tracks、ototoyなどなど、いろいろなサイトへアクセスし、好きな楽曲があれば購入してダウンロードしていった。96kHz/24bitのファイルを落とすにはびっくりするほど時間がかかったが、アルバム1枚で一晩かかるのはどうやら普通のことらしい。ダウンロードしたまま朝まで放置し、起きぬけに電源をうっかりオフにしてしまい、アルバム後半がカットされてしまったこともあった(やり直し不可なのでご注意を)。

さて、それら貴重なファイルを再生するにあたり、我が愛機の置き場所が気になってきた。最初に置いた暖炉風のレンガ棚は、凹凸のあるレンガなので不安定。“もっといい音で鳴るのに……と言っているような音”がしている。

凹凸のあるレンガ棚は気にいっていたので、最初にここにセッティングしたのだった。シンプルなボーカル曲などは良い感じで聴けたが、編成が増えていくほどに、「安定しないよ〜」といかにも言っているような音になってきて移動を決意

しっかりしたオーディオラックやスピーカースタンドがあればベストだが、当面の対策として私が選んだ置き台というのが和だんす。我が家にある家具の中で、もっとも安定性の高いものがこれだったのだ。

洋間に和ダンス。良い音を求めるオーディオ道に、このミスマッチはアリだと思う。夜中まで模様替えに精を出し、音を再生できたのは翌朝だった。

我が家でいちばん安定しているのがこの和だんすだったので、一念発起して和室から運んだ。レンガ(凹凸なしタイプ)をスピーカーの下に敷いたり、外したり、いろいろと試行錯誤。どうやらスピーカーの置き方の方が音への影響が大きいようだ。SEKRIT DS-Iは元々隠して置いてもOKというコンポーネントだから意外とタフなやつかもしれない

和だんすに置いてもなかなか似合っていると思うんですけど…


まずはCDからリッピングした、キース・ジャレットの弾く「Blame It On My Youth」(『The Cure』より)を聴いた。凹凸だらけのレンガ棚に置いて聴いた時よりずっと安定して、銀座のサウンドクリエイト(DSに強いオーディオ店)でDSを聴いた時の感動が蘇った。同じ曲を聴かせてもらったばかりだったのだ。こういう音を家でも聴きたかった。それにしても、キース・ジャレットの音楽は何と美しいのだろう。

しかしその後、HD tracksからダウンロードしたばかりの、同じくキース・ジャレットの96kHz/24bit『PARIS/LINDON TASTEMENT』を再生したところ、次元の違う音が鳴り始めた。さっきのカタルシスは何だったんだ!? 一枚ベールを剥がしたように澄んだクリアな音で、フレーズになる前のたった一音を聴くだけで心が洗われてしまう。

若かりし頃の私は、キース・ジャレットのCDを繰り返し聴いていたものだ。最近はiPodで聴く方が多かった気がする。実を言うと「演奏は世界一だけど、録音はわりと普通ね」くらいに思っていたのだった。

しかし、私は間違っていたのだ。他のミュージシャンが弾く同じスタンダードナンバーとも比べてみたが、DSで聴くと、キース・ジャレット作品の音作りは素晴らしい。空気の緩急まできめ細かく収録されていることが改めて分かった。その空気感こそ大事なのに、これまでそこが聴けていなかったのである。

最初にアクセスした配信サイトがLINN RECORDS。ショパンの幻想即興曲を探してArtur Pizarroというピアニストを発見したが、これがアタリだった。96kHz/24bitクオリティをアルバム単位で購入。素晴らしい演奏であり、24ドルという価格は安過ぎる感。LINN RECORDSサイトは、LINN RECORDSレーベル以外にも膨大な数のレーベルが配信に参加している

高音質配信はインディーズ系レーベルのというイメージがあるようだが、HD TRACKSではECMやVerveなどメジャー系が96/24音源を配信している。しかし、すべてマスタークオリティというわけではない。私の敬愛するキース・ジャレットの作品群では、96/24の配信は1作品のみ。購入してDSで再生してみたら、次元が違う音に呆然。しかも3枚組で36ドル弱。これも安過ぎる


HD TRACKSで最初に購入しようとした時、カード決済が完了できなかった。「クレジットカードを登録している住所が日本国である場合は買えない」という英語の表示が出てきたのである。評論家の山之内正先生に相談したところ、「PayPalのシステムを利用してみれば大丈夫ですよ」とのこと。画面中央下部が「PayPal」の入り口

それにしても96kHz/24bit音源のダウンロードには、何と時間がかかることだろう。キース・ジャレットの『Paris London Tastament』3枚組は一晩でも足りず、家のパソコンでダウンロードさせたまま通勤に出動した


リッピングソフトはiTunesを長らく使ってきたが、最近は試しに“音がいい”と評判の「dB poweramp」を使ってみた。一般価格で36ドルだが、何とDSユーザーは割引特典がある(詳しくはこちら)。リッピングする時は私はiPodでも聴けるようApple Losslessファイルにすることが多い。FLAC形式がオーディオグレードとして浸透しているが、iTunesはFLACに非対応だからだ(涙)。DSではほぼすべてのファイル形式が再生可能なので助かっている

Kinsky Desktop(操作ソフト)の使い方は、なんとなくこうやるのだろうな、という感覚にしたがってユルく使っている。アートワーク(ジャケット画像)の貼り方が分からなくて不便に感じていたがリッピングソフトをdB powerampにしてみてから修得。基本アートワークはファイル作成時に貼り付けておくもので、Kinskyはそれをそのまま表示するだけ


ダウンロードしたマスタークオリティファイルは、キース・ジャレット以外にもLINN RECORDSからArtur Pizarro の弾くショパン、HQMから植村理葉の弾くラヴェルのヴァイオリン・ソナタなどなど、様々なものを聴いてみたのだが、やはりスバ抜けてクオリティが高いことに驚いた。単純に、音としてきれいだということにまず感銘を受ける。ハイサンプリング・ハイレゾリューションというと「スペックや数値で聴いている」というイメージがつきまとうかもしれないが、まったくそんなものではないのである。ミュージシャンや楽曲の素晴らしさ、楽器の音の美しさに、改めて敬意を覚え、マスタークオリティを聴ける恩恵に、心からありがたいと感じた。

DSの良いところは、96kHzより上の192kHzなども聴けてしまうところだ。そういう音源もこれから試していきたいものである。

DSは本体のファームウエア「CARA」で動いており、CARAは常に進化している。2010年7月末の時点でCARAはver.9に更新された。アップグレードはユーザー個人がパソコンで行うことができる。Konfig(セットアップソフト)画面からUpGradeというタグをクリックして進むとあっという間に完了。最新のDSではインターネットラジオも聴けるし、試したいことが山積している

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