試聴はマランツ恵比寿ショールームにておこなった

ES-150はDVDなど5.1チャンネルの映像ソースはもちろんのこと、CDなど2チャンネルの音楽ソースでも自然な音場効果を発揮するという。そこで、まずCDを聴いてみると、不思議なことにスピーカーの高さよりも高い位置に、奥行き感を伴ってリアルな音像と音場が展開した。通常のステレオで聴いている感覚に近く、低音から高音のバランスも自然で違和感がない。ちなみに本機にはOPSODISのオン・オフ機能があるが、音楽を聴く際もつねにオンにしておけばよい。

次にバイノーラル録音の音源を聴いてみよう。これは人間の頭部と同サイズのダミーヘッドにマイクを設置する録音方法で、ヘッドホンで聴くと、驚くほどリアルな立体感を体験できることで知られている。

自然音などいくつかの音源を再生してみると、音のリアリティと生々しい定位は驚くほどだ。クロストークキャンセルの精度が高いためだと思うが、周囲の臨場感が際立っている。聴き手のすぐ脇など、近い位置に音が定位する不思議さは、通常のサラウンドシステムでは体験できないものだ。

さて、肝心のDVDはどうだろうか。映画を見て最初に気付くことは、音場のスケールの大きさである。左右から前方にかけて試聴位置の近くから壁の奥の遠い位置まで、見通しのよい音場が伸びやかに広がっている。効果音が大きく広がっても台詞は画面の位置にしっかり定位し、フロントサラウンドにありがちな音像のぶれが気にならない。音の移動感が生々しいことと、高さ方向の情報量が豊富な点において、実音像を使用する5.1チャンネルシステムにかなり近い感覚が味わえる。これもOPSODISのメリットに数えていいだろう。

試聴位置は左右中心がベストだが、画面との距離については、意外に前後に余裕があり、スピーカーからある程度離れた位置でも十分な広がり感を得ることができた。

実際の環境に合わせた調整機能も充実している。リアスピーカーの位置をサイドと後方で切り替えられるほか、前方スピーカーの高さも3段階の設定から最適な位置を選ぶことが可能だ。組み合わせるラックやスタンドの高さに合わせ、音を聴きながらリモコンから簡単に切り替えることができる。以上の設定を終えれば、本機から最適な効果を引き出すのは難しいことではない。壁の反射を利用しない方式なので、家具などの影響を受けにくいことも歓迎すべき点だ。

本機の登場によって、フロントサラウンド方式が市民権を得る日は近い。

B&Wスピーカー、オーディオクエスト、クレストロンなど、マランツが取り扱う商品が一堂に会したショールーム。マランツが考えるホームエンターテインメントのトータルソリューションが実際に体感できる貴重なスペースだ。ES-150もこちらで試聴できる。開館日は月〜金曜日 10:00〜17:00で、見学の際は事前に予約が必要となる。

■マランツ恵比寿ショールーム
〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南1-11-9
予約・お問い合わせ:TEL.03-3719-3481