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寺島靖国氏の選曲ポイント一挙紹介! 収録曲の出典オリジナルアルバムはこれだ!

寺島靖国氏が満を持して選曲!『ヴィーナス・オーディオグレード SACDセレクション Vol.3』の聴きどころを一挙紹介

公開日 2026/07/09 15:00 寺島靖国
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名盤をオリジナルで揃えたい方へ。寺島靖国氏の選曲ポイント一挙紹介!

『ヴィーナス・オーディオグレード SACDセレクション Vol.3』がリリースされ、オーディオファンやジャズフリークの間で早くも大きな注目を集めています。独自の美学が融合した奇跡のセレクションは、ジャズ専門レーベル「ヴィーナスレコード」の膨大なカタログの中からオーディオや音楽の専門家が音源を厳選し、SACDハイブリッド盤としてコンピレーション化する人気企画です 。2024年5月の第1弾(福田雅光氏選曲)、2025年の第2弾(石田善之氏選曲)に続き、今回はジャズオーディオ評論家であり「寺島レコード」のプロデューサーとしても知られる寺島靖国氏が選曲を担当しました 。 

本作に収録されている全10曲のオリジナルアルバム(型番:VHGD-75〜294など)は、いずれもオーディオマニア垂涎の傑作揃いです。このセレクションをガイドブック代わりに、お気に入りのトリオのオリジナル盤(SACDシングルレイヤー盤)を1枚ずつ掘り下げてコレクションしていくのも最高の贅沢です。なお、CD盤はリリースから時間が経っており、入手困難です。中古市場で探す必要があります。

それでは、ファン必見の「寺島靖国氏の選曲ポイント」を、ご本人の熱い言葉から一挙にまとめてご紹介します!

 

 

1. シャレード / マッシモ・ファラオ・トリオ                □

太いベースが直線的に延びてきて、私に覆い被さってくるようだ。ベースの出方ひとつで音楽がダイナミックになったり、凹んだりする。誠に怖い楽器がベースだ。ヘンリー・マンシーニの作った映画音楽「シャレード」は彼の最高傑作のひとつだ。こういう至高の旋律を持つ楽曲は崩すべきではない。ジャズにありがちなくずしの姿勢を真っ向から否定し、そのまま素正にテーマ通りに演じて成功したのがこの一曲。

□収録アルバム「ハウ・マイ・ハート・シングス」VHGD-278 (SACDシングルレイヤー)

 

2. ソー・イン・ラブ / ジョン・デイヴィス・トリオ

耳に馴染んだ「ソー・イン・ラブ」が一瞬別の曲に聴こえる。これは1曲目とは反対のケース。ジョン・デイヴィスはこの曲を“再作曲”し、「自分のソー・イン・ラブ」にしている。失敗するケースの多い再作曲がここでは大成功。なんという見映えのいい「ソー・イン・ラブ」なのだ。この曲のもっとも美しく着飾ったバージョンだ。音は冒頭のシンバル。この散乱ぶりを聴くべし。途中のシンバルも盛り上がり、盛り下がりが立体的に聴こえる。

  □収録アルバム「ビューティー・アンド・ザ・ブルース」VHGD-294 (SACDシングルレイヤー)

 

3. ラ・クバーナ・カリエンテ / エディ・ヒギンズ・トリオ

立体的に音の像が見える。そのような録音手法だったのか。ピアノが正面にピシリと立つ。少し前かがみになっているのが分かる。ベースとドラムの音がピアノと混合していない。独立しているからピアノのプレーンな素の音が聴こえて気持ちがいい。ピアノの音に付帯音がついていないからすっきりした音色が楽しめる。特に右手の高域部分、美しい裸身の彫像を見る趣。曲はラテン音楽の優秀な特性のひとつ「哀愁感」をびっしりと携えたエディ・ヒギンズの最後の絶品オリジナル曲。

 □収録アルバム「ポートレイト・オブ・ラブ」VHGD-98 (SACDシングルレイヤー)

 

4. 慕情 / ローマ・トリオ

固まりになった音を楽しめる。以前、私はヴィーナス・サウンドのこうした特質に惚れたのである。レンジはそれほど延びていない。意識的に狭くしたのかもしれない。その他の中域部分が張り出し、モノラル的。ピアノが中央にどっかりと居座り、あたりを睥睨(へいげい)し、いかにもピアノ中心トリオといった風情を醸し出す。演奏はカッコいい変拍子のスイング・テンポを採用。夥(おびただ)しくジャズっぽい。

□収録アルバム「慕情」VHGD-75 (SACDシングルレイヤー)

 

5. モスクワの夜はふけて / ウラジミール・シャフラノフ・トリオ

一分を過ぎた頃、リズム・セクションが加わる。それまでのピアノ・ソロの部分。この曲の聴きどころはそこにある。「モスクワの夜はふけて」というロマンチシズムに溢れた曲想を完璧に弾きこなせるのはロマンチシズムにかけては天下一品のウラジミール・シャフラノフしかいない。そう断言したくなる。音色は最近のヴィーナスらしく、ナイーブで優美。そこが曲想と合っていて、音楽との見事な融合性を感じた次第。

 □収録アルバム「ロシアより愛をこめて」VHGD-80 (SACDシングルレイヤー)

 

6. レジネッラ / ダニーロ・レア・トリオ

本SACDの中で一、二を争う音のいいトラック。私のスピーカーからいわゆるノイズといわれる付帯音はゼロ。したがって3曲目と同じようにひとつひとつの楽器が垂直に立ち昇り、いたずらに左右に広がらない。ピシリとした一点集中型の中にピアノ、ベース、ドラムスが各々自由に動き回る様子が見える。ジャズ・ファンはこの動く感じをスイングと呼び、貴(たっと)ぶのである。音楽はかすかに甘さを含んだ南国情緒豊かなもの。

 □収録アルバム「ロマンティカ」VHGD-208 (SACDシングルレイヤー)

 

7. アマポーラ / ジョン・ディ・マルティーノ・ロマンティック・ジャズ・トリオ

これが現代オーディオの音だと思う。とにかくレンジが広い。どこまで延びていくんだというように低域から高域までが生きもののように俊敏な動作を続けてゆく。レンジが広いのはいいが、これが過ぎるとジャズに大切な中域が疎かになる。ヴィーナス録音はそこに抜かりがない。曲と演奏は上物。

 □収録アルバム「モリエンド・カフェ」VHGD-252 (SACDシングルレイヤー)

 

8. 夜想曲変ホ長調 作品9, 第2番 / スティーブ・キューン・トリオ

クラシックの曲だから柔和な音と思ったらとんでもない。ジャズのブルーノートみたいに押し出し感が強い。そこに惹かれた。特にベースが他の曲と違って一味低い音が加わっていて、深入りする重厚なイメージが強い。そんな調子だからピアノも頑張る。俺を聴けとばかりに腰を据え、つんのめるように前へ出てくる。こんなスティーブ・キューンは、そんじゃそこいらで聴けるものではない。クラシックにかなわないのは、こうした美旋律があっちにもこっちにも。

  □収録アルバム「亡き王女のためのパヴァーヌ」VHGD-48 (SACDシングルレイヤー)

 

9. ビューティフル・ラブ / ケニー・バロン・トリオ

ヴィクター・ヤングが作った「ビューティフル・ラブ」を愛する人は多い。そういえばヴィーナスにはこの曲の演奏、そしてヴォーカルが少なくない。きっと原さんが好きなのだろう。実は私も中途半端な「ビューティフル・ラブ」は好きではない。そこでどうだろう。「ビューティフル・ラブ党」を作らないか。原さんが会長で、私が書記。さて音。中央右手に聴こえるブラシが鋭い。ピアノをしのんでいる。こういうアンバランスが時に心地よい。

  □収録アルバム「マイナー・ブルース」VHGD-29 (SACDシングルレイヤー)

 

10. サマー・ナイト / リッチー・バイラーク・トリオ

またかといわれそうだが、私は名にし負うシンバル好きである。どうしてもシンバルが他の楽器に先がけるようにオーディオを矯(た)めつ眇(すが)めつしてしまう。この演奏はそんなシンバル好きのための一曲。ソロの前奏が終わり、すかさず出てくるシンバルの「シャリーン」という一閃。ヴィーナスのシンバルは高域に片寄らず、中域を重視したもの。重量感がある。オーディオはシンバルなりと思わず呻いてしまった。

 □収録アルバム「サマー・ナイト」VHGD-123 (SACDシングルレイヤー)

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【ご利用時の注意点】 ※こちらはメーカー取り寄せにつき、お届けまでに1週間から10日間前後の日数がかかります。あらかじめご了承ください。

今回のコンピレーション盤(ハイブリッド仕様)で寺島氏の美学に触れた後は、圧倒的な情報量を誇るオリジナルアルバム(SACDシングルレイヤー盤)の極上サウンドで、1曲ずつの世界観をさらに深く掘り下げてみてはいかがでしょうか。

 

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