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PR尖った先端から静電気を放出

新発想のレコード・スタビライザー「NAZO STAT」を試す。評論家も「圧倒的な効果」を実感

2023/11/23 炭山アキラ
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BrighToneから発売となったレコード・スタビライザー「NAZO STAT」。実は本製品は、ハイエンド・オーディオマニアとして知られる永瀬宗重氏のアイデアから誕生した製品となる。永瀬氏は今年5月に惜しくも亡くなられてしまったが、その遺志を受け継ぎ、ブライトーンが製品化に漕ぎつけた。生前から永瀬氏と親交厚く、本機の試作機から試聴を重ねてきたという炭山アキラ氏に、本製品の魅力を語ってもらおう。

BrighTone レコード・スタビライザー「NAZO STAT」(価格:110,000円/税込)

尖った先端から静電気を放出する独自アイデアを製品化した「NAZO STAT」



「ダブルウーファーズ」というオーディオ・サークルをご存じだろうか。とてつもなく豪壮な装置を操る人たちが多く集う会で、大変活発に活動・交流を続けている団体である。2023年5月、そんなダブルウーファーズの創始者にして、長く会長を務められた永瀬宗重氏が亡くなられた。享年68歳、あまりにも早い旅立ちである。

NAZO STATのアイデアを提供した永瀬宗重氏。オーディオサークル「ダブルウーファーズ」の会長を務め、2020年には単著『暗い低音は好きじゃない!』を上梓。氏のアイデアから実際に製品化されたアクセサリー類も多数存在する

永瀬氏は茨城県は守谷市で、地域医療を支える内科医として勤務される傍ら、広大なご自分のリスニングルームで膨大なオーディオ実験を繰り広げられた人だ。また古今有数のマルチ使いであり、私自身も、長く実験を続けているマルチアンプ・システムの得難いメンターとして、公私とも親しくお付き合いさせてもらってきた。

永瀬氏は実験と発明の人でもあった。BrighToneの「NAZO STAT」は、そんな永瀬氏のアイデアをもとに製品化されたレコード・スタビライザーである。全体はごついステンレスの円柱と薄く大きな円盤からなり、何とレーベル面ではなく最内周付近の盤面へ直接下側の円盤が接する形状となっており、そこから盤全体の静電気を本体へ吸収した上で、中心上部へ据え付けられたスパイク様のアンテナから空間へ放電するという仕組みのものである。

試作品も拝見したことがあるが、完成品と比べると本体円柱と下側円盤の上面へカーボンのシートが貼り付けられたのが新しい。頂点のアンテナにはビニール製のキャップが付されているが、これは危険防止のためで、外して使った方が効果的であろう。

圧倒的なスケール感と安定した音像を眼前に提示



ここでは、TECHNICS「SL-1000R」と組み合わせて音を聴いた。カートリッジはフェーズメーション「PP-2000」という贅沢な布陣である。

TECHNICSのアナログプレーヤー「SL-1000R」と組み合わせて試聴。スピーカーはBowers & Wilkinsの「803 D4」を組み合わせ

クラシックは、というよりももう盤へ針を落とした瞬間、NAZO STATの効果は圧倒的に耳へ届く。スクラッチノイズやパチパチノイズが激減し、演奏が始まる前のリスニングルームを圧倒的な静けさが包むのだ。レコードからしっかりと静電気を除去した際の音をお聴きになった人も少なくないだろうが、その効果をさらに拡大したような風情である。

音楽が始まれば、圧倒的なスケール感と巌のように安定した音像を眼前に提示しつつ、それでありながら音楽の躍動感が目覚ましい。まるでシステム全体を入れ替えたような、とてつもない音質向上である。

ジャズはカルテットそれぞれの音像がピシリと引き締まり、余分な音が一切消え去った結果、猛烈な力で押してくるサックスの中に妙なる抑揚が浮かび上がり、ピアノは端正な輝きを帯びつつ爽やかで抜けの良い音を響かせ、ウッドベースはその巨体を等身大に表現する。ドラムスは皮の張りが見えるようなスピード感とパワー、シンバルの散乱する超高域が素晴らしい。

レーベル面がすっかり隠れてしまう比較的大ぶりなスタビライザーとなる

ポップスは粗野なところを巧みに抑えつつ、大ナタの切れ味でガンガン演りまくるバックへ負けじと歌姫が強烈にシャウトする。脳天へ響くようなこの音の洪水は、一度聴いたらもうやめられない。

これはただ除電した効果というだけでなく、NAZO STATのさまざまな特徴が功を奏したものと思われる。底面の円盤は最外周に円周状のリブが設けられ、スタビライザーの1kgへ達する重量は、丸く線接触していることになる。底面で盤全体を押さえるより、この方が音がハイスピードに前へ飛びやすい傾向があるのだ。もちろん絶対的な重量とステンレスという素材の選択、そして表面へ貼られたカーボンの効果もあるに違いない。

「NAZO STAT」の名前の由来は?



これほど圧倒的な効果を誇るNAZO STATだが、残念ながら万能というわけでもない。底面の円盤は前述の通りレーベル面よりも外側の盤面へ接しているが、そのため最内周の無音溝までカートリッジが届かず、最終曲が終わったらマニュアルでアームをリフトしてやらねばならない。また、SPUなどの柄が大きなカートリッジで、なおかつ内周ギリギリまで切られた盤を再生しようとすると、シェルが当たって最終曲のエンディングまで届かなくなる可能性もある。

しかし、そういう点をよく理解した上で、なおかつ是非にと薦めたくなるのは、この他と隔絶した音質のなせる業である。利害得失をよく理解した、大人のマニアへ強く薦めるスタビライザーである。

ちなみに本製品がNAZO STATと名付けられた理由は、永瀬氏がご自分のブログなどでハンドルネーム「ナゾ男」と名乗られていたからであろう。膨大な量と驚異的な内容の濃さを持つ氏のブログ「Double Woofers' ナゾ男の暗い低音は好きじゃない!」は今も読めるし、そこから重点的なコンテンツを集めて編まれたムック本『暗い低音は好きじゃない!』(CDジャーナル)も好評発売中だ。永瀬氏をよくご存じないという人は、まずブログから読んでみてほしい。どれほどの情熱でオーディオへ取り組まれていたか、お分かりになるだろう。

永瀬氏もTECHNICSのアナログプレーヤーを長く愛用しており、NAZO STATの試作機の試聴などにも使われていただろう

(提供:ブライトーン)

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