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さらに充実の使い勝手

ネットワーク音楽再生機能を大幅強化 − デノンの新AVアンプ「AVR-2113」「AVR-1713」を聴く

公開日 2012/05/11 10:33 レビュー/高橋 敦
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エントリークラスのAVアンプが大充実しそうな今春、デノンからも魅力的な2モデルが登場する。7.1chの「AVR-2113」と5.1chの「AVR-1713」だ。多くの共通する特長と、それぞれに異なってくるポイントを詳しく紹介していこう。

ネットワーク音楽再生機能が大きく強化された


AVR-2113

AVR-1713
両機共通の大きな進歩はネットワーク音楽再生機能を強化したことだ。幅広い再生ソースと優れた操作性を得ている。各社の今期エントリー機に共通する特長であるが、デノンもその流れを逃していない。

再生ソースとしてはまずAirPlayに対応。iPhoneやiPad、iTunesから再生機器としてアンプを選択するだけで、音楽をアンプにプッシュして再生できる。Apple製品のユーザーならすぐに使いこなせる、魅力的な機能だ。ふたつめはDLNA準拠のネットワーク再生。FLAC形式、96kHz/24bit対応なので、ハイレゾ配信の音源も楽しめる。操作はオンスクリーンメニューとリモコンからも行えるし、DLNAコントローラー機能を持ったスマホアプリからも行える。動作の安定性は前者が優位、使い勝手は後者がまさにスマート。場合に応じてどちらも使えばよいだろう。

なお、夏に予定のファームウェアアップデートで192kHz/24bitのWAV/FLAC再生、ギャップレス再生、Appleロスレス対応などが予定されており、ネットワーク再生環境としての魅力はさらに高まる。

ネットワーク対応は操作性の面にも貢献している。スマホアプリ「Denon Remote App」は、アンプの機能を整理して手元に表示し、タッチ操作環境を提供。最新版の「Ver.3.0」ではインターフェースを刷新し、操作性をさらに向上。iOS版に加えてAndroid版も登場し、より多くのユーザーがその恩恵を受けられる。


本体サイズがコンパクトに。セットアップも簡単

他の面も見ていこう。入出力端子が大幅に絞り込まれたこともむしろ特長だ。背面パネルがすっきりしていて、配線も手軽に行える。HDMI入力はAVR-1713が5系統、AVR-2113が6系統と十分に用意。HDMI端子は前面にも用意され、スマホやビデオカメラの接続がよりスムーズに行える。本体の奥行は329mmにまでサイズを短縮。テレビの奥行に合わせたラックにも収まる。

自動音場補正「Audyssey MultEQ XT」の実施時など、オンスクリーンメニューのフォントはAVR-2113の方が格段に綺麗で読みやすい。オンスクリーン周りでは、設置・設定の手順を画面で逐一案内してくれる「セットアップアシスタント」機能や、再生中の映像にメニュー画面を重ねて映せるオーバーレイ表示も、両機共通の特長だ。

AVR-2113を側面からみたところ。内部構造を一新し、奥行きサイズを前モデルと比べて53mm短縮し、329Dmmとなっている

「Audyssey MultEQ XT」のセットアップマイク

映像系ではAVR-2113のみ、4Kアップスケーリングと、4K信号パススルーが可能。将来4K導入を視野に入れている方はAVR-2113を選んでおくべきだろう。

アンプとしての心臓部には、チャンネル数こそ違えど共通の高音質思想を実装している。信号経路のシンプル&ストレート化を徹底するミニマムシグナルパス設計。全ch同一パワー&同一レスポンスのフルディスクリートパワーアンプ。振動を巧く処理するダイレクトメカニカルグラウンド構造も採用されている。

AVR-2113の背面端子部

AVR-1713の背面端子部


AVR-2113のフロント入力。HDMI端子が新設された

AVR-1713もフロント側にHDMI端子を備える

「AVR-2113」のサウンドを聴く

AVR-2113から音質をチェックしていこう。「ロスト・ワールド」ではまず、サラウンドバックを高めに設置した7.1ch構成の効果もあり、サラウンドの繋ぎ目が目立たず、空間の広がりが高さまでを含めて豊かに表現される。その中で、豪雨がトレーラーハウスの屋根を打つ雨音も、緊迫感のある台詞もクリアに届く。情報量の多い場面であるが、音がうるさく重なったり濁ったりはしない。

ティラノサウルスの唸り声は骨太で硬質。空気の震え、圧力まで感じさせる迫真の描写だ。その唸り声と背景の雨音、そして背景の静けさとのコントラストも鮮やかだ。S/N感にも優れる。

「トゥルー・グリット」からは夜営の場面を確認。たき火の薪が弾ける音が目の前に、その奥に虫の声が広がり、夜の森の静かな深さを感じさせる。地味な場面であるが、奥行まで含めた定位の良好さなど、優れたサラウンド再現性が求められる。AVR-2113はそれを十分に満たしており、映像と一致する景色が耳からも伝えられる。台詞の厚みや生々しさもあり、説得力のある場面に仕上がっている。

AirPlayとDLNAネットワーク再生で2ch音楽の再生も確認した。まずAirPlayでEsperanza Spalding「Radio Music Society」を聴く。全体に音調がややウォーム。音源自体がその傾向の音作りであるが、それを強めに引き出す印象だ。フレットレスベースの音色はそれにふさわしく柔軟に描き出され、ドラムスも適当にモコッとした温かみのある音色。快活さは少し薄れるが、ほどよく緩いグルーブが生まれて悪くない。

同作品の96kHz/24bit版をネットワーク再生で聴くと、シンバルの粒子感がより細やかになる、ボーカルが声をすっと抜いていくところの、消え際までの滑らかさや美しさ余さずに表現し、ハイレゾの特質が活かされる。ハイレゾらしさが十分に楽しめるクオリティだ。


「AVR-1713」のサウンドを聴く


デノンの新AVアンプを試聴する高橋氏
対してAVR-1713であるが、おおよその印象はAVR-2113と共通する。ただやはり、こちらは5.1ch構成となることも含めて、微妙な差異は生まれている。

「ロスト・ワールド」ではまず、雨音など背景の効果音が少しだけ大柄に感じられる。やや太めのタッチでぐいっと描き出されるようだ。ティラノサウルスの唸り声の骨太さ、硬質さはこちらでも健在。加えてその響きが、こちらも少し大柄に描き出される。低音のがっしりとした引き締めが少しだけ緩み、音像が膨らむようだ。ただ、こちらの適度な手綱の緩め具合を好む方もいるだろう。シンプルにわかりやすい迫力を演出している。

効果音が派手な作品と合うように感じたので、続いては「エンジェルウォーズ」を試聴。ガトリングガンが火を噴き、日本刀と長刀が振り回されるサラウンドはやはり大迫力。やや大柄の音像が十分なキレで音場を駆け回る。狙い通りの好感触だ。

音楽再生でも、AVR-2113に対しては少し緩めた印象。特にドラムスの音が太く、全体の重心を下げ、厚みを増している。

ネットワークを中心に機能面での大きな進歩を見せつつ、端子の整理や奥行の短縮も実現。音質面もさすがに堅実な仕上がりを見せる。エントリークラスのAVアンプは新たな段階に入ったと感じさせる新製品である。


高橋 敦:プロフィール
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。

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