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新製品スペシャルレポート

ケンウッド“Kseries”の一体型モデルがiPodデジタル接続に対応 − 「U-K525」を高橋敦氏が聴く

公開日 2010/11/30 14:23 レビュー/高橋敦
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ケンウッドからiPodドック搭載の一体型オーディオ“Kseries”「U-K525」が発売された。iPodのデジタル接続に対応するなど、さらに高品位なサウンドに磨きをかけた本機の実力をライターの高橋敦氏がレビューする。


U-K525(シルバー)

U-K525(ブラック)

■リラックスして聴くこともできるし、じっくり耳を向ければそれにも応えてくれる

プレミアムなコンパクトオーディオを提案するケンウッド“Kseries”の新製品。去年発売のオールインワンシステム「U-K323」をベースに、iPodデジタル接続ドックを追加した進化系モデルだ。

ボディはアルミ製で質感も剛性も高い。これもまた剛性が高く複雑な形状の底板は、様々な振動を整えて音質を高める「バイブレーションコントロールシャーシ」とのことである。接地する脚部もしっかりとしたものだ。さらに例えば本体の操作ボタンの仕上げと押し心地など、細かな点まで抜かりがない。

内面も当然、外面に遜色ない内容だ。アンプはプリとパワーの両段をデジタルアンプで構成する、フルデジタルプロセッシングを採用。本機はiPodデジタル接続ドック搭載なので、iPodのサウンドも高品位だ。スピーカーをドライブするまさに直前までをフルデジタル処理することで、鮮度の高い増幅を実現している。アンプ等を駆動する電源部は、アンプ等の回路から十分に離れた箇所に専用シールドケースで覆った状態で配置し、他の回路への干渉を抑えている。

背面にはUSB端子も搭載。MP3/WMA/AAC(DRM非対応)ファイルの再生が可能だ

本機のリモコン

スピーカーユニットの振動板には多層コーティング素材を採用し、不要振動を抑えたクリアな音を獲得。多くの一体型オーディオシステムではボディがスピーカーキャビネットを兼ねるが、本機はボディの中にMDF材の高剛性キャビネットを別途配置し、左右合計約2リットルの容積を持たせたことで、自然かつ豊かな響きを持ったサウンドを実現している。

ドックにiPodを接続して試聴。再生中のiPodの操作は、本機のリモコンで行える。


筐体には高剛性2mm厚アルミ材を採用。スマートなルックスも本機の魅力
緩みなく、しかし押さえつけられた感じはなく心地よく弾むベースが印象的。剛性重視の筐体とは別途スピーカーキャビネットを用意した効果かもしれない。どんと深く重く沈むわけではないが、基音の音程と太さがしっかりとしており、安定感のあるベースだ。シンバルもガチガチのシャープな描写ではなく、適度にほぐれて柔らかな音調。なのであまり目立ちはしないが、聴き込んでみるとダイナミクスや音色の描写に不足はない。

天面に配置されたデジタル接続対応のiPodドック

ドッキング時はiPhone/iPodの再生・選曲操作が本機のリモコンで行えるほか、充電にも対応する

女性ボーカルはまさに主役という感じで、音場中央にやや大柄に、しかし揺るぎなくフォーカスされる。ヘンドリクスのリズムからは、タイトさよりもしなやかさの方を引き出し、ファンク性を高める。ギターの歪みの音色は倍音が豊かで柔軟な傾向。

2基のスピーカーで高品位なサラウンド再生を実現する「DTS Surround Sensation」にも対応する

音の印象をまとめると、やや低めに重心を置き、適度にほぐれたしなやかな音調だ。リラックスして聴くこともできるし、じっくり耳を向ければそれにも応えてくれる。

スマートなルックスと納得の音質をU-K323から継承し、iPodドック搭載でより広い層の音楽ファンにとってうれしい製品になった。大歓迎したい進化である。


【U-K525 SPEC】<アンプ部>●実用最大出力:20W+20W ●入力端子:D.AUDIO IN、AUX、光デジタル、USB2.0(Full Speed) ●出力端子:録音出力 ●再生対応ディスク:CD、CD-R/RW ●再生対応ファイル形式:MP3/WMA AAC(DRM非対応) ●外形寸法:390W×119.5H×267Dmm ●質量:5.8kg ●問い合わせ先:ケンウッド カスタマーサポートセンター TEL/0570-010-114


<筆者プロフィール>
高橋 敦
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。

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