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録画機能の要点を中心にチェック

REGZAブルーレイ「RDシリーズ」を“選ぶ理由” − 待望のBD版RDの魅力をケースイが考察する

2010/07/29 鈴木桂水
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いよいよBD搭載の東芝REGZAブルーレイ“RDシリーズ”が登場した。古くからのRDユーザーでもある筆者としても待ちに待った製品だけに、その実力に期待が高まっている。スペックの詳細については既報の新製品ニュースを参照していただくとして、ここではBD版RDシリーズの録画機能を中心に“買いのツボ”をチェックしようと思う。

今回のラインアップは「RD」の名を冠した下記の4種類のほかに、いわゆるエントリーモデルのD-BZ500が発表されているが、ここではRDシリーズの4機種のみに触れていこう。
・「RD-X10」2TB ¥OPEN(予想実売価格22万円前後) 11月下旬
・「RD-BZ800」1TB ¥OPEN(予想実売価格15万円前後) 9月下旬
・「RD-BZ700」500GB ¥OPEN(予想実売価格11万円前後) 9月下旬
・「RD-BR600」500GB ¥OPEN(予想実売価格9万円前後) 10月中旬

RD-X10

RD-BZ800


RD-BZ700

RD-BR600

今回のBD対応RDシリーズは、スカパー!HD録画やUSB外付けHDD録画に対応するなど、DVDレコーダーのRD-X9シリーズと同世代のシステムがベースとなっているようだ。インタフェースなどはリニューアルされているが、操作感の大きな変更は感じられない。

■BD内蔵により、録画機能の使い勝手はよくなるのか

BD対応にともない、フルハイビジョン画質のまま最長12倍の長時間録画を可能にした。AVCRECにも対応するので、BDはもちろんDVDにも長時間記録できる。新製品発表会場で受けた説明では、既存の他社製AVCREC対応レコーダーとも再生互換はあるということだ。ちなみに従来のRDシリーズが採用していたHD Recで録画したDVDは、バージョンアップによりBD版RDでも再生できるようになる。

シングルチューナーのRD-BR600以外、ハイビジョン番組の2番組同時録画が可能なのだが、AVC録画に必要なトランスコーダーは1系統しか搭載していないので、2番組同時にAVC長時間録画はできない。具体的に説明すると、2番組同時録画を行う際には、1番組はAVCの画質を設定して予約ができるが、もう一番組はデータ容量の消費が大きい「TS(DR)モード」での録画しかできない。この対策としては、録画後にTS録画コンテンツをレコーダーの本体内HDDで、約2倍速でAVCにレート変換する高速トランスコード機能があり、録画番組を約半分の時間で任意のAVC画質に変換可能だ。

録画モードの変更画面

ダビングモードの選択画面

ただし、この“高速画質変換”にも制約があり、変換後の画質が3.4Mbps以上である場合のみ2倍速での変換が可能で、それよりも圧縮率を高めると実時間がかかってしまう。また変換中は新規の録画ができないなど制約もある。やはり2番組同時録画対応のツイントランスコーダーモデルの登場が待たれる。トランスコーダーが1系統の場合、複数の番組を毎週録画した際に発生する“玉突き予約変更”などにより、番組追跡ができないので、録り逃しが増えてしまうことも知っておきたいポイントだ。

筆者はこの“あとからトランスコード”機能は、録画機能付REGZAのユーザーが最大の恩恵を受けられると思っている。録画対応REGZAはTSモードでしか録画できないが、RDシリーズを接続して、録画番組をレコーダーに転送し、その後AVCレート変換して保存すれば、限りあるストレージ容量をかなり効率よく利用できる。筆者はNHKの大河ドラマ「龍馬伝」や朝の連続ドラマ「ゲゲゲの女房」をREGZAで録画して、それをRD-X9に転送し、さらに外付けHDDに保存している。このような長期連続ドラマもAVC変換してBDに記録すれば、コレクションのスリム化ができそうだ。また、こういった長編物はBD/DVD化されないことが多く、BOXセットで販売されても高価なので、オンエア時期にうまく保存しておきたいところだ。

■外付けHDD対応機能もぜひ活用したい

筆者が考えるBD版「RDシリーズ」の目玉機能は2つある。BD搭載のレコーダーとしては、初めて外付けHDDに対応し、加えてスカパー!HD録画の機能も搭載していることだ。筆者の連載でご紹介しているように、筆者はいまスカパー!HD録画にハマっており、毎日数多くの番組を録画している。主に海外ドラマや連続物のドキュメンタリーを録画しているのだが、できればドラマなら1シーズンをまとめて一気に見たいと思う。しかし複数のドラマを録画して、シーズンごとにまとめようとするとHDD容量がいくらあっても足りない。

NHKハイビジョンのドキュメンタリー番組も録画しているのだが、これがかなり厄介なのだ。BS-hiのドキュメンタリー番組は1本1時間半程度の番組が多い。せっかく美しい映像なのでTSやDRなど高画質なモードで記録すると、1番組あたり16GB、18GBという容量になってしまい、片面1層タイプで25GBのBDメディアに保存するにはじつに中途半端になってしまう。「1作ごとに7GB以上も余らせてBD1枚に記録するのももったいないので、何かついでがあればダビングしておこう…」と考えているうちに、HDDの容量をどんどん塞いでしまう。こういった中途半端な容量の番組でも外付けHDDに記録すれば気兼ねなく保存でき、時間のあるときに(まぁ言い訳だが…)取捨選択して必要な番組をBDに残せる。新しいRDシリーズでは最大2TBの外付けUSB HDDが利用できる。筆者は過去、ロジテックのHDDケースとバルクのHDDを購入し、RD-X9と組み合わせた動画の記録テストを行ない成功している。今後、新RDシリーズでも同様のテストを行ってみようと思っているが、成功すればかなりコストを抑えてハイビジョン番組を残せることになる。

BD対応の「RDシリーズ」最新ラインアップでどのモデルを選ぶべきかは迷い所だが、デジタル放送の録画がメインなら、RD-BZ700かRD-BZ800のいずれかがオススメだろう。できれば1TB内蔵のRD-BZ800を選んだほうが快適だが、500GBのHDD容量の違いで4万円の価格差は痛い。予算を抑えるならRD-BZ700を購入して、外付けHDDで容量を確保という使い方もアリだ。

■快適にスカパー!HD録画を楽しみたいならRD-BR600もオススメ

取り急ぎスカパー!HD録画を徹底的に楽しみたいなら、予算を抑えて外付けHDD&スカパー!HD対応のコンビ技の恩恵が受けられる、実売価格9万円前後のRD-BR600も選択肢に入る。このモデルはデジタルチューナーがシングル搭載なので、地デジ、BSデジタルの番組を頻繁に録画するにはやや不便だが、しかし、スカパー!HD専用の録画機として使えばかなり活躍するだろう。

スカパー!HD録画の使い勝手については筆者の連載のレポートを参照していただきたいが、各種デジタル放送のスケジュールが重なると録画ミスの原因になりやすい。理由はスカパー!HDの録画予約は外部チューナー側で行なうので、レコーダー側で細かな予約管理が行えないことにある。

REGZAブルーレイシリーズではTS2側を使ってスカパー!HDを録画するので、仮にツインチューナーモデルを買ってもTSモードでデジタル放送の2番組同時録画をする際には、スカパー!HDの録画予約とのバッティングに気を遣わなければならない。それならば最初からシングルチューナーモデルを選び、スカパー!HD録画の専用機として使えば、快適に録画できるはずだ。ちなみにチューナー側のスカパー!HDの予約と、レコーダー本体のデジタル放送の予約が重なった場合は、レコーダー本体のデジタル放送の予約が優先される。スカパー!HDのヘビーユーザーならRD-BR600の発売後の値動きを見て、納得できる価格で購入することをオススメしたい。

さてこのほかにもRDシリーズがBDに対応したことで、録画機能付REGZA、BD版RDシリーズを連携させていろいろと面白いことができそうだ。録画機のトップリーダーだったRDシリーズは、次世代規格争い以降、第一線から離脱し隠遁生活を送っているかのようにも見えた。しかし、今回晴れてBDに対応したRDシリーズを製品化したことで、再び表舞台に帰ってきた印象を筆者は受けた。まだ“肩慣らし”の状態なので、新製品の仕様については細かな点で気になる所もあるが、使い慣れたRDのインターフェースでハイビジョン番組をBDに録画できることを素直に喜びたい。あえてアニメ的な表現で表すなら「お帰りRD♡!」的な気持ちで復活を歓迎しておこう。今後も連載などでテストを行なう予定なので、楽しみにしていただきたい。

◆筆者プロフィール 鈴木桂水
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。

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