意外と知らない、ドライブごとのリッピングクオリティの差

デジタルミュージック時代の高音質リッピング術・パイオニア光学ドライブの「PURE READ」機能を検証する

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山之内 正
2009年08月18日
CDの音楽データをパソコンに取り込むと、ポータブルオーディオに転送したり、ライブラリをパソコンで管理するなど、音楽を楽しむスタイルが一気に広がるが、課題は音質だ。音にこだわる音楽ファンのなかには、MP3などの圧縮フォーマットではなく、FLACやALACなどロスレス形式でエンコードする例も増えてきたが、実は音質を左右する要素はエンコード形式だけではない。

まずはデータを正確に読み取ることが肝心だ。リッピングの機会が多い読者なら、ディスクによって読み取りに時間がかかったり、パソコンやリッピングソフトによって読み取り時間に大きな違いがあることに気付いていると思う。そんなときは、音楽データを正確に読み込めていないおそれがあるのだ。

パイオニアの光学ドライブが採用している「ピュアリード」機能は、ディスクのキズや偏芯が理由で読み取りエラーが起きたときに、読み取り方法を調整してリトライを繰り返し、正確な読み取りを実現するというものだ。前後のデータから予測するエラー補間を行ってしまうと音質が変化したり、ノイズが発生することがあるが、リトライによって正確に読み取ることができれば、本来のクオリティを取り戻すことができるという。パイオニアが同機能を「原音再生」と呼んでいるのはそこに理由がある。

DVR-X162J

DVR-XD09J

「ピュアリード」機能を搭載したドライブは数多く用意されており、内蔵型のほか「DVR-X162J」などの外付け型、「DVR-XD09J」などのコンパクトなポータブル型も発売されている。

実際に、他のドライブで読み取りが難しいディスクをDVR-X162Jのでリッピングしてみたところ、正確に読み取ることができただけでなく、以前とは音質が激変、ドライブが音質に与える影響の大きさをあらためて実感することになった。読み取りには他のディスクよりも時間がかかったが、これはドライブ側で速度を変えるなど様々な条件を最適化しているためで、「ピュアリード」機能が正確に動作している証拠だ。

「ピュアリード」機能を使うためには、Windowsで動作する専用のユーティリティを利用し、ドライブ側の設定を選ぶ必要がある。エラーを低減して高精度の読み取りを行いたいときは「パーフェクトモード」に設定すればよい。時間はかかるが、条件を変えながら一定回数までリトライを繰り返すので、データの信頼性は一番高い。ディスクに重大な不良があり、読み取りが難しい場合は「マスターモード」または「標準モード」に変更する。場合によってはエラー補間が適用されることになるが、大半のディスクは「パーフェクトモード」で正常に読み込めるはずだ。前述のディスクもこの「パーフェクトモード」でリッピングした結果、音がガラリと変わったのだ。

パーフェクト/マスターモードなど読み取り精度の選択が可能

実際の音の変化はまさに劇的なものであった。パソコンの内蔵ドライブでのリッピングでは細部がマスクされていたが、DVR-X162Jで「パーフェクトモード」に切り替えたときの音は、霧が晴れたようにクリアになり、すべての楽器の存在が浮かび上がってくる。弦楽器や木管楽器の強弱の変化がダイナミックになり、音像は輪郭がぼやけず、にじみが圧倒的に少ない。

問題のディスクは、購入後20年ほど経つCDなので信号面には細かいキズがたくさんついているが、目立つほどの大きなキズはない。時間が経っているので記憶だけが頼りだが、購入した頃はもう少し鮮明な音で鳴っていた気がする。その記憶が間違っていなかったことが、20年後に証明された。「ピュアリード」によって、本来のクリアなサウンドを取り戻したのである。

他社製ドライブでCDをリッピングした際の波形。赤い部分がデータ補完が起こってしまったところ

「PURE READ」機能搭載ドライブ(DVR-XD09J)でディスクを読み取った際の波形。データ補完は行われず全て正常に読み込めている

音楽CDの場合、デジタルデータだから時間が経っても変わらないと言われることが多いが、それがすべてのディスクに当てはまるとは限らない。ディスクの状態によって読み取りが難しくなることはよくあるし、ドライブ側の読み取り動作とその精度によって、音質が変化することも証明された。リッピングしたデータをリンのDSでストリーミング再生すると、ドライブによる音質の差は予想していたよりもはるかに大きく、本質的な変化として聴き取ることができる。筆者はDS用の光学ドライブとして、今後はDVR-X162Jをメインに使うことを考えている。