海外ドラマ、音楽ライブ、映画、スポーツなど、貴重な映像をハイビジョン画質で視聴・録画できるのが「スカパー!HD」の魅力だ。これまでに2回のレポート(
第1回/
第2回)でその導入編をお伝えしてきたが、今回はその3回目として、東芝「RD-X9」との組み合わせによる導入レビューをお伝えする。
東芝「RD-X9」では、ソニーレコーダーとまた使い勝手が異なってくる
今回テストに使用したのはスカパー!ブランドのチューナー「SP-HR200H」と、東芝のHDD&DVDレコーダー「RD-X9」だ。東芝からBDレコーダーも発売されているが、ご存じの方も多いように、“東芝ブランド”のBDレコーダーは従来のRDシリーズとはインタフェースなどがまったく異なっており、スカパー!HDや従来のRDシリーズとのネットワークダビングなどの機能は利用できない。
スカパー!HDと対応レコーダーはLAN経由で接続し、準備する。接続方法などについては過去記事を参照していただきたい。録画をはじめる前にRD-X9側はネットワーク設定などを済ませておく。
予約設定はスカパー!HDチューナー側から行う。SP-HR200Hについては、すでにレポートしているがおさらいしておこう。録画予約はスカパー!HDチューナーの番組表で行う。予約は単発予約のほかに繰り返し予約も選べる。SP-HR200Hの操作性で一番辛いのが番組検索機能だ。文字入力の誤変換が多く、操作の最中にはストレスを感じた。そのため機器の方で番組検索は行わず、市販のスカパー!番組ガイドを片手に番組予約をしている。
記録モードは「TSE」固定になる
スカパー!HD予約時には録画モードを選ぶことができず、RD-X9を使ってスカパー!HDの番組を録画すると東芝独自の「TSE」モードで記録される。レコーダーのHDDに録画した番組はHDVRフォーマットのDVDにハイビジョン画質でアーカイブできるが、録画した番組の再生は東芝製の「スカパー!HD録画」に対応したVARDIA(RD-X8/RD-S503/RD-S303/RD-X9/RD-S1004K/RD-S304K)でしか行えない(東芝VARIDA公式サイトの
対応情報)。
また現在発売中の東芝製BDレコーダーでは、TSE記録したDVDメディアが再生できない。東芝は今後BD対応機を発売するわけだが、その場合、将来TSE記録したDVDメディアはどうやって再生すればよいのだろうか。今後の対応がわからないだけに、コレクターとしてはかなり不安な状況になっている。RD-X9は外付けHDDに対応しているが、HDDに記録した番組は本体を買い替えると再生できなくなってしまう。
なお、RD-X9でのスカパー!HD録画については、Phile-web読者の方から以下のようなアドバイスをいただいたのでご紹介したい。この読者の方はTSEモードで録画したスカパー!HDの番組を、録画後にDVD画質のVRモードに変換してから再生互換のあるDVDビデオとして楽しんでおられるそうだ。筆者も実際にテストをしてみたが、なるほど変換に時間はかかるが、その後の互換性を持ったかたちでの利用方法を考えれば“あり”な使い方だと感じた。いただいたアドバイスに感謝します。
前回紹介したソニーの「BDZ-RX105」との組み合わせでは「DR」録画になる。こちらはハイビジョン画質のままBDに記録できるが、一部の機種で再生できない場合がある。これについては
前回の記事を参考にしていただきたい。他社の製品での対応について、ソニー広報担当者に問い合せたところ、「現時点では他社製品との互換性について発表は行っていない」との事だった。一方でソニー製のBDレコーダーなら、バージョンアップでスカパー!HD録画のコンテンツを保存したBDが再生できるようになるので、不便はなさそうだ。
さて、なぜこのように、同じBDでも再生について互換の問題が発生するのだろうか。スカパー!HDは、スカパー!HD独自の放送規格に従い、番組の制御情報とともにMPEG-4 AVCで放送されている。これをBDレコーダーメーカー各社が、これら放送規格のデータを変換してBDAV形式として記録しているため、このときにMPEG-4 AVCに記録されているパレンタルロックなどの追加情報を、どう取捨選択するかによって、地デジなどを録画したDRモードとの互換性が無くなってしまうのだ。このことについては、BDAやメーカー間でスカパー!HDの録画方式を規格として統一しない限り、いまのところ各社の互換性を保つことが困難なようだ。
※本項初出時より、東芝、ソニーレコーダーにおけるスカパー!HD録画の対応状況に関する内容を調査し、本文を修正・加筆させていただきました。読者のみなさま並びに関係者の皆様にお詫びして訂正いたします。(5/20)
5月のスカパー!HD注目番組
5月はなんと言っても海外ドラマ「LOST」のファイナルシーズンが放送される。このシリーズには日本俳優の真田広之さんも重要な役所で出演する。放送はAXN HDで5月22日21時からスタートだ(
AXNのホームページ)。レンタルDVDの解禁日には行列ができるほどに人気の作品だが、スカパー!HDなら待たずに、それもHD画質で視聴できるのがうれしい。
アーカイブ派にはスパイを辞めた主人公が、突然常に監視下におかれる不思議な“村”に閉じこめられる名作ドラマ「プリズナーNo.6」のHD版が5月29日20時からスタート。日本放送時にはカットされたシーンも追加した完全版なので、ファンならずとも見逃せない作品だ。 また2009年に制作された「プリズナーNo.6」(
番組紹介)がAXNミステリーHDで5月24日22時からスタートする。新作のプリズナーNo.6は1話が
オンライン視聴できる。
これからも貴重な番組がHD画質で録画できるスカパー!HDの魅力はやはり大注目だ。今後BDレコーダーを選ぶなら、スカパー!HD録画対応機能の有無もチェックしたい。
(レポート/鈴木桂水)