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Paravi統合やSPOTV NOWパートナーシップなど注目の動画配信サービス

U-NEXTなら「1人しか観ない作品」も配信。拡大続く国内最大サービスが目指す先とは

公開日 2023/05/06 10:00 編集部:杉山康介
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「1人でも観たいと思うなら配信し続けたい」。見放題作品数No.1の理由とは

ーー U-NEXTは映画や海外ドラマ、アニメ、ドキュメンタリー、スポーツなどオールジャンルを取り揃えた動画配信サービスです。そういう意味でライバルとなるのはPrime VideoやNetflixなどだと思うのですが、見放題作品数No.1を掲げていたり、ドラマやアニメでもかなりの独占配信作を取り揃えていたりと、ラインナップへのこだわりが伺えます。改めてU-NEXTのコンセプトなどをお教えください。

人気ゲーム『THE LAST OF US』ドラマ版の独占配信も実施。ファンの間で大きな話題となった

佐野:U-NEXTが目指しているのは「レンタルビデオ店の最終進化系」です。レンタルビデオ店には最新作から往年の名作、B級まで色々な作品があって、足を運べばマニアックなものでも借りることができたのが良いところだったと思うんですね。しかし最近はレンタルビデオ店も少なくなってきたので、そういった作品も含め「全てをアーカイブしていきたい」というのを基本戦略としています。

なので、「この作品は視聴数が見込めないから配信しない」などということは考えず、とにかく全ジャンルで広く深く、日本で配信できる作品は全部配信していこう、というスタンスで臨んでいます。

例えば海外の古い作品ですと日本での配信権が切れているものも多いのですが、弊社にはそれらの作品をどうすれば配信できるか、を日々探しているチームがありまして、各国のスタジオに問い合わせたりして、コツコツと配信作品を増やしています。

それこそトロマ・エンターテインメント(アメリカのカルト的人気を誇るB級映画スタジオ)の作品などは、直接スタジオに問い合わせて配信にこぎつけることができました。こういった、映画ファンの方々が「これは配信されてないのか」と思われるような作品も、できるだけ揃えられるようにしています。

ーー 動画配信サービスを使っていると、いつか見ようと思っていた作品がいつの間にか配信終了になっていた……なんてこともよくありますが、そんな “取りこぼされた作品” を拾い上げていたら結果的に独占配信になった、というパターンもあるわけですね。

佐野:そうですね、コロナ禍が始まった頃、巣篭もり需要から当社のみならず各動画配信サービスの加入者が一気に増えたのですが、「最初は他社のサービスを使っていたけどラインナップに満足できず、最終的にU-NEXTへと辿り着いた」という方が非常に多くいらっしゃいました。コツコツアーカイブを増やしてきた戦略にやっと気づいていただけたんだな、と当時感じていました。

カルト映画マニアに人気のトロマ作品もラインナップ!

とはいえ、それだけでPrime VideoさんやNetflixさんといった大手と渡り合うのが難しいのも事実です。なので「サービスの旗印」になるような作品を増やすべく、世界各国のスタジオとパートナーシップを結んで、独占配信コンテンツの拡充にも力を入れています。

例えば、米HBOのオリジナルドラマ『THE LAST OF US』は2月より独占配信しています。韓国ドラマも独占、かつ本国の放送と同時に配信開始するタイトルを増やしています。日本のコンテンツに関しても、映画の製作委員会に出資して独占配信権を確保するなどの取り組みを始めています。

ーー マイナーな作品なども配信してくれるのはありがたいですが、逆に言うとサーバー負荷やコストなど、さまざまな理由によって各社「マイナーな作品を配信終了せざるを得ない」のではないかと思います。U-NEXTは何故アーカイブを増やし続けることができるのですか?

佐野:確かに配信作品数が増えてくるとデータ管理のための加工やサーバー負荷対策、エンコードの手間など色々な作業が発生しますが、先ほど説明した通りU-NEXTでは全て内製でサービスを構築しています。なので1作品あたり〇〇円といった外注コストがかからず、どれだけでもラインナップの幅を広げられる体制を築いているのです。

そのため良くも悪くも作品の再生数はあまり意識しておらず、1人でも見たい方がいるなら配信しておきたい、というのがサービスの根幹としてあります。やはりエンタメというのはお客様の多様性が広いものですからね。

ーー ミュージカルや宝塚、2.5次元作品、音楽コンサートなど、映画/ドラマ/アニメ以外のコンテンツもかなり深くフォローされていますよね。

佐野:社内にエンタメファンが多いというのも理由のひとつかもしれませんが、U-NEXTとしては「デジタルエンターテインメントは全部取り込みたい」という思いがありまして。特にコロナ禍を経てミュージカルや舞台、音楽ライブをはじめとしたコンテンツのデジタルシフトが進んだこともあり、お客様のニーズがあれば全て配信したい、と強化しているところです。

ーー また、我々にとって特に嬉しいのが、4K/Dolby Visionといった高画質、Dolby Atmosなどサラウンド・イマーシブ音声の作品も数多く取り揃えてくださっているところです。

作品数だけでなく品質にもこだわりを見せる

佐野:U-NEXTは月額2,189円(税込、以下同)と高価格帯なサービスということもあって、お客様に1番高品質な体験をお届けしたい、と考えています。また、弊社にはシステム部門にエンジニアがいるわけですが、彼ら自身4KやDolby Vision、Dolby Atmosといった高クオリティスペックが当たり前に好きなので、それを皆さまにもお届けしたい、と一丸になって取り組んでいます。

例えば2020年には、国内配信業者としては初めてハリウッド映画の4K/Dolby Vision/Dolby Atmos配信を開始しました。音楽ライブやコンサートの場合は、我々の方から高品質配信のご提案をさせていただき、現地でスピーカーやマイクの設定も行ったりと技術提供を含め積極的に提案させていただいています。



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