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オーディオ銘機賞2022 受賞インタビュー

アキュフェーズ 鈴木雅臣氏:金賞受賞の手応えを語る。2年ぶり開催「2021 TIAS」も大きな後押しに

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PHILEWEBビジネス 徳田ゆかり
2022年01月01日
オーディオ銘機賞2022
受賞インタビュー:アキュフェーズ


国内オーディオマーケットに展開される数々の製品の中で、卓越した性能、革新的な内容を持ち、かつオーディオマインドに溢れる“真の銘機”を選定する一大アワード「オーディオ銘機賞」において、金賞を獲得したアキュフェーズ。今回16回連続での金賞獲得を遂げた同社社長の鈴木雅臣氏に、受賞に際しての思いと、新しい日常の中での今後の展開について伺った。


アキュフェーズ株式会社 代表取締役社長 鈴木雅臣氏

インタビュアー 徳田ゆかり(ファイルウェブビジネス担当)

■創立50周年記念モデル第3弾、第5世代セパレート型SACDプレーヤー「DP-1000/DC-1000」


ーー オーディオ銘機賞において16回連続での金賞受賞となりました。誠におめでとうございます。

鈴木雅臣氏(以下、鈴木) この度は栄誉ある賞をいただき誠にありがとうございます。 世界中の素晴らしい製品の中から弊社製品を選んでいただいた評論家の皆様方、販売店の皆様方に感謝いたします。オーディオ銘機賞は、オーディオ評論家の方々と、オーディオ専門店の方々の協議で選定される世界でも類を見ない素晴らしい賞です。金賞をいただいたことを誇りに思うと同時に、今後もオーディオ銘機賞に選んでいただけるような価値のある製品をお客様に提供してまいります。

ーー 受賞モデルの訴求ポイントをお聞かせください。

鈴木 弊社は、2000年にセパレート型SACDプレーヤーの初代モデルとなる「DP-100/DC-101」を製品化し、その後、「DP-800/DC-801」「DP-900/DC-901」「DP-950/DC-950」と進化を続けてまいりました。今回金賞をいただいた「DP-1000/DC-1000」は第5世代のセパレート型SACDプレーヤーで、創立50周年記念モデルの第3弾になります。

どちらの製品も、5年前の前モデル「DP-950/DC-950」と比べて外観に大きな違いはありませんが、数々の新技術を搭載して中身を大きく進化させています。SACDトランスポート「DP-1000」は、SACD/CDドライブメカニズムをゼロから新たに開発しました。 設計にあたって制振特性、防振特性に着目し、ディスクが回転することで発生する気流までも考慮しました。 従来機種と比べると、ディスクの読み取り精度が向上し、さらに動作音も小さくなっています。

本製品とペアになるデジタル・プロセッサ「DC-1000」は、使用しているD/AコンバータICこそ従来機種と同じですが、回路配置の全面刷新、フィルター回路の並列化、弊社オリジナルの雑音・ひずみ打消し技術であるANCCを随所に搭載するなど、持てる技術のすべてをつぎ込んで理想的なD/A変換を実現しています。「DP-1000/DC-1000」によって、新たな音楽の感動が得られることを確信しています。

発売は今年の8月中旬でした。コロナ感染の第5波がピークを迎えた時期と重なり心配していたのですが、初回生産分を完売することができました。その後も生産を続けていますが、年内生産分は完売しております。お客様、販売店様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、製品の性質上大量生産ができません。ご理解とご容赦をいただければ大変ありがたく存じます。

ーー お客様と直接触れ合うプロモーションが難しい状況下でのこうしたご反応は、御社の日頃の活動と製品力の高さの賜物ですね。

鈴木 私どものお客様の中には、新製品の詳細が発表される前からいつ頃何が出るのか察知され、ご販売店に予約くださる方が少なからずいらっしゃいまして、大変ありがたいことです。しかし大半のお客様に対しては当然、実際に触れて聴いていただく機会が不可欠です。

「密」を避けたいというお客様に対しては、ご自身の環境で再生音の確認ができる自宅試聴をお勧めしています。弊社から販売店様へ製品をお貸出しして、そこからお客様のお宅へ製品を持ち込んでご試聴いただきます。貸出用としてすべての現行製品をご用意しています。また今年は「東京インターナショナルオーディオショウ2021」を開催することができ、お客様に大変喜んでいただけました。

■さまざまな工夫で2年ぶりの開催を実現「東京インターナショナルオーディオショウ2021」

ーー 「東京インターナショナルオーディオショウ」は、久しく開催されなかったリアルイベントの復活としても、非常に注目されました。主催の日本インターナショナルオーディオ協議会の会長のお立場として、大変なご苦労があったかと拝察します。

鈴木 協議会では例年4月に総会を開き、その年の「東京インターナショナルオーディオショウ」の概要を決めます。昨年はコロナ禍で早めに中止の判断をしましたが、今年は開催したいとの声が大変多く、開催時期に緊急事態宣言が発出されている場合は中止にするとして、まずは開催を前提としました。日本のハイエンドオーディオの火を絶やさないためにも、開催に向けて具体的に動き出しました。

開催までの期間に手分けしていろいろと調べ、事務局でガイドラインを作成しました。ショーの来場者数は、東京国際フォーラムの定員数の80%を上限とし、事前予約制とさせていただきました。その上各フロアで2名ずつの人員を配備し、部屋ごとの定員を超えないように見回りもしてもらいました。

室内のレイアウトも密にならないよう工夫しました。アキュフェーズのブースでも、入口付近の展示を避け人が留まらないようにして、試聴も新製品中心とし、スピーカーも例年は3組くらい使用するところを2組に抑え、試聴用機材を入れるラックの規模も小さく、スペースをとらないようにしました。

こうしたことを、メンバーの中で意見を出し合って決め、実行したのです。大変でしたが、おかげさまで混乱も事故もなく、そして感染の報告もありませんでした。来場されたお客様からも、ゆったりと聴けてよかったというお声をいただいています。こうした結果となって本当に安心しております。

■厳しい製造環境に立ち向かい、50周年記念モデルを完結させる

ーー 一方で 半導体や部品不足の深刻な状況が続いていますね。

鈴木 今年に入って、新型コロナウイルスの感染拡大で世界的な半導体の供給不足が起こっていて、弊社も製品を作るための半導体の調達に大変苦労しています。最近では、コネクターやコンデンサ、抵抗といった部品まで入手が難しい状況です。

巣ごもり需要に助けられて製品の需要があるにもかかわらず生産で苦労するという、過去に経験したことがない状況になっており、もうしばらくはこのような状況が続くとみられます。弊社の生産は未だ綱渡り状態ですが、なんとかお客様へ製品をお届けしようと頑張っており、生産が滞ったり、減産したりということはありません。ただ特に新製品は、初回ロットが出てしまうと次の生産まで時間がかかりますが、いつ納品できるかをはっきりとお示ししてお待ちいただくようお願いしております。

ーー 今後のお取り組みなどをお聞かせください。

鈴木 今年は「DP-1000/DC-1000」以外にも、CD専用プレーヤー「DP-450」、オリジナルの音量調整回路AAVAをバランス化したプリアンプ「C-2900」、フォノイコライザーのオプションユニット「AD-2900」、最高峰AB級プリメインアンプ「E-5000」といった新製品を展開しており、これらを軸に販売活動を行っていきます。ハイエンドオーディオの製品は、実際に見て、触って、聴いてこそ購入に結びつくものですから、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策をしっかり行いながら、販売店様が行う試聴会やイベントに協力して参ります。

また弊社は今年創業50周年を迎えましたが、それに先立って2019年に50周年記念モデルの第1弾となる最高峰A級プリメインアンプ「E-800」、2020年に第2弾となるフラグシップ・プリアンプ「C-3900」、そして今年は第3弾となるセパレート型SACDプレーヤー「DP-1000/DC-1000」と、第4弾となる最高峰AB級プリメインアンプ「E-5000」を発売しました。来年は、50周年記念モデルを完結する第5弾の製品を発売する予定ですので、ご期待のほどよろしくお願いいたします。

50年の間活動して来られましたのは、お客様やお取引先様に可愛がっていただけた証かと思っております。創業メンバーが「科学技術を通じて人々の精神生活を豊かにしたい」の思いで「エンリッチライフ、スルーテクノロジー」を掲げましたが、このスローガンのもと、これからも可愛がっていただける会社でいられるよう頑張って参ります。

ーー また新たな歴史が重ねられますね。ありがとうございました。

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