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制約を取り払った規格外モデル

「KANN CUBE」はなぜ常識破りの超重量級DAPになったのか? Astell&Kern幹部を直撃

公開日 2019/06/04 06:00 インタビュー/構成:佐々木喜洋
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タイトで引き締まった音。ヘッドホンで聴くとより魅力が伝わってくる

KANN CUBEの発表会で、短時間実機を使用する機会があった。


佐々木喜洋氏
まずその外観デザインが素晴らしいのに惹かれてしまった。初代よりも大きく重くなったが、黄金の70年代オーディオを彷彿とさせるような重厚でメカニカルなデザインは、ポケットに隠してしまうポータブルオーディオというよりも、据え置きで眺めて楽しみたいように思える優れたものだ。操作感ではボリュームのトルク感が良くなり、これも据え置きのような感覚を味わわせてくれる。

音質は、高精細感とワイドレンジを兼ね備えた大変に品質の高いものだ。周波数特性的にもバランスが良い印象で、ベースが出過ぎるようなこともない。

分析的な音で定評のあるESSのチップだが、乾きすぎているわけではなく適度なウェット感があるのはアンプ設計が優れている点もあるだろう。かなりタイトに引き締まった音も特徴的で、イヤホンで聴くのもよいが、ヘッドホンを使うと一層魅力的である。

初代KANNと同じ曲で聴き比べてみると、一聴して分解能が向上しているのがわかる。さらに先鋭的といってよい音で、各楽器の歯切れも良い。次に同じES9038Proをシングル搭載したSE100と比べてみると、音質傾向はやはり似ているのだが、KANN CUBEはより強力なエネルギー感を備えている。より豊かなサウンドで、総合的な音質で言えばKANN CUBEの方がかなり良いように感じた。KANN CUBEとSE100の価格差がそれほど大きくはないことを考えると、価格性能比に優れたモデルということができるだろう。

(佐々木喜洋)

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