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Lotoo渾身の最新モデル

「誰にとっても一台必要」な製品を − 世界最小のDSD対応DAP、Lotoo「PAW Pico」開発秘話

公開日 2017/09/25 17:11 オーディオ編集部
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だからこそ、このサイズにはこだわったようだ。その重さはわずか26gで、本体の厚みはわずか12mm。この軽さは実際に手に取ると驚くほどのものだが、かといってその質感は決してチープではない。

シャオ ボディはプラスチックを採用していますが、これは軽さを追求したかったからです。しかし、ボリュームノブにはCNC処理を行ったアルミを採用して、ボリュームそのものもアルプス製のものを採用しています。もしかすると、一見ボリュームノブはアルミに見えないかもしれませんが、実際に回していただけると操作フィーリングはプラスチックと違う、ガッチリとしたフィーリングを味わっていただけるはずです。こうした細かなところへの配慮も、PAW Picoに高級感をもたらすために工夫したポイントです。

PAW Picoのボディは、PAW GoldやPAW 5000同様、非常に頑丈に作り込まれている。薄さと軽さを徹底的に突き詰めたPAW Picoの内部には、Lotooがこれまで培って来た技術が満載されている。

PAW PicoのボリュームのぶはCNC加工されたアルミを採用。がっちりとした操作フィーリングを味わえる

シャオ スペックを見ていただいた時、出力はそんなに大きいものではないと思われるかもしれません。でも、PAW Picoを実際に聴いていただくと、そうではないと感じていただけると思います。駆動力が抜群なんです。

それと、欠かせないのはデジタルの部分。これについては音に関連する大事なパーツというものがあって、ひとつがプロセッサー、そしてもうひとつがDACの部分となります。プロセッサーは私たちの最上位モデルとなるPAW Goldや非常にご好評をいただいたPAW 5000と同じシリーズを使用していまして、アナログ・デバイセスの“Blackfin”ADI 500シリーズを使っています。DACはテキサス・インスツルメンツのプロ向けレコーダーに使われているものと同じものを使いました。具体的にはTLV320シリーズですね。私たち以外にTLV320を使用した会社は、レコーダー関係の会社以外ではないと思います。このDACチップの音を評価して採用した企業としては、スイスのNAGRAが代表的で、NAGRA SDはこのチップを使っています。


プロセッサーには、PAW Goldにも採用されたアナログ・デバイセズの”Black Fin

ポータブル再生機器としてはおそらく他に採用例はないとシャオ氏が話すAD/DAチップTLV320

注目したいのは長時間再生に対応したバッテリーの部分だ。通常、この超小型サイズでDSDのPCM変換再生を行ったり、スマートフォンと通信をしたりすれば消費電力は自ずと高くなる。シャオ氏は「このバッテリーの使い方こそがLotooの技術力の見せ所だった」と振り返る。

PAW PicoはLotooらしく駆動力に優れたアンプ部を搭載。写真のような大型ヘッドフォンでも存分にパフォーマンスを発揮する

シャオ バッテリーそのものは300mAで、ごくごく普通のものですね。ではなぜ、こんなに長時間のドライブを可能とできたのかというと、全体の回路デザインを工夫したことによって、効率の良い電源供給を行うことができたからなんです。また私たちは、DSDを高品位に再生する技術を持っています。であれば、それを搭載しない理由などありません。

PAW Picoでは、DSDはPCM変換再生となりますが、Lotooのエンジニアが内部のプロセッサーをうまく活用することで、DSDを最も良いかたちでPCMへ変換しています。そうしたDSD-PCM変換を行っておきながらバッテリーをあまり消費しないという点も、やはりPAW Picoならではの技術のポイントですね。「Lotooにかかれば、高精度なDSDのPCM変換再生もこんなに簡単にできます」というような自己アピールポイントのひとつです。


シャオ氏によれば、TLV320を採用した製品として、NAGRA SDの名が挙げられるという

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