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e-onkyo musicでハイレゾ配信中

オトナのジャズ・アレンジで“夜明けのコーヒー”の味わいが、新たに。今陽子さんが聴く「Love Seasons〜恋の季節たち〜」

公開日 2011/12/15 09:54 ファイル・ウェブ編集部
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1968年の大ヒット曲「恋の季節」で知られるピンキーとキラーズでの活動をはじめ、現在は舞台やテレビ、ライブなど幅広く活躍している女性シンガー・女優 今 陽子さん。11月23日より、実に28年ぶりとなる新アルバム「Love Seasons〜恋の季節たち〜」のハイレゾ配信がスタートした。本作は、ライブ活動を通じて今さんを支えてきたギタリスト・吉田次郎氏が演奏とアレンジを務め、村上"PONTA"秀一氏、井上陽介氏といった日本のジャズ・マスターたち、そして若手注目株のピアニスト秋田慎治氏が参加した極上のジャズアルバムだ。今回、今さんに新アルバムの聴きどころ、そして45年の間に磨かれてきた歌にかける思いなどをうかがった。

Love Seasons〜恋の季節たち〜/今 陽子
単曲価格:¥350(税込)、アルバム価格:¥2,400(税込)96kHz/24bit
【収録内容】
1. 恋の季節〜sweet ver.〜
2. over the rainbow
3. my favorite things
4. 土曜日はいちばん〜saturday is the one〜
5. new york state of mind
6. it don't mean a thing
7. 見上げてごらん夜の星を
8. 涙の季節〜bitter memory ver.〜
9. what a wonderful world
10. おいしい水
11. love for sale
12. あの鐘を鳴らすのはあなた


■“いま”の今 陽子らしいオトナの洋楽アルバムを

−− 新アルバム「Love Seasons〜恋の季節たち〜」では、ヒット曲「恋の季節」「涙の季節」、そして「あの鐘を鳴らすのはあなた」などのスタンダードナンバーが、ジャズやボサノヴァのエッセンスたっぷりにアレンジされて収められていますね。この作品はどんなきっかけで生まれたのでしょうか?


今さん:2011年は私にとって節目となる年で、11月1日…1が5つ並ぶ日に還暦を迎えましたし、芸能生活も45周年めになります。実はここ5〜6年ほどジャズミュージシャンの方々とライブをやっていまして、聴きに来てくださったファンの方が「すごく良かった、レコーディングはしないの?」と訊いてくださっていたんです。

今陽子と言えばやはり「恋の季節」のイメージがあると思うのですが、あの頃は16歳。いまの時代に相応しく、そしていまの今 陽子らしいオトナの洋楽アルバムを出したいなと数年来考えてはいたものの、なかなかチャンスに巡り会えず…そうしたら、節目の年にこのようなお話をいただくことができました。

−− 脇を固めるミュージシャンの方々も非常に豪華な顔ぶれですが、今回このみなさんとアルバムを作ることになったのはどんなきっかけだったのでしょう?

今さん:今回ギターとアレンジを担当してくださった吉田次郎さんが私のファンでいてくださって、知人の縁でお会いしたら意気投合しまして。試しにセッションしてみたらすごく息も合うし、好きな音楽や感性もぴったりマッチしているんです。それでギターとボーカルだけのライブをやってみることになったら、とても好評だったんですね。それ以来、次郎さんの縁で素晴らしいミュージシャンの方々とライブをするようになりました。今回アルバムに参加してくださった方は、みんな数年来セッションしている方ばかりなんです。ですからレコーディングも、いつもライブでやっているものをそのまま録るような感じでしたね。


■ほぼ一発録りに近かったレコーディング現場

−− 録音はどんな感じでおこなったのですか?


今さん:わたし、ハコのなかにいてひとりで歌うというのが苦手で…ライブのような感覚のなかで歌うのが、いちばん好きなんです。なので今回も、お互いの顔が見える位置で、お互いのプレイに呼応し合えるスタイルでレコーディングしました。既にライブで何度も一緒にセッションしたことのあるレパートリーが殆どだったので、ほぼ一発録りに近い感じで録音しましたね。なのでレコーディングもたった2日間で終わったんですよ。

−− 収録されている曲は、どのようにお決めになったのでしょうか?

今さん:今まで歌わせていただいた曲全てに思い入れがあるので、わたしが選ぶと50曲くらいになってしまうかも知れないということで(笑)、「恋の季節」の今 陽子をリアルタイムで知らない、若いスタッフのみなさんに選んでいただきました。セルフカバーのほかには、ホリプロの先輩である和田アキ子さんの曲など、多くの方に愛されている作品を収めています。

−− では実際にe-onkyo musicで配信されているハイレゾ音源を聴いてみましょう。


■ライブのような、瞬間瞬間に音楽が生まれるスリリングさを聴き取れる

−− 実際にお聞きになってみて、感想はいかがですか?


今さん:すごいですね。こういう音で聴いてしまうと、家に帰って普通の音では聴けないですね。レコーディングしたときよりもリバーブ感などが良い感じで、実際よりも上手に聞こえるような?(笑)。

ジャズの人たちって、本番で全然違うことをしたりするんですよね。トラック10の「おいしい水」では特に、“カラオケと歌”ではなく、ライブ感覚でレコーディングしたからこそ実現した、瞬間瞬間に音楽が生まれるスリリングさを聴き取れると思います。やっぱりこういうのって、一朝一夕にできるものではないと思うんです。私もミュージシャンのみなさんも、これまで培ってきた経験とテクニックの全てを出し合えたからだからこそではないかと思います。良いアルバムだなあと思っていただければ、ミュージシャン冥利に尽きますね。

CD以上のクオリティでの配信ということで、今までだったら自分のアラが見えてしまうのではないかと不安だったと思います。今や音はハイレゾ、映像はハイビジョンの時代で、音も顔も丸裸になってしまいますからね。レコーディングの時にしっかりコンセプトを作り上げて歌わないと、小手先でごまかしたのではバレちゃいますね。

こういうのは60歳を迎えたからできたのかも知れません。最近は“味”で歌いたいなと思っているんです。ただ綺麗に上手く歌うのではなく、声が枯れたり伸びないところがあっても、そこに女性としての魅力が出ていたほうが“味”があって良いのではないかな、と。ありのままのものを聴いていただけるのは、シビアですけど幸せなことだなと思います。

−− そう考えるようになった転機はあるのでしょうか?

今さん:ここ5〜6年ほど、お客さまの反応をダイレクトに感じられるような小規模のライブを沢山やってきました。ひとりひとりの顔が見えるから、「この曲を歌うとこういう反応をしてくださるんだな」といったことがよく分かるんですね。それを参考に、よし今度はこうしてみよう…という試みを積み重ねてきたのですが、今回のアルバムはそういった経験の集大成という感じです。

3.11以降、被災地でチャリティライブをしたりしていますが、歌を歌える喜びと、歌でみなさんが元気になってくれて良かったなという喜びをすごく感じているんです。そして、歌はゴテゴテと飾ってかっこつけて歌うものじゃなく、聴いてくださる方に「伝える」ものなんだな、と思ったんですね。

−− 原曲を聴いてから今回のアルバムを聴くと、今さんの人間的魅力が表れているような感じがしました。それに、このアルバムを聴いて、ライブに行きたいなと思う方も多くなるように思います。

今さん:それはすごく嬉しいですね!

−− 45年前に「恋の季節」を聴いて、思い思いのときめきを描いた方は多いと思うのですが、今回の新作は、また違う恋物語を楽しめるアルバムだと思います。“夜明けのコーヒー”の味わいが、以前とは変わって感じられるような…そんな素敵なアルバムですね。今日は有り難うございました。

Love Seasons〜恋の季節たち〜/今 陽子
単曲価格:¥350(税込)、アルバム価格:¥2,400(税込)96kHz/24bit
【収録内容】
1. 恋の季節〜sweet ver.〜
2. over the rainbow
3. my favorite things
4. 土曜日はいちばん〜saturday is the one〜
5. new york state of mind
6. it don't mean a thing
7. 見上げてごらん夜の星を
8. 涙の季節〜bitter memory ver.〜
9. what a wonderful world
10. おいしい水
11. love for sale
12. あの鐘を鳴らすのはあなた

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