「緻密な音のグラデーション」エイム電子、珠玉のLANケーブル。全5モデルを一斉試聴!
小原由夫情報通信機器分野で培った高い信頼性を武器に、オーディオ向けの高品位なHDMIケーブルやLANケーブルにも力を入れるエイム電子。とくに最新の「NAX」LANケーブルはネットワークオーディオの世界でも高い信頼を集めている。
自宅でもトップライン「NAX」を愛用する小原由夫氏が、エイム電子の主力LANケーブル5モデルを一斉試聴。シールドや導体グレードによる音質差も検証した。
産業分野で信頼を得てきた、揺るぎのないバックボーン
ネットワークオーディオの信号伝送に不可欠なのがLANケーブルだ。近年は光絶縁が可能なSFPポートの認知も広がりつつあるが、RJ45端子を用いたメタルコア導体での伝送が未だ主流であることに変わりはない。そうなると、LANケーブルの品質によって再生音が大きく変わってくることは容易に想像がつく。
現在市場に出回っているLANケーブルは、それこそピンからキリまで玉石混交という状況だが、やはりオーディオ用にケアされたものを使いたいところだ。
一般的には通信速度等のカテゴリー準拠をチェックすることになるが、オーディオ的にはコネクター構造や導体素材、シールド構造等も確認しておきたい。そうしたポイントを満たすLANケーブルを多数輩出しているのが、神奈川県相模原市のエイム電子である。
同社は産業用ケーブルの独自開発の第一人者であり、1983年に情報通信分野の伝送ケーブルを手掛けて以降、国内外で多数の納入実績を誇り、技術的なバックボーンは揺るぎない。
シールド構造や導体、被覆、端子の仕様でグレードが異なる
今回テストしたAIMのオーディオ用LANケーブルは、全部で5種類。順に特徴を掻い摘んでいきながら音質面の特徴を述べていこう。なおテスト環境は、ルーターとネットワークプレーヤー(オーレンダー「A1000」)間の接続に試聴ケーブルを接続している。
同社製LANケーブルの導体サイズはNA2とNA4とNA6がAWG24(単線)、上位モデルのNA9とNAXがAWG22(単線)。ツイステッドペア×4(8本)、導体サイズAWG24(単線)、高密度銅編組シールドという基本仕様(規格準拠)は同一としながら、コネクターの仕様、導体素材とその被覆、何重のシールド構造を採用しているか等でグレードが形成されている。また外装カラーも変えることで視覚的な違いを明確にしている。
「NA2」(13,200円/1.0m)-S/N感がまるで違う-
最も安価なNA2は、ブルーの外被が他の同社ケーブルに比べてやや細身。それでも1mで1万円超えだから、汎用的なLANケーブルに比べれば十分高級である。コネクターは硬質ポリカーボネートハウジングで真鍮ニッケルメッキ、導体はOFCで、高性能アルミシールドと高密度銅編み組みの2重シールドである。
始めに基準となる一般的なLANケーブル(オーディオ用の設計ではない)を聴いたが、音の静けさというか、バックグラウンドノイズ、S/N感がまるで違う。これは主にシールド設計による違いであろう。
音場の奥行きが深く、楽器の微かなニュアンスや音色の寒暖、声の滑らかさや温度感がだいぶ違う。クラシックを聴いても、ローエンドの重心の低さと安定感は、さすがにオーディオ用に設計されただけはあるという安心感があった。スケール感や立体感もまるで違っていた。
「NA4」(42,900円/1.0m) -音場のレイヤーがより克明に-
NA4はNA2と同じOFC導体だが、アルミシールドが2重となり、コネクターもダイキャスト製だ。被覆はグリーン。
S/Nはさらに向上し、写真で言えば被写界深度がより深くなって背景との見通しが俄然変わり、音場のレイヤーがより克明になった印象だ。ヴォーカルはポッと浮かぶ感じになり、楽器では鐘や鈴の小さな音がより澄んで聴こえる。
「NA6」(64,900円/1.0m)-生気が漲るような再現性-
パープルの外被が目にも鮮やかなNA6は、導体被覆として発泡ポリエチレン絶縁体が追加され、シールドもアルミ・銅・高密度銅の異種材料3層シールド。そのためケーブル外径が2mmほど太くなった。コネクターはダイキャスト製で、さらに360度シールド構造が採用されている。
興味深いのは、NA2とNA4ではドレインワイヤーがシンメトリー構造だったのに対し、非対称のアシンメトリー構造を採用している点である。
空気感はさらに透明度が増し、エネルギーバランスは一段と安定に感じられる。ヴォーカルは温度感と共に湿り気が加わり、生気が漲る感じだ。オーケストラはコントラバスや打楽器等のローエンドの充実が著しい。強弱の差も高まり、音楽がよりダイナミックだ。
「NA9」(115,500円/1.0m) -3次元的立体感が広がる-
ブラック被覆のNA9はNA6の約1.8倍の価格で、遂にメートルあたり10万円超えとなった。基本仕様はNA6とほぼ共通しているが、導体のサイズがAWG24からAWG22と太くなり、シールド構造も異なる。NA6のそれにさらにノイズ吸収素材「パルシャット」を加えた4層シールド構造「Hoplon」を採用している。
ここに来て3次元的立体感が俄然広がった、ヴォーカル音像は等身大近くなってフォルムに厚みが増し、表情や口の動きがリアルに見えるようになった。オーケストラは特に内声部の動きがよくわかるようになった。
「NAX」(220,000円/1.0m) -まさに奏者が目の前にいる感覚-
フラグシップモデルのNAXは専用開発したOFC単体導線の国産の純銀コーティングを採用した。シールド片側非接地によるアシンメトリー構造。発砲ポリエチレン絶縁体もこのNAX用に専用開発した「Air2」を新規投入している。
それにしてもこれほど音が違うのか。愕然とするほど他とは格が違う音といってよい。
ヴォーカリストは目の前にいるような息の湿り気を感じ、手を伸ばせば触れられそうなリアリティだ。ヴァイオリンの独奏は咽び泣くような迫真性で、表情が実に豊か。オーケストラはハーモニーの構造がより屈強に感じられる。
こうしてエイムのLANケーブルを順に聴いて感じたことを、絵画に喩えてみるとわかりやすい。グレードが上がっていくに連れて音楽のグラデーションはより稠密になり、音像の輪郭線(縁取り)がどんどんと細くなって、しまいにはその境界が背景にすんなり自然と馴染んでいくように感じられたことだ。これはやはり順次試聴したからこそ実感できたサウンドのヒエラルキーと思う。
(提供:エイム電子)
※本記事は『季刊・オーディオアクセサリー 200号』からの転載です。
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