HOME > レビュー > 【第157回】ちゃんと説明できますか? 知っておくべき11のポータブルオーディオ最新トレンド

[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第157回】ちゃんと説明できますか? 知っておくべき11のポータブルオーディオ最新トレンド

公開日 2016/05/27 10:00 高橋 敦
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
■最新ポータブルオーディオ2016梅雨!<前編>

今回と次回は、主にポータブルオーディオ周りで注目すべき「トレンドワード」的なものを、一気に紹介していきたい。題して「ポタオトレンドワード2016梅雨」だ。…いやタイミング的にいまさら「2016」じゃないし、でも「2016夏」にはちょっと早いし、ここは「2016梅雨」ということでお願いしたい。

梅雨が湿った感じのほかには、特におかしなところはないストレートな企画なので、詳細説明はすっ飛ばし、前編となる今回はイヤホン&ヘッドホン編を早速開始しよう。プレーヤー・ポタアン編は次回後編に送る。

<目次>
・平面駆動型ドライバー
・静電駆動型ドライバー(コンデンサー型ドライバー)
・圧電素子型ドライバー(ピエゾドライバー)
・ベリリウムコート振動板
・3Dプリンター&3Dスキャナー
・セルロースナノファイバー
・ベント(ポート)
・4.4mmプラグ&ジャック
・Lightning
・USB-C
・Bluetooth新コーデック


▼平面駆動型ドライバー

・タグ|ヘッドホン 潮流

●ワード概要
コーンや半球のような立体的な形ではなく平面、まっすぐな板のような形の振動板、それを搭載したドライバーのこと。方式としては新しいものではないが、2014年以降にハイエンドヘッドホンでの搭載例が急増。

●トレンド解説
20世紀中盤までのヘッドホン黎明期には一般的なダイナミック型ドライバーと同様に採用されていたが、その当時の技術ではダイナミック型の方がより低いコストでより良好な音質を得やすい、現実的な選択であることが徐々に判明。以降は、例外的なメーカーやモデルを除き、一線から退く。

しかし振動板自体の全面にコイルを一体化搭載し、振動板全体が均質に駆動される特徴は、駆動系と振動板が別体であるダイナミック型に対しての優位として依然としてあった。そして2014年に登場したOPPO Digital「PM-1」等が示した「2010年代の技術で開発し製造する平面型ヘッドホン」の多くが高い能力を示したことで再評価が進み、以降はハイエンドモデルを中心に採用例が増えている。

近年の復権の先駆けのひとつ、OPPO Digital「PM-1」

ヘッドフォン祭りでもうおなじみ、自作平面駆動ヘッドホンの振動板展示


▼静電駆動型ドライバー(コンデンサー型ドライバー)

・タグ|イヤホン ヘッドホン アンプ 接続方式 製造技術 潮流

●ワード概要
振動板を駆動する力として静電力を用いる方式のドライバー。ダイナミック型にせよ平面駆動型にせよ一般的なドライバーは電磁力によって駆動されておりこれとは駆動方式が根本的に異なるため、このドライバーの駆動にはこれ専用のヘッドホンアンプが必要。

●トレンド解説
一般的なヘッドホンやイヤホンのドライバーは基本的には、ドライバー内に固定設置された磁石の磁力と入力されてくる信号に応じて磁場を発生するコイルの電磁力によって駆動力を得ている。対して静電駆動型は極めて薄い振動膜の周囲に直流の高電圧をかけることでその振動膜を駆動し、発声させる。振動板の動きに着目すれば平面駆動であるので、電磁力による平面駆動と同じくその振動の均質さに強みがあり、また超軽量超薄膜であるおかげか、繊細な応答性にも定評がある。

昔も今も代表的な採用メーカーはスタックス。少し前までは価格や専用アンプが難点だったが、現在の「ハイエンド」においてはそこはさしたる問題でもなく、改めての注目に値する。高遮音性イヤホンにこれを搭載したSHURE「KSE1500」も注目を集めた。

スタックスのヘッドホン「SR-L300」と専用アンプ「SRM-252S」のセット「SRS-3100」は税抜6万7500円

SHURE「KSE1500」も専用アンプとのセット

次ページ

1 2 3 4 5 6 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE