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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第150回】田村ゆかりさんに捧ぐ!ラジオ「いたずら黒うさぎ」歴代OP/ED曲をオーディオ目線で語る

公開日 2016/03/25 10:45 高橋 敦
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▼Cutie♥Cutie(シングル「Spiritual Garden」より)

2005年10月08日から2006年04月01日のOP曲。この時期2006年02月25日のお誕生日回において、ゆかりさんが「永遠の17歳」になったことが発表された。

Cutie Cutie(シングル「Spiritual Garden」より)

そんな歴史的転換点となった回の冒頭も飾ったこの曲のイントロはリズミカルで気持ちのよいギター。そしてそこからゆかりさんとゆかりんコーラスのこちらもリズミカルな掛け合いに続く。

そのゆかりさんの歌メロとゆかりんコーラスの「Cutie!Cutie!」の掛け合いの箇所だが、ここは解釈が分かれるかもしれない。ここをサビと受け取ることもできるし、ここはリフ、歌メロではないのだが曲中で繰り返しリフレインして用いられる印象的なパーツ、と捉えることもできるだろう。

ゆかりさんの曲では歌メロではない部分で、ゆかりんコーラスも含めてゆかりさんの声をパーツ的あるいは楽器的に用いて活躍させる例も多い。「パーティーは終わらない」の「ドン・パン・ドンドドン・パン」を思い浮かべてもらえば、「あれか!」となるのではないだろうか。リフもその「歌メロではない部分」「パーツ的あるいは楽器的」のひとつだ。

そしてそのリフ、「曲中で繰り返しリフレインして用いられる印象的なパーツ」であるので、サビの歌メロなどと並んで曲のもうひとつの顔になることも多い。「ハードロックはギターが主役」という見方も、曲の顔となるリフをギターが担当していることがその印象をもたらす大きな要素だろう。

ということは、田村ゆかりの作品でゆかりんコーラスをリフに使うこと、ゆかりんコーラスの部分をリフと解釈することにも、何も無理はない。歌メロだろうがリフだろうが、曲の主役、曲の顔はゆかりさんという絶対の前提は崩れないのだから。

また「声をリフ的に使う」という手法は奇抜なものでもなく、その例も少なくはない。例えば串田アキラさん「炎のキン肉マン」のイントロや場面転換で用いられている「M・U・S・C・L・E muscle!」は完全にリフ的なフレーズだ。Perfume「ワンルーム・ディスコ」の「ディスコ ディスコ ワンルーム・ディスコ」の部分は「Cutie!Cutie!」と同じく、リフともサビともどちらとも捉えられるように思える。

何にしても、この「Cutie!Cutie!」がこの曲において特に印象的な部分だということに変わりはない。オーディオ的にもここ重視で考えてよいだろう。そのここは「Cutie!Cutie!」の声に合わせてバンド全体がリズムを決めており、キレッキレな場面。スカッと抜けてスパッと決まってこそその気持ちよさが高まる。強引に詰め込む感じで叩き込まれてくる、打ち込みのスネアドラム連打もズバババババッ!と炸裂させてほしい。

また曲全体としても、ドライブ感やヘヴィさは特に押し出さずに軽快なキレのよさで駆け抜けていくリズムだし、シンバル、ギターのカッティング、シンセなど細かな音がたくさん散りばめられていて情報量も多い。

ということでオーディオとしては抜けやキレ、空間性といった要素をしっかり備えたシステムが好ましいと思う。ヘッドホンなら上質な開放型、スピーカーなら低域側は少し弱くてもいいので発音と定位が明瞭な小型モデルなどが合うのではないだろうか。

次ページまだまだ続く、次は「Traveling with a Sheep」

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