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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第150回】田村ゆかりさんに捧ぐ!ラジオ「いたずら黒うさぎ」歴代OP/ED曲をオーディオ目線で語る

2016/03/25 高橋 敦
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▼恋と夢と空時計(#553 - #610/アルバム「螺旋の果実」より)

2013年11月02日から2014年12月06日のOP曲。なのだが、その前の週の2013年10月26日に一度だけ、ED曲としても使用されているというレアケースな曲。

恋と夢と空時計(#553 - #610/アルバム「螺旋の果実」より)

その経緯は印象的だったので覚えていらっしゃる方も多いことだろう。以下は最初にED曲として流された際のゆかりさんの発言だ。

「やっぱ『空時計』オープニングっぽくない?これ来週ちょっと試しに変えてみない?なんか終わりっぽくないんだよね。始まりっぽいんだよね。プロローグって言ってるし!来週変えよう!逆にしよう!」

次週からOPに流され始めたこの曲のOPへのハマりっぷりは見事なもので、ゆかりさんのセンスに脱帽した。逆に「スパークリング☆トラベラー」はOP曲としての出番を一回で失い、その後にはJJ団にマスター音源を奪取され封印されてしまうなど、不遇の道を歩むことになるのだが。

しかし確かに本当に、この曲のOP感は強大だ。冒頭のベルとチェンバロを重ねたかのような音色でのフレーズ。それをさりげなくサポートしているベースとギター、キラキラのウィンドチャイム。その一瞬だけでも心の大半を奪われるというのに、そこからのゆかりさんの一言目が「Darling」。さらにゆかりんコーラスの「Darling」まで畳み掛けられては、心の全てを奪われるのは当然だ。JJ団も本当は、好きすぎて心を奪われたからこそマスター音源を奪ってしまったのではないだろうか。

そしてそこからさらに、AメロまでとAメロ前半でリズムを刻むのは左右に広がるゆかりんコーラスの「トゥトゥトゥトゥ」だ。後半からはその役割を左でギターのカッティング、右でピアノと思われる音が引き継ぐが、その引き継ぎの滑らかさにも注目。フィルイン、つなぎの装飾的なフレーズですっと自然に入ってきてそのまま「トゥトゥトゥトゥ」を引き継ぐ。スムーズすぎて気付かないレベルに巧い。

ドラムスとベースも全編で活躍している。ドラムスはイントロや間奏で際立ち、ベースは二番Aメロでの休符の生かし方とBメロでの音を滑らかにつないでのうねり方、そしてサビでの絶妙なスタッカートのコントラストが特に印象的だ。

そしてゆかりさんの歌い方も改めて聴きこむとやっぱり絶妙。AメロBメロはスタッカートを少し効かせて、言葉を小気味好く届けてくる。それはAメロBメロだけを抜き出して考えても効果的ではあるのだが、その効果はそれだけではない。

この歌はサビを思いっきり甘く歌っているので、そこをさらに際立たせるためには、他の部分は甘い声で歌いながらも甘すぎない方がよい。意図してなのか自然になのかはわからないが、ABを歯切れよく歌うことでサビの一言目「Darling」の甘い伸び、その破壊力をさらに強めている。そう感じるのだ。

ドラムスとベースの活躍やスタッカートの重要性を考えると、この曲でもオーディオシステムにはキレを求めたい。ヘッドホンやスピーカーのセレクトも重要だが、それをスパッと動かしてスパッと止める、アンプの力も物を言うだろう。例えばハイエンドヘッドホンを据え置きヘッドホンアンプで駆動したりすると、マッチングがうまくいけば実にいい感じだ。

なお、この曲がOPで流された初回にそれに重ねてのゆかりさんのフリートークは、「最近涙が出るほど笑ったことは?」との問いに対しての「その前に質問があるんだけど、ねえゆかり、上手に笑えてる?」だった。

わ!ら!っ!て!ゆ!か!り!ん!(ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!)

次ページ続いて、2014年12月13日から現在に至るまでのOP曲「あのねlove me do」

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