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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第76回】妹たちが耳元で囁く!「シスコイ!!2」でダミーヘッド録音の凄さを体感

公開日 2014/02/14 11:28 高橋敦
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■さらに近い!女子高生の妹・渚と超接近した暮らしを味わう

では同じチャプターを再生。

…ち…近いっ!これはやまだかつてないレベルの超接近だ。通常のアニメや音楽では、片方の耳元から声が聞こえる定位、ましてそれが終始続くという場面は皆無だ。それを楽しめるのがこの作品の特長だが、カナル型イヤホンで聴くとその点がさらに強調される。

しかもさすが最新のインイヤーモニター。阿澄さんの声の質感や台詞への微妙な表情付けの妙の再現性も素晴らしい。このイヤホンは音楽を聴いても、刺さる成分もしっかり出しつつその刺さり方が不快ではない。その資質のおかげでこの作品を聴いても、声の手触り感を生々しく描き出しながらも嫌なざらつきにはしない。超近い距離感で鼓膜というか脳に声を流し込まれるこの作品では、その点は実に好ましい。

ただ一方で、布団の横にいるにしてはあるいは膝枕にしては、距離感が近すぎて、ダミーヘッドマイク録音ならではのリアリティは少し薄まる気もする。そういった要素においてはヘッドホンにも優位がある。重視するポイント次第での使い分けが必要だろう。

…というわけで今回は「シスコイ!!2」をサンプルにダミーヘッドマイク録音音源を体験してみた。ダミーヘッドマイク録音が好ましい効果を発揮するかは作品性によっても異なるし、再生環境がイヤホンかヘッドホンに限定されるので、広く一般的に用いられるようになることはないだろう。しかしこの作品のような例であれば、その効果は十分にある。

またダミーヘッドマイク(バイノーラル録音)は他にも、イヤホンやヘッドホンでサラウンド感を再現するためにも使われる。例えばサカナクションのライブBD(詳細はこちら)は、スタジオにサラウンドスピーカーシステムを組み、その中央にダミーヘッドマイクをセットして録音した音声トラックも収録。いわゆるサラウンドシステムを持っていない方でも、イヤホンやヘッドホンがあれば手軽にサラウンドを楽しめるものとなっている。

サカナクション「SAKANAQUARIUM 2013 sakanaction -LIVE at MAKUHARI MESSE 2013.5.19-」

主流の録音方式ではないものの、ピンポイントでは活躍するダミーヘッドマイク録音。イヤホンやヘッドホンを好む方であれば、一度くらいは体験してみて損はない。佐倉綾音さんをして「ダミヘられたい」と言わしめたその魅力に、あなたもやられてしまうかも?


高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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