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多くのブースでHDRのデモを実施

<IFA>IFA2015の映像トレンド総まとめ − HDRは「対応」から「画質競争」の段階へ

公開日 2015/09/09 17:58 折原 一也
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ソニーも“曲面型”液晶を網羅

続いて日本メーカー・ソニーの目玉は、4.9ミリの超薄型で壁掛け対応のBRAVIA 「X90C」(日本でも同じ薄さのX9000Cが発表されている)や曲面液晶モデル「S8505C」で、ハイエンドの発表はなかった(関連ニュース)。

薄型デザインのBRAVIA X90C

欧州で販売する曲面型4KのS8505C

4KパネルにX1エンジンを備え、エッジライト方式を採用。HDRの表現力とソニーの技術がつぎ込まれている。ソニーは数年前からHDRと考え方が近い「XDR」技術をアピールしており、先んじていたこともあって、今回のIFAのタイミングでは大きな発表はなかった。

曲面型のS8505Cは、ソニーの曲面型液晶テレビとしては第二世代にあたる。欧州市場ではプレミアム価格帯で曲面のデザイン価値が認められつつあり、ソニーとしても曲面を指名買いする人向けに用意するモデルという位置づけだ。

なお、Ultra HD Blu-rayについては、インタビューの回答を総合すると、ソニーは第一弾発売メーカーには加わらないと見られる。

さて、ソニーブースのHDR対応機器で予想外に出来が良かったのが、4Kプロジェクターの新モデル「VPL-VW520ES/320ES(関連ニュース)」だ。ヒットモデルとなった「VPL-VW500ES」の後継としてランプを更に強化し、HDR志向を高めた。なお、国内ではVPL-VW515/VW315として発表されている(関連ニュース)。

HDR対応の4Kプロジェクタの新モデル「VPL-VW520ES」

シアタールームでは『アメイジング・スパイダーマン』HDRバージョンを暗室で上映しており、このVPL-VW520ESのデモが素晴らしかった。プロジェクターという特性を活かして劇中のネオンの光の映像の“眩しさ”を巧みに再現。もちろんピーク輝度の高さは薄型テレビに分があるが、もともと映像への没入感が強いプロジェクターにHDRを両立できれば大きなインパクトを生むことだろう。

HDRの突き上げがよく現れて高画質と共にHDRを印象づけた

LGは有機ELモニタの“フラット”も発売へ

有機ELテレビを市場に唯一投入済みの韓国LGは、やはりHDR対応と合わせて画質面の強みをアピールしている。LGが有機ELテレビでアピールする画質のポイントも圧倒的な黒の再現力へとシフトしており、ピーク輝度の点ではHDR向きではないが、暗室では、ダイナミックレンジの広さからHDRのピーク感を効果的に再現できていた。

LGはOLEDの高画質を訴求

OLEDでもHDRをデモ

今回、他社に先駆けてLGが行っていたデモが、BBC/EBUと欧州の放送事業者が決めた、HbbTV2.0規格を用いたHDR映像の上映だ。方法としては、BBCが規格化する「HLG」(Hybrid Log-gamma)を用いることで、ライブ放送でもHDRのグレーディングを問題なく再現できる仕組みが取られている。

「HLG」方式のHDRで上映

実は、このHDRのデモに用いられている有機ELはフラットタイプの65型。CESで既に発表されている「65EF9500」に採用済みのパネルと見られる。欧州では一定の人気を獲得しているとはいえ、やはり湾曲型パネルには疑問を持つ人がいるのも事実。今回、パナソニックがLG製の有機ELを搭載したテレビを展示しているが、フラットな有機ELをベースにしたテレビがあれば、と期待も高まる。

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