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折原一也がIFAで単独取材

<IFA>液晶でもRGB“W”を実現。LGの新開発パネル「M+」とは?

公開日 2015/09/08 11:29 折原一也
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■IPS液晶でRGB“W”を実現する、LGの「M+」パネル

韓国LG電子にディスプレイパネルを提供するLGディスプレイ社が、液晶テレビの発光効率を改善する液晶の新方式「M+」を開発している。「IFA 2015」会場内で行った単独取材で明らかになった。

IFA 2015のLGブース内で単独取材を実施した

LGによる「M+」パネルのデモ。中央が従来のRGB・左がRGBWで同一輝度、右がRGBWで同一消費電力

開発中の「M+」とは、一般的な液晶のRGBのサブピクセルに加えて、W(ホワイト)のサブピクセルを追加した4色で表示する新方式。なおLGでは、コンシューマー向けに展開している有機ELテレビで、ホワイトのサブピクセルを加えた方式を採用している。今回、有機ELパネルだけではなく、液晶パネルでもホワイトのサブピクセルを追加する仕組みを取り入れた形となる。

RGBWのピクセルで映像表示するメリットは“発光効率”だ。ホワイトを光らせることで、4K解像度で画質を損なわずに発光効率を向上させる。同じ輝度であれば、より低消費電力で表示できる。また、特に4Kパネル/8Kパネルのように画素ピッチの小さい液晶であっても、ホワイトの画素を積極的に光らせることによって映像のピークと画素間のコントラストを引き上げることができ、映像の鮮鋭感やシャープネスを向上させられるとしている。

RGBWの解説。ホワイトのサブピクセルによって発光効率を向上させられること、映像の鮮鋭感やシャープネスを高められるというメリットがある

今回のIFA会場にて、LGディスプレイが用意したデモ映像を使い、RGB方式とRGBW方式の比較、さらにRGBW方式のパネルで「RGBのみで表示した映像」と「RGBWのホワイトを利用した映像」も見比べた。比較すると、ハイライトの突き上げによる鮮鋭感の向上を確認できた。イメージとしては、ちょうど超解像を働かせたときに鮮明さが向上するような高画質化効果だ。

RGBWの表示オフ

RGBWの表示をオンにすると鮮明さが増す

またRGBW方式は、画素内サブピクセルのピークが2点あることで、ディザリングに近い効果も得られる。PCゲームの文字表示のように、ナナメ線がガタガタに表示されてしまう箇所などもよりスムーズな線で描くことができ、こういった部分の精細感向上にもさらに活用できそうだ。

RGBWの表示オフ

RGBWの表示オンでナナメ線をクリアに補完

さらにもうひとつのメリットとして、ピークの突き上げにより、HDRのようなコントラスト志向の映像への対応力も増すという。

RGBW方式でピーク輝度が拡大する仕組み

なお、RGBWという特殊な表示方式を採用したことで、解像感はどうなのか気になるだろうが、米独中の機関とNetflixにより、その表示性能はテスト済みとしている。

解像度テストの要件

米独中の機関とNetflixによる画質検証も完了


類似技術との比較
それではRGBWの「M+」パネルを搭載した液晶テレビはいつ登場するのか、という話になるが、実は日本で既に7月発表、8月より発売中の「UF6900(関連ニュース)」で採用されているとのこと。

一般的なIPSパネルよりもコストを下げられ、同時に画質向上効果も確保したパネルという位置づけだ。今後HDR映像や解像感の高い映像が活用されるシーンが増えれば、RGBW表示を行う「M+」のポテンシャルがより発揮されることになるだろう。

(折原一也)

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